『臨床評価と性能評価』

ISO 13485:2016の「7.3.7 設計・開発のバリデーション」には、下記のような要求がある。

設計・開発のバリデーションの一部として、組織は、適用される規制要求事項に従い、医療機器の臨床評価または性能評価を実施する。

つまり、医療機器および体外診断用医薬品の承認・認証申請にあたっては、臨床評価または性能評価が必須である。
臨床評価は医療機器の申請・認証に必須であり、性能評価は体外診断用医療機器・体外診断用医薬品(IVD)の承認・認証に必須である。
なお、臨床評価および性能評価(臨床試験を含む)は設計バリデーションの一部である。
また、臨床評価または性能評価に用いる医療機器は、顧客の使用のための出荷とは見なさないとされている。
一方で、非臨床試験(例:安全性試験等)は設計ベリフィケーションの一部である。

臨床評価
ISO 13485:2016の定義によると
3.3 臨床評価
製造業者の意図に従い使用したとき、医療機器の臨床的安全性および性能を検証するための、医療機器に関する臨床データの評価および分析
とある。
つまり、臨床評価とはそのものの有効性と安全性をヒトで評価することである。
そもそも医療機器はヒトに対して使用するものであるため、ヒトにおける有効性と安全性を評価することは当然であり、臨床評価は必須となる。この概念は欧州の自己認証から出てきたものである。
具体的には、
・文献評価
・使用実績
・不具合報告
・マーケティング
・臨床試験
などが相当する。
臨床試験は治験(治療的実験を略した用語)とも言われ、医療機関において医師などが実際の患者等に対して実施するいわば人体実験である。
臨床試験は医療機器によって必須である場合と、そうではないケースがあり得る。

性能評価
ISO 13485:2016の定義によると
3.13 性能評価
体外診断用医療機器を、その意図する用途を達成する能力を確立または検証するためにデータを分析し評価すること
とある。
体外診断用医薬品とは、疾病の診断に使用する医薬品で、身体に直接使用しないものである。
例えば、血液・尿便・唾液などを検査するために使用する試薬のことである。
体外診断用医薬品をIVD(in vitro diagnostics)と呼ぶ。Vitroの語源はラテン語であり、オランダ語ではビードロという。ビードロはガラスを意味する。子供の頃に遊んだ記憶のあるビー玉はガラス玉のことである。つまりin vitroは、ガラス管の中(例:試験管)で組織・体液等を検査するものである。
一方、生体そのものを使用して実施する試験をin vivoと呼ぶ。

本邦における臨床評価・性能評価
上述したとおり、ISO 13485:2016や欧州の医療機器規制(MDR)では「臨床評価」を医療機器の評価、「性能評価」を体外診断薬の評価というように用語を明確に区別しているが、本邦における現行のQMS省令は、ISO 13485:2003をベースに発出されているため、臨床評価と性能評価の厳密な定義と区別がなされていない。
また基本要件基準 第18条によると、「性能評価」は全ての機器において必要とされている。
参照:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第四十一条第三項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準

本邦における性能評価は、非臨床試験および臨床試験を含んだ広い概念であると解釈できる。
また、臨床評価という用語は薬機法にもQMS省令にも記載がない。したがって、臨床評価は必須であるとの要求事項はない。
ただし、承認が必要な機器(クラスIIIまたはIV)については、製造販売承認申請の際に臨床試験データまたは臨床評価データの添付が求められている。

参照:「医療機器の製造販売承認申請について

なお、本邦における臨床試験の必要性の判断については下記の通知を参照されたい。
医療機器に関する臨床試験データの必要な範囲等について

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