セミナー講師
株式会社DCTA 代表取締役 畠山 達彦 氏
[ご専門]機械工学、物理化学
[ご経歴]
1989年三菱化学入社。プラスチックの開発・技術・生産を経て、三菱化学グループ(国内・中国)内製工場設立や設計、建築、立ち上げ、製造部責任者を歴任。2014年に立ち上げたDCTA社では、前職の生産管理スキルを活かし、製造系企業の工場改善支援や経営改革コンサルタント事業を中心にプラスチックのリサイクル技術開発や商品展開様々な工場運営に関わるIoTやAIソリューションの構築などの活動を行っている。また、γ線を遮蔽するフレキシブルコンテナ技術(特許)で、福島原発復興PJに参画中。一方、環境事業も積極的に展開しており経済産業省主催のCLOMA(クリーンオーシャンマテリアルアライアンス)活動のチームリーダーを務め、インドネシア、ベトナム、フィリピン、モーリシャスでの海洋プラスチックごみ削減プロジェクトを担当。国際的な廃棄物管理とリサイクル技術に関する深い知見を持ち、地域ごとの廃棄意識やリサイクル温度差を把握し、具体的な対策を提案しています。特許を多数取得。
[受賞歴]液晶ポリマーの開発
[DCTA社HP]
https://www.dctainc.com/
[投稿サイト] note
https://note.com/iceman_23/
セミナー趣旨
2026年、私たちは「エネルギー」と「資源」の二つの安全保障が同時に揺らぐ、歴史的な転換点に立っております。ホルムズ海峡の事実上の封鎖により、原油の中東依存度が約95%という日本の構造的脆弱性が改めて顕在化し、化石燃料からの転換と再生可能エネルギーの戦略的重要性が、これまでにない切迫感を持って語られるようになりました。
一方、その再エネ設備(太陽光パネル、風力発電、蓄電池)は、ネオジム、ジスプロシウム、リチウム、コバルトなどのレアアース・レアメタルを多用しております。2026年1月の対日輸出規制で露呈したとおり、これらの調達も特定国に強く依存している現実があります。エネルギー転換を進めれば進めるほど、新たな資源依存が深まるという、ねじれた構造の中で、私たち製造業はどう動けばよいのでしょうか。
本セミナーは、その答えの中核に「資源循環」を据えてお話しいたします。再エネ設備の大量廃棄時代がいよいよ目前に迫る中、使用済みパネル・風車・蓄電池からの有価物・レアメタル回収は、廃棄物処理の問題から「経済安全保障の主戦場」へと位置づけが変わりつつあります。本セミナーでは、再エネ拡大とリサイクル技術を切り離さず、エネルギー安全保障と資源安全保障を同時に高める道筋を、技術・採算・政策・国際連携の各側面から立体的に整理いたします。
講師は、大手ケミカルHDで30か国以上の工場運営と機能性樹脂開発を経て、2014年11月に株式会社DCTAを創業した畠山達彦でございます。CLOMAインドネシア協力WGチームリーダー、リサイクル分析WGデータベース構築チームリーダーを務め、AEPW・RECEICとも連携しながら、国内外のリサイクルソリューション構築の最前線で活動しております。本セミナーでは、座学の整理にとどまらず、東南アジアの現地で動かしてきた実装プロジェクトの生情報、そして製造現場と静脈系現場の双方を知る講師ならではの「現場で本当につまずく理由」まで、具体的にお伝えいたします。
再エネを「導入」だけでなく「出口」まで設計したい方、レアメタル調達リスクへの現実的な備えを探している方、サーキュラーエコノミーを事業に組み込みたい方にとって、明日からの一手が見えるセミナーとしてお届けいたします。
1.はじめに:エネルギー安全保障と資源安全保障が同時に揺らぐ時代
・講師自己紹介と、本セミナーで特にお伝えしたい問題意識
・ホルムズ海峡の事実上の封鎖と、原油中東依存度約95%という日本の構造的脆弱性
・化石燃料の供給不安が、改めて押し上げた再生可能エネルギーの戦略的重要性
・ところが、再エネ設備はレアアース・レアメタルを多用するというねじれ
・2026年1月の対日レアアース輸出規制が露呈させた、もう一つの安全保障問題
・「導入」だけで終わらせず、「出口(リサイクル)」まで設計する必要性
2.再エネ設備の大量廃棄時代が、すぐそこに来ている
・国内・世界の再エネ導入量と、ストックされた設備の現状
・設備別に見る、これからの廃棄の波
- 太陽光パネル:2030年代以降の急増シナリオと、想定される廃棄量
- 風力発電設備:ブレード、ナセル、ジェネレーターの更新サイクル
- 車載・定置用蓄電池:EV普及とともに迫る大量廃棄
・各設備に含まれる有価物・有害物の整理(銀、銅、シリコン、レアアース磁石、リチウム等)
・現状の処理体制と、追いついていない部分
・「適正処理」から「資源回収」への発想転換が求められる理由
3.太陽光パネルのリサイクル:現場の課題と技術動向
・パネル構造の理解(ガラス、セル、封止材、バックシート、フレーム)
・分離技術の最新動向
- ガラスと金属の分離:物理的手法と熱処理の比較
- 封止材(EVA)の処理が招く現場のトラブル
・微量金属(銀・レアメタル等)の回収の難しさと意義
・回収・運搬・処理のコスト構造と、採算が成立する条件
・国内外の処理・リサイクルの取り組み事例(NEDO関連実証、欧州先行事例ほか)
・不法投棄リスクと、トレーサビリティ確保の重要性
4.風車・蓄電池のリサイクル:レアメタル回収という戦略的価値
・風車のリサイクル
- ブレード(GFRP/CFRP)処理の難しさと、解決アプローチ
- ジェネレーター内永久磁石(ネオジム・ジスプロシウム)回収の意義
・蓄電池のリサイクル
- リチウム・コバルト・ニッケル等の回収技術(湿式・乾式・直接リサイクル)
- 黒鉛・銅などのレアメタル外の有価物の取り扱い
・再エネ設備のリサイクルが、レアメタル調達リスクの緩和に直結する構造
・「都市鉱山」を理念ではなく事業として捉え直す視点
5.サプライチェーン全体で見る、再エネ×資源循環の経済安全保障
・レアアース・レアメタル供給構造の現状
- 採掘から精製・加工までの工程別シェアと、特定国集中の実態
- 「採掘地を分散しても、精製で特定国を経由する」構造問題
・規制・制裁が突きつけた、企業にとっての実務的影響のタイムライン
・国家備蓄、代替調達ルート、フレンドショアリングの位置づけと限界
・国内回収・精製技術の確立という長期戦の構図
6.事業化の壁を越える:採算・スキーム・連携の現場知
・回収レアアースのコスト構造と、市況変動が事業に与える影響
・回収量を確保するための、製品回収スキームの設計
・リサイクル材を使う側(磁石・部品メーカー・自動車メーカー)との連携の進め方
・重希土類フリー磁石、設計段階での依存低減という「合わせ技」
・オフテイク契約(買い取り約束)の重要性と交渉の勘所
・補助金頼みから脱却するための収益設計の考え方
7.国内循環と国際連携:強靭なサプライチェーンへ
・国内での回収・精製拠点づくりに向けた産官学連携の動き
・重要鉱物の国内循環を促す政策動向(1兆円規模の行動計画ほか)
・CLOMA・AEPW・RECEICを活用した国際連携の進め方
・インドネシア中部ジャワ州リサイクルタウン構想の現状と、東南アジアでの実装
・友好国との資源連携と、企業の関わり方
8.まとめ:明日から動くための、現実的な一手
・自社製品・設備に含まれる重要鉱物を、まず把握することから
・回収・代替・備蓄を組み合わせた、現実的なリスク低減策
・再エネ導入時点で「出口」を設計する、これからの当たり前
・受講者の現場課題を持ち寄ったディスカッション
9.質疑応答
・事前ご質問への回答および当日の質疑応答