20040608号
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・CSV実践講座 第3回 【CSVの概要 その2】
・一言アドバイス【バリデーション報告書の目的】
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◆CSV実践講座 第3回 【CSVの概要 その2】
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3. CSVの実施対象
3.1 CSVの実施対象期間
コンピュータシステムを導入するということは、ペットを飼う(買う)
ことと似ている。
例えば、「犬を飼おう」と考えたとする。まずは、「どんな犬にしよ
うか?」と検討することになる。とりあえず数件のペットショップを見
て回ることにするが、「どのペットショップにしようかな?」と悩むこ
とになる。ペットショップを選ぶ方法として、他のペット愛好家に相
談してみることも有効である。思案の末、飼育状態も良さそうだし、
詳しい店員もいる、またアフターケアも充実しているといった、より
信頼できるペットショップを選択することになる。
後日犬を飼ってみて、「意外と手間とお金がかかる」事に気がつく。
つまり、家の中でカーッペットを汚されたら困るので、躾をしないと
いけない。つまり「行儀良く」してもらわなければならないのである。
また病気になったら、獣医に診てもらわなければならない。万が一の
ために近所の獣医を探しておき、診察時間を記憶しておくことも重要
である。
しかしながら、動物はいずれ死んでしまう。丁重に埋葬することも忘れ
てはならない。
さて、ペットを飼うということと、CSVがよく似ていることがお分かり
いただけるだろうか。
まず「犬を飼おう」という要求は、「ユーザ要求」に相当する。
「どんな犬にしようか?」は、「パッケージ調査」。
「ペットショップを見て回る」は、「ベンダーオーディット」。
「他のペット愛好家に相談」は、「リファレンスコール」つまり同業
他社を訪問して当該ベンダー(またはパッケージ)の評価を得る。
「躾」は、トレーニング。トレーニングの対象はユーザのみならず、
サポートするIT部門も対象となる。
「獣医に診てもらう」は、定期メンテナンス(バックアップなど)や
障害時のベンダーサービスに相当する。
「死んでしまう」は、「廃棄」に相当する。廃棄は慎重に行わなけれ
ばならない。つまり大切なGXPデータを保持しているからである。当
局による査察が予想される場合は、特別な配慮が大切である。通常、
システムの導入は、廃棄の検討から開始することになる。
以上のようにペットを買う(飼う)ということは、そのLifetimeに責
任を持つということでもある。コンピュータシステムを導入する際も、
導入計画から要求検討、設計、構築、導入、テスト、また利用期間中
の継続した変更管理や再テスト、メンテナンス、バックアップとシス
テム監査等が必要なのである。
つまりCSVはシステムのサービスインまでのみを対象とするのではなく、
システムの稼動中および廃棄までを対象とするのである。
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3.2 Computerized System Validation(CSV)とは
医薬業界におけるバリデーションは、コンピュータシステムのみを対
象とするのではなく、コンピュータ化されたシステムを対象とする必
要がある。これをComputerized System Validation(CSV)と呼ぶ。
コンピュータ化されたシステム(Computerized System)とは、「コン
ピュータシステム」と「業務プロセス」を統合したものである。
「コンピュータシステム」は、ハードウェアとソフトウェアから構成
され「業務プロセス」は、人、標準業務手順書(SOP)と、設備(例え
ば測定機器、CRF、筆記具など)から構成される。
FDAは単にコンピュータシステムにバグや不具合のないことを要求し
ているのではないのである。紙ベースのオペレーションがコンピュー
タ化された際に、規制要件の適用を受けるデータの品質および品質保
証が、劣化しないという保証を求めているのである。FDAにとってみ
ると、製薬企業がコンピュータシステムを使用しようがしまいがあま
り問題ではない。それよりも業務をコンピュータ化することによって、
何らかの問題が発生しないかという懸念を払拭することが重要である
のである。
ソフトウェア自体のバリデーションは外部企業やベンダーによって実
施されるものが多いが、そのソフトウェアの業務への適合性について
の最終的な責任は製薬企業にある。またそのバリデーションの適合性
を評価できる記録は、製薬企業で保管する義務がある。FDAは、シス
テムの開発期間中と、リタイアまでの稼動期間中の両方についてその
ライフサイクルを管理することを求めている。
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3.3 規制要件が適用されるGxPデータとアプリケーション
CSVを計画するに当たって、まずは規制要件が適用されバリデーショ
ンが要求される、データおよびシステムを特定する必要がある。
a.GXP Data: 規制当局に対して安全性(Safety)有効性(Efficacy)
品質(Quality)を証明するために使用される全てのデータ
b.GXP Application System: 上記GXP Dataを扱い、またはGXP規制要
件に従った業務をコントロールする全てのソフトウェアアプリケーシ
ョン
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3.4 CSVの対象範囲
CSVは自社開発、外部委託開発、外部購入ソフトウェアのいずれを問
わず対象となる。ソフトウェアにCSVの焦点が当たる理由は、一般的
にソフトウェアは変更が容易と考えられ、また不具合がおきやすいた
めである。ただしその主旨から扱うデータが安全性、有効性、品質に
何ら関係しないシステム(例えば旅費精算システム等)である場合は、
CSVから除外してもよいと考えられる。またコンピュータ・メーカ開
発のOSやDatabase等のシステム系ソフトウェア自体は対象外として扱
ってよい。
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4. バリデーションとは
FDAが1987年に発行した「Guidelines on General Principles of
Process Validation」によると、医薬におけるバリデーションとは下
記のような定義がされている。
"Establishing documented evidence which provides a high
degree of assurance that a specific process will consistently
produce a product meeting its predetermined specifications and
quality characteristics."
(文書化された証拠を確立してゆく作業であり、これはあらかじめ定
めた仕様や品質にあった製品を継続的に生産するプロセスに対して、
高度の保証を与えるものである。)
一度読んだだけでは理解しがたいが、大切なのは2点である。まずは
「文書化」である。文書がないということは、保証ができないという
ことである。つまり文書は品質の証明となるのである。
もう一点は、「あらかじめ」である。バリデーションの基本は、事前
に計画があるということである。「たまたまやったら、たまたま良い
結果が出た。」では、再現性がなく、品質の保証は出来ないのである。
医薬における"常識"は、「緻密な計画にもとづいて、緻密に実行し、
予定された仕様の結果を得る。」ということである。
ちなみにFDAの査察では、バリデーション計画書の提示を求められる
ことが多いということである。
(つづく)
★次回は「SDLCの概要 その1」です。
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★一言アドバイス
【バリデーション報告書の目的】
各社でCSVドキュメントのレビュ依頼を受けることが多くあります。
その中でよくコメントするのは「バリデーション報告書」の書き方で
す。何社かで経験したのは「バリデーション計画書」と「バリデーシ
ョン報告書」がほぼ同じ内容になっているということです。つまり、
Cut & Pasteをして「〜をする」を「〜をした」に変更しているので
しょう。「計画」と「結果」が一致するというのは、実は奇妙です。
「バリデーション報告書」を執筆する際に必要なのは、「計画」から
の逸脱を記載することです。つまり、計画通り実施できた事項に関し
てはあまり記載の必要がなく、むしろ計画通り実施できなかったこと
を「正当化できる理由」と共に記載しなければなりません。
バリデーション期間中の障害や、変更のサマリーとそれらによるイン
パクト(リスク)を十分評価し、たとえ障害や変更があったとしても
サービスインしてもかまわないという理由(または回避すべき事項)
を検討してください。
■□====編集後記==============================================
◆おかげさまでメルマガの第3号が発行できました。いわゆる3日坊主
にならないようにがんばります。
東京は梅雨に入り、傘を持って出るのが必須となりました。来週は、
南の島へスキューバダイビングに行く予定です。原稿がたまらないよ
うに今週中に書かないといけないです。
梅雨が明けると蒸し暑い日本の夏がやってくるのでしょうね。
身体の方もバリデートしておかなければなりませんね。
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