20040629号
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・CSV実践講座 第四回 【SDLCの概要 その2】
・一言アドバイス【品質保証(QA)とは】

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◆CSV実践講座 第五回 【SDLCの概要 その2】
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5.2.3 ベンダーオーディットおよびパッケージ調査

URSにもとづき「Request for Proposal」(提案要求書、RFP)を作成
する。RFPは、ソフトウェアベンダーへの要求仕様書である。
ベンダーからの提案を受けた際には、必要に応じてVendor Audit(ベ
ンダーを監査)をおこなう。ベンダーオーディットはVMPによって事前
に計画しておかなければならない。ベンダーオーディットの目的は、
当該ベンダーの
1) 品質保証システム(QMS)
2) 開発標準
3) 開発担当者のスキル(業務、規制要件、バリデーション等)
4) 当該ベンダーの経済状況
などを調査することである。

まず 1)当該ベンダーが自社の定める品質標準に合致した品質でソフト
ウェアの開発を行うことができるのかどうかを、調査しなければなら
ない。つまり自社の品質保証基準を満たさないベンダーの場合は、発
注できないかまたは品質基準の差を自社で埋める必要性が出てくる。
具体的には当該ベンダーの品質保証に関する規定書や手順書の有無、
QA部門などの品質保証体制、開発過程の作成ドキュメント等を調査す
ることになる。2)開発標準とはSDLCにおける作成すべきドキュメント
の種類と承認プロセスをさす。ソフトウェアの開発が適切に規定され
た手順によって実施され、テストされ、それらの記録が適切に保存さ
れていることをメーカーに確認する。3)スキル調査は当該ベンダーが
ユーザ要求を満たし、ソフトウェアがGxP基準に精通した専門家によっ
て開発され、業務に適応したシステムの開発が行える能力を有するの
かどうかを調べる。これは品質保証の一部であると考えられる。4)経
済状況が悪いベンダーの場合は将来におけるサポートに不安が残り、
万が一の場合、導入したシステムのサポートが打ち切られ梯子をはず
されかねない。ちなみにベンダーオーディットは、契約前に限らずシ
ステム開発中に実施する場合もある。
ベンダーオーディットの際にVendor Audit Check Listを作成する必
要がある。また実施後のVendor Audit Reportおよびベンダー選定の
報告書が作成される。
パッケージ調査は、既成の製品を導入する場合に実施する。URSと比
較し、どの程度ユーザ要求を満たすか、どの程度のカスタマイズが必
要となるかなどを定量化(点数化)し評価する。当該パッケージがど
の程度の数の会社に導入されているかも大きな導入の判断基準となる。
パッケージ調査計画書およびパッケージ調査報告書の作成が必要であ
る。
必要に応じて、当該パッケージを利用している他社へのリファレンス
コールを実施し、そのシステムの品質、使い良さ、サポートの優劣な
どを調査する。
〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜
5.2.4 URSとVMPの作成順序

企業によっては、VMPを作成した後URSを作成する場合がある。URSも
重要なバリデーションドキュメントであるからVMPによって計画されな
いといけないからである。しかしながら筆者は本章で解説したとおり、
URSがSDLCにおける最初のドキュメントと位置づけている。URSによっ
てバリデーションの必要性や程度が決定されるからである。GAMPガイ
ドラインでもURSとVMPの作成順序は特に指定していないようである。
〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜∞〜
5.3 リクワイアメント フェーズ(Requirements Phase)
本Phaseでは、URSにて概説した要求事項を、コンピュータシステムの
ための詳細要件へと更に洗練する。これらの詳細要件を「Function
Specification」(機能仕様書、FS)により文書化しなければならな
い。
システムが「Risk Assessment Report」によってValidationが要求さ
れると判断された場合、全ての規制要件をFSで定義しなければならな
い。
新システムに既成パッケージを利用する場合、FSにおいてユーザの要
求する機能要件が、パッケージの機能により実現できるもの、コンフ
ィグレーション(パラメータの設定)により実現するもの、カスタマ
イズ(または外部開発)により実現するものの別を記載しなければな
らない。FSは、ユーザとデベロッパー(システムを開発する社内外の
IT担当部門)との機能要件に関する合意書である。GAMPによると、FS
は外部業者が作成するのが普通であるとしているが筆者はそうは考え
ない。
システム開発に関する見積りは、FSが承認されてはじめて作成が出来
る。何故ならばカスタマイズの程度、実現しない要求などがFSによっ
て決定されるからである。
FSの承認後、URSとFSの「Traceability Matrix」を作成することによ
って、ユーザの要求事項がもれなくFSにおいて定義されたことを保証
しなければならない。また「Traceability Matrix」をもちいて、
「Functional Risk Assessment」(機能リスク調査)を実施すること。
「Functional Risk Assessment」は、要求される各機能が正常に動作
しない場合や、導入が実現できない場合の業務に対するインパクトの
程度(High、Middle、Low)やリスクの記述を行う。ここで定義された
インパクトやリスクの程度に応じて、優先順位をつけてOQケースおよ
びPQテストのシナリオを作成することになる。程度がHighとされた機
能に関しては、最優先でOQを実施することになり、程度がHighとされ
た業務プロセスに関しては、最優先でPQを実施することになる。FSに
おいて、コンフィグレーション(パラメータの設定)により要求機能
を実現すると決定した機能に関しては、別途「Package Configuration」
においてその設定値を記載すること。コンフィグレーションが、CASE
ツールなどパッケージそのもののGUI等により行われるものに関しては、
その設定(値)の所在を明らかにしておくこと。また画面のハードコ
ピーを添付することを推奨する。後続のOQでは、コンフィグレーショ
ンにより設定された機能は、設定値の読み合わせのみとしてかまわな
い。
(つづく)

★次回は、「SDLCの概要 その3」です。

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★一言アドバイス
【品質保証(QA)とは】
日本ではQAのことをQuality Auditと勘違いされているように感じます。
日本の多くの製薬企業においては、承認された成果物に対して
Retrospectiveに抜き取りによって監査が行われるのが一般的です。こ
の方法では、非監査部門が行ったCheckを繰り返していることになりま
す。海外から、日本ではQA部門がQCを行っていると揶揄されることも
あります。皮肉にも日本の製薬企業が新薬申請するデータは、Checkを
繰り返し行っていることから、最も精度が高いとされています。しか
しながら、業務プロセスの品質保証がなされていないと指摘されてい
るのです。
当然のことながら、QAはQuality Assuranceのことです。QAで大切なこ
とは、システムの企画・設計・開発・運用の各フェーズにおいて、第
三者の観点から規制要件、自社のポリシー、手順書と照らし合わせて
レビュすることです。システムの完成後に監査を行い、不足事項を指
摘しても、それでは後の祭りです。QA部門は、被監査部門と協力し合
って、業務の節目節目で、プロセスの品質保証を与えることが大切と
いえます。

■□====編集後記==============================================
◆最近、遅ればせながら「冬のソナタ」にはまっています。DVDで見て
います。韓国語講座はどこもいっぱいらしいですし、ツアーも盛況ら
しいですよね。冬のソナタは最初はくさいストーリーと思いながら見
ていましたが、だんだんと引かれていきました。この時代において純
愛ものが流行るというのも何となくわかるような気がします。「冬ソ
ナ2」も収録されるらしいです。これからは亜細亜ですよ。みなさん!
のりこ

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