PIC/Sデータインテグリティガイダンス発効(その1)

2021年7月1日付で「GOOD PRACTICES FOR DATA MANAGEMENT AND INTEGRITY IN REGULATED GMP/GDP ENVIRONMENTS」(GMP/GDP規制下におけるデータマネジメントとインテグリティに関する実践規範)が発効された。
全体で63頁にも及ぶ大作である。
これまで、FDAをはじめ、MHRAやWHOなどもデータインテグリティに関するガイダンスを発行しているが、内容を見ているとそれらの集大成といったものと言える。網羅的で非常に要点がまとまっている。
ここで注意しなければならないことは、PIC/Sは規制当局(査察官)の集まりであるということである。したがって、本ガイダンスは査察官がGMP/GDP査察実施時にデータインテグリティ査察を実施する際の留意事項が記載されている。
製薬企業においては、査察対応のためのガイダンスとなるかも知れない。
また当然のことながら、PIC/SであるがゆえにGLPやGCPには言及していない。

本ガイダンスの特徴
本ガイダンスの目的は、GMP/GDP規制下における良好なデータマネジメントに対する査察官のガイダンスを提供することである。
またリスクベースドアプローチによる査察を意図している。また査察官にクリティカルシンキングを使用して査察することを要求している。
Good Data Managementは、GMPにおける医薬品品質システム(PQS)のすべての要素に適用されることが明記されている。(GDPでは品質システム)
またデータインテグリティの原則は、電子記録と紙記録の両方に等しく適用されることも明記されている。当然のことながらハイブリッドシステム(電子記録+手書き署名)にも適用される。
データインテグリティの定義は「データが完全で、一貫性があり、正確で、信頼でき、データのライフサイクル全体にわたってデータの特性が維持される度合い」であるとしている。
データマネジメントおよびインテグリティに関する実践規範に対する責任は、査察を受ける製薬企業側にあること、また、潜在的な脆弱性についてデータマネジメントシステムを評価し、データインテグリティを維持するための優れたデータガバナンスプラクティスを設計および実装するための措置を講じる責任が製薬企業にあることが明記されている。

本ガイダンスのスコープ
本ガイダンスは、基本的には、製造(GMP)および流通(GDP)活動を行うサイトのオンサイト査察に適用される。また本ガイダンスの原則は、製品ライフサイクル全体のすべての段階に適用される。
本ガイダンスは、リモート査察(遠隔査察)にも適用されるが、データガバナンスシステムの評価に限定している。(データの検証および手順書との比較が困難であるため)

データガバナンスシステム
本ガイダンスでは、査察官に対して、企業がデータガバナンスシステムを適切に構築しているかどうかを調査する手順を記載している。
データガバナンスとは、データインテグリティを保証する総体である。これにより、データの生成、記録、処理、保存、取得、使用が行われるプロセス、形式やテクノロジーに関係なく、データライフサイクル全体を通じて、帰属性があり、読みやすく、同時性があり、オリジナルであり、正確性、完全性、一貫性、永続的、および使用可能な記録が保証される。(いわゆるALCOA+:ACLOACCEA)
データガバナンスシステムは、医薬品品質システム(PQS)において不可欠なものである。データガバナンスシステムにおいて、ライフサイクル全体にわたってデータの所有権に留意し、意図しない変更や削除などの抑止、データインテグリティの原則に準拠するために、プロセスとシステムの設計、運用、監視を検討する必要がある。
(その2に続く)  (その3)

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