QC、QAと監査について 潟Cーコンプライアンス


QC、QAと監査について

読者は、QCとQAと監査の違いについて明確に説明ができるだろうか。
QC部門やQA部門も被監査部門であると言ったら、理解できるだろうか。

QCとは

QCはQuality Controlの略である。けっしてQuality Checkではない。
では読者の企業では、本当にControlしているだろうか。
QCを実施している人は、入力ミスや文章のミスなどのチェックばかり行ってはいないだろうか。

Controlとは、野球に例えてみれば、ピッチャーがストライクゾーンをめがけて投球することである。
つまりQCは、品質のストライクゾーンにめがけて、プロセスをコントロールすることである。

例をあげよう。
ある外注業者に1,000個のデータ入力を依頼したとしよう。契約において0.3%のエラーまでなら受領するとうたっているとする。
しかしながら、検収テストにおいて1個、2個、3個、4個・・・とエラーが見つかった。
この場合0.3%のエラーを超えたので、受領を拒否することになる。つまり当該業者に差し戻すのである。
「検収テストの結果、受諾品質を下回ったので差し戻す。品質保証を再度実施の上、再納品を願いたい。」
その際に当該業者には、どこにエラーがあったかを教えてはならない。また何個エラーがあったかも教えてはならない。
なぜならば、エラーの箇所や個数を教えると、当該エラーを修正するのみの対応になってしまう可能性があるからである。
一般に、後段のプロセスでチェックを行い、修正まで実施してしまうと、いつまでも当該プロセスの品質が上がらないというジレンマに陥るのである。

チェックはQCの1つではあるが、QC全体を指しているわけではない。適正にプロセスをコントロールすることが望まれる。

別の例をあげよう。
あるクッキーの工場で、製造指図書にバーナーの温度が170℃±5℃と指定されているとしよう。
バーナーの担当者は、175℃を超えそうになると火力を下げる。165℃を下回ろうとすると火力を上げる。なぜなら、175℃を超えると焦げるし、165℃を下回ると半生になるからである。
170℃±5℃で火力を調整すると、あらかじめ定めておいた品質で美味しいクッキーが焼きあがるのである。

QAとは

QAとは、Quality Assuranceの略である。しかしながら、QAと監査を混同している企業が多い。AssuranceとAuditは違う。
Assuranceとは、経験者やスキルのある者が、当該プロセスに対して指導や助言を行い、最終的な製品の品質を保証することである。

企業には、熟練した者もいれば、新入社員もいる。新人に仕事をさせないわけにはいかない。
仕事をさせなければ、いつまでも品質が向上しない。だからと言って、新人に任せきると品質の問題が発生する。

例をあげよう。
あなたがLASIC手術(近視のレーザ手術)を受けることになったとしよう。訪問した眼科クリニックで担当になった医師は、執刀経験がまだ100例未満と非常に浅く、不安な気持ちになった。
ところが、当該クリニックの院長は、執刀経験が1万例以上と、経験豊富だそうだ。
あなたは、どちらの医師に執刀してもらいたいだろうか。当然院長である。
しかしながら、院長は自身では執刀しなくなったという。
そこであなたはきっとこう言うであろう。
「新人の医師が手術を失敗しないように、院長が手術に立ち会って欲しい。」と。
これがAssuranceである。

品質保証(QA)部門は、当該プロセス部門に成り代わって、結果の品質を保証しなければならない。
つまり、プロセスに深く関与し、当該部門になり代ってお墨付きを与えるのである。

監査とは

一般に、監査は事後において、プロセスの一部を抜き取って調査を行う。
したがって、当該プロセスにエラーを発見しても「後の祭り」になりかねない。
またすべてのエラーを発見するものでもない。
では、なぜ監査が必要なのであろうか。

人が実施することに完璧ということはあり得ない。
人には必ず弱いところが存在する。自身では発見できないエラーが必ず起き得る。
監査は、第三者的に調査を行い、SOP違反等のエラーを発見し、指摘し、改善を命じるのである。

また人は、時によこしまな考えが頭をよぎることもある。
忙しい時、気分がすぐれない時、惰性で仕事を繰り返している時、SOPを守らずに作業をすることがあるかも知れない。
監査担当者は、そういったよこしまな考えには、毅然たる態度をとらなければならない。
つまり、抑止力とならなければならないのである。

ここで注意が必要なことは、エラーを発見するだけなら誰でもできるということである。
監査の重要性は、なぜそのような結果になったか、そのようなプロセスを行ってしまったかという原因の追究と、再発防止のための改善を勧告することである。
つまり、当該プロセスに長けている者(熟知している者)でなければ、監査は務まらない。

チェックに頼る怖さ

筆者は、これまで多くの企業で品質保証に関するコンサルテーションを続けてきた。
しかしながら、多くの企業で品質保証プロセスがチェックありきになっていることに驚愕する。
つまり、QC部門がチェックを行い、QA担当者がさらにチェックを行う。さらに、監査担当者までもがチェックを実施するのみとなっている。
チェックを繰り返すと品質は向上する。しかしながら、品質が高いということと、品質を保証するということは次元が異なる。
日本企業の多くは、品質が高ければ良いと考えがちである

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