20040601号
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2004.06.01発 ■□■
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・CSV実践講座 第1回 【はじめに】
・弊社協賛セミナーのお知らせ
・一言アドバイス 【IQの目的】
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◆配信中止・配信先変更は、support@eCompliance.co.jpまでお知ら
せください。
バックナンバーの閲覧は、以下のHPからお願いします。
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もうまもなく梅雨ですね。うっとおしい季節ですが、いかがお過ごしですか?
おかげさまをもちまして、イーコンプライアンスもメルマガを発行することとなりまし
た。
最初のテーマはCSV講座です。
実は、出版社から何度も本の原稿を書くように要請されているのですが、中々進
まないんですよね。
で、メルマガだと毎週締め切りにあわせてちょっとづつ書いていけば、いずれは
本になるかなぁ、なんて思いついて始めちゃいました。
最初のうちは、既に書いてある本の内容をCut & Pasteすれば良いんですけど、
そのうちネタが尽きてくれば苦しくなるかもしれません。
本の原稿ですから、「本書」等と出てきますが、勘弁してください。
皆様からのご意見、ご感想、ご質問もお待ちしております。
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◆CSV実践講座 第一回 【はじめに】
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最近になって、多くのコンピュータバリデーションに関する書籍が発刊されるよう
になった。しかしながら、ほとんどの書物は概念的であり、具体性にかけるものと
なっているようである。
製薬各社にとっては、実践的でかつ実用に供する具体例のあるバリデーションド
キュメントの作成方法が望まれているであろう。ともすると、目的を間違ってしまい、
また何のために行っているのかわからないままドキュメントを作成しているケース
が多く見受けられる。これでは、作成する人も何をどのようにどこまで行って良い
のかが全く分からなくなってしまう。このような作業は苦痛の極みである。
一方、厳重にバリデーションを行おうとするあまり、いわゆる青天井的にとめどなく
作業とドキュメンテーションを行っている企業もある。これでは本末転倒であり、バ
リデーション作業が十分に納得(安心)できないために、システムの稼動が遅れ
遅れになってしまうケースが見受けられる。そういった事態を改善し、効率的で最
大の効果を出すためにも、まずはSOPを整備しなければならない。SOPはPractical
(実践的)でなければならない。せっかく作成したSOPも、社員にとって難解であっ
たり、実践向きでなかったりしたら、結局は見向きされなくなってしまうことになる。
そんな状況を鑑み、本書を発刊することとした。
本書は、コンピュータバリデーションの本質と目的をつぶさに記述し、実践のため
の方法論を解説したものである。最初にお断りしておかなければならないことは、
本書で記述したCSVの方法論(メソドロジー)は、その多くが筆者の経験に基づい
たものであり、これだけが唯一正しいというものではない。製薬各社においては、
全く別のやり方、方法論を用いていることと思う。そんな場合においても、ぜひ本
書を参考にしていただければ幸いである。
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世界的な競争が激化している製薬業界において、新薬開発に要する時間と申請
準備期間の短縮は至上命題といえる。また新薬の審査を行う規制当局において
も、審査期間の短縮、情報の正確な把握と対応にせまられている。これらの状況
によってICHにおいては、電子的な申請の形式である、eCTDが議論されてきた。
医薬開発における、データおよびドキュメントの電子化は、作業の効率化、品質
向上、情報再利用の促進をもたらす。その結果として企業内、企業と当局間、ま
た当局内において時間とコストの効率化を図ることができる。
このように電子化のメリットは言うまでもないが、手作業による紙の記録に比べ
て、電子化されたデータは改竄(証拠を残さない変更)が容易かつ改竄の発見が
困難になるため、不正改竄から守る特別な管理が必要とされる。また医薬開発
で扱うデータは、安全性、有効性、品質に関するものであり、人の健康に幅広く
関係するもので最高の品質と完全性がなければならない。従って、業務プロセス
がコンピュータ化された際に、その品質がコンピュータ化以前と同等またはそれ
以上である事を保証しなければならないことは言うまでもない。つまり製薬企業
は、コンピュータシステムの完全性、正確さ、信頼性および一貫したパフォーマン
スに対する要求事項に適合していることを保証し、文書化しておく必要がある。
FDAによると、医薬におけるバリデーションとは、「文書化された証拠を確立して
ゆく作業であり、これはあらかじめ定めた仕様や品質にあった製品を継続的に
生産するプロセスに対して、高度の保証を与えるものである。」とある。FDAが重
視するのは、臨床開発のプロセスおよびその結果である。「プロセスを無視した
結果の達成はありえない」のである。プロセスには開発および運用段階の作業
管理を含んでいる。
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筆者は長年にわたり、臨床試験管理システムや臨床データ管理システム等のア
プリケーション・システムを開発、サポートしてきた経験を持つ。その際にある製薬
企業の情報システム部員から、「パッケージシステムをカスタマイズしないで導入
するのだから、バリデーションは不要ではないか」という指摘を受けたことがある。
つまり彼は、バリデーションとはコンピュータシステムの導入テストあるいはソフト
ウェアの不具合(バグ)の発見のことであると考えているのである。これは言うま
でもなく間違いであり、その理由を解説することを試みたのが本書である。
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コンピュータシステムの本来の複雑性により、網羅的なテストだけではシステム
が正しく稼動しているとか、エラーを起こしていないとかの確証はもてない。
そこで、コンピュータシステム開発の全ライフサイクルに渡って欠陥を最小限に抑
えるような健全な工学的で高品質なプロジェクト管理のプラクティスを行うことが
重要である。
コンピュータシステム使用によるユーザのメリットは言うまでもない。
1. 操作手順さえ覚えれば誰にでも使用できる
2. データを簡単に修正できる
3. 作業手順の変更が容易である
4. 大量のデータを迅速に処理し、かつ容易に保存できる
これに対して、利点が逆に問題になる。
1. 作成されたプログラムの内容は、容易には確認できない
2. 紙の記録、手書きの署名と比べて、「電子記録」「電子署名」
は、改ざん(証拠を残さない変更)が容易かつ改ざんの発見が困
難になる。
例えば紙の記録を変更する際は、通常オリジナルのデータが読めるように二重
線で打ち消し、新しいデータを書き添え、また同時に署名も行う。
一方ネットワークに接続されたコンピュータ上の電子データは、誰にも気づかれ
ないうちに、遠隔地から証拠を残さず変更をすることが可能な場合がある。FDA
がセキュリティ(アクセスコントロール)に関して執拗に要求事項を記述している
所以である。作成時に意図しなかった作業を追加した場合、不測の問題が生じ
ることがあるシステムが複雑になるほど管理、保守の面も含めてコンピュータの
信頼性、安全性に多くの問題を含むことになる
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近年のITの進化と共に、製薬会社のプロセスの中でコンピュータシステムが利用
される機会が多くなってきた。製薬会社で扱うデータは、安全性、有効性、品質に
関するものであり、人の健康に幅広く関係するもので最高の品質と完全性がなけ
ればならない。
従って、業務プロセスがコンピュータ化された際に、その品質がコンピュータ化以
前と同等またはそれ以上である事を保証しなければならないことは言うまでもな
い。
一方において、経営者のビジネス上の関心事は、コンピュータ化投資に見合った
リターン(ROI=Return On Investment)が得られるのかということである。
GXPシステムのROIとしては、下記の2通りが上げられる。
1. 効率性、経済性、信頼性があがること。
2. 人的なミスが削減され、やり直し作業が軽減されること。
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コンピュータシステムのバリデーションは、よく訓練されたペットを購入することと似
ている。購入後は期待通りに振舞って欲しいし、カーペットを汚さないで欲しい。
つまり追い込み状態で新薬申請書類を書いている際に、システムがクラッシュして
欲しくないのである。またペットを買う(飼う)ということは、そのLifetimeに責任を持
つということでもある。毎日餌をあげないといけないし、散歩にも連れて行き、健康
具合もチェックする必要がある。コンピュータシステムを導入する際も、最初のバリ
デーションの後、継続した変更管理や繰り返しテスト、メンテナンス、バックアップと
システム監査等が必要なのである。
ソフトウェアのValidationは外部企業やベンダーによって実施されるものが多いが、
そのソフトウェアの業務への適合性についての最終的な責任は医薬品メーカにあ
る。
Validationの適合性を評価できる記録は、医薬品メーカで保管する義務がある。規
制当局は、システムの開発期間中と、リタイアまでの稼動期間中の両方について
そのライフサイクルを管理することを求めている。
(つづく)
★次回は、「CSVの概要」です。
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★弊社協賛セミナーのお知らせ
GAMP4にもとづいて、CSVのメソドロジーと成果物の実際を徹底的に解説します。
大阪開催です。
お申し込みはこちら↓
http://www.gijutu.co.jp/doc/s_406190.htm
2日間の講座です。1日目の夕方には情報交換会を予定しております。
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★一言アドバイス
【IQの目的】
最近ある製薬企業で「ベンダーがIQドキュメントを用意していない」という不満を
聞いたことがあります。
ここで疑問。
「そのベンダーは、製薬業界でIQが必要要件であることを知っていながら、インス
トレーション作業時にIQを行わないのか?
つまり、こちらから要求しないとIQをしないで、またExtra Chargeをとるのか?
そのベンダーでは、作業の品質保証をどういう考え方にもとづいて行っているの
か?」
IQの目的には次の2つがあります。
1.設計された仕様どおりにシステムが正確に設置されることを保証するための文
書化
2.災害の際などの即時復旧を行うための文書化
IQはベンダーにとっては彼らが作業するための必要最低限の文書であり、作成は
当然なのです。でなければ、作業が効率的に進まないばかりか、何かあった際に
対応が大変です。また障害発生時の再現が不可能になってしまいます。
ではIQはどの程度詳しく書くべきかですが、私は「専門家が見て作業できるレベル」
と定義しています。
災害復旧などの際にはやはり専門家(通常当該ベンダー)に作業を依頼するでしょ
う。素人が見て作業(理解)できる資料にする必要性はないわけです。
■□====編集後記==============================================
◆いかがでしたか?
今後の予定は、GAMP4を参考に、SDLC(Software Development Life Cycle)を
解説していきます。
その後は、URS、FS、DS...の書き方をサンプル事例を元に解説します。
さらにCSV SOPの作成方法も解説しちゃいます。
その頃には日本版Part11も出ているでしょうから、これも書いちゃいましょうか。
【 重要事項 】
★本メルマガに記載の現行の著作権は(有)イーコンプライアンスにあります。
★本メルマガの全部または一部を引用する際には、事前にご連絡をお願いします。
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■□■□ ご意見・ご質問の寄稿をお待ちしています ■□■□
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