日本版ER/ES指針の適用範囲について研究するページ


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日本版ER/ES指針の適用範囲

通知文によると、「申請等に関する資料及び当該資料の根拠となるいわゆる原資料を電磁的記録により提出又は保存する場合の留意事項」とある。
ここで、日本版ER/ES指針では、当局に提出した書面を「資料」と呼んでいる。従って製薬企業には「資料」は残っておらず、「資料の写し」があるである。
また「原資料」とは、当局に提出した「資料」を作成するための根拠とした資料のことである。
GCPで言うところの「原資料」とは定義が違うので注意が必要である。「原資料」は、製薬企業で保存しておかなければならない。

また適用範囲の項には、
「(1) 提出する資料として電磁的記録又は電子署名を利用する場合
「(2) 保存が義務づけられている資料として電磁的記録又は電子署名を利用する場合
とある。
つまり日本版ER/ES指針は、当局が受け取る書面を電磁的記録により提出する場合と、当局が査察(書面調査)する書面を電磁的記録により保存する場合の要件であるといえる。
従って、これら書面を紙媒体で作成したり、紙媒体で保存する場合には基本的には適用を受けないことになる。

これら書面は共に、社内において何らかの方法で承認を行っておかなければならない。
承認を行っていない書面を当局に提出したり、当局に提示することはあり得ないからである。
一般に製薬企業の臨床開発部門では、医療機関からの症例データの獲得(EDC)から、データマネージメント(CDM)、統計解析、申請文書管理(CTD、eCTD)など電磁的記録を利用している場合が多い。
しかしながら、上記のような日本版ER/ESの適用範囲を考慮した場合、データマネージメントや統計解析のデータベースや出力帳票などは、保存を義務付けられている書面に相当しない。
従ってCDMSや統計解析システムは、日本版ER/ESの適用を受けないと考えられる。

ここで注意が必要なのは、厚生労働省令第44号に定められていない書面は電磁的記録により保存できない。
例えばGMP省令関連の「文書」と「記録」において、厚生労働省令第44号によると、電磁的記録による保存が認められているのは「文書」だけである。「記録」は電磁的記録による保存が認められていない。

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