本書は2017年発刊の書籍
「[FOWLP・FOPLP/混載部品化]次世代半導体パッケージの開発動向と今後必要なパッケージング・材料技術」の続編として企画されました。前書の4章(「今後(2015年~)のパッケージング技術」)に対する更新情報に、車載用パワーデバイスの内容が加えられています。
半導体チップの保護に用いられる封止材やその周辺材料は、改良を重ねながら半導体パッケージング技術の進化に対応してきましたが、最先端パッケージのFOWLP/FOPLPや、セキュリティの観点から今後重要性が高まると予想される回路基板(複数部品)の封止、高発熱化するパワーデバイスの封止においては、既存材料のカスタマイズではなく新たな発想に基づいた新規材料による対応が必要になりつつあります。
そこで今回は「改革期を迎えた半導体パッケージングと材料技術」をタイトルとして、これらの新規技術について解説します。本書は以下の内容で構成されています。
■1章 先端半導体パッケージング技術
スマートフォン用最先端薄型パッケージであるFOWLP/FOPLP(FOPKGs)を対象に、現状の課題、さらなる軽薄短小高速化に向けて必要となる材料を解説します。具体的には以下の3つの材料について、役割・要求特性・材料構造イメージに言及します。
〇チップ裏面を保護するための「外部保護材料」
〇子基板方式FOPKGsの薄型化に寄与する「内部接合材料」
〇FOPKGsの接続回路に用いる「回路絶縁材料」
また封止材料層が薄くなるFOPKGsでは、従来の封止方法では均一性、微細性の面で課題があり、新手法開発の方向性にも言及します。
■2章 混載部品のパッケージング技術
現在、製品の保護やセキュリティ等の観点から、半導体パッケージおよび各種電子部品を搭載した回路基板(混載部品)を保護するためのパッケージングが検討されています。
そこで、スマートフォン用通信モジュールとECU等の車載用ボードを対象に、どのようなパッケージング技術・材料が検討されているのかを解説します。軽薄短小であることを前提に、応力への対応、高速通信を阻害しないこと、複数部品を対象とすることによる複雑な熱歪・形状への対応、といった難易度の高いパッケージング技術・材料が求められます。
■3章 車載用パワーデバイスのパッケージング技術
この章では、はじめに車載用パワーデバイスのパッケージング・封止材料技術の開発経緯の概要を解説し、その上で発熱対策の面から今後必要となる封止・材料技術に言及します。
従来の技術では今後の高発熱化に対応することが困難になるため、現在新たなパッケージ構造、材料が検討されています。新規の材料技術として、「保護材料」、「境膜材料」、「密着材料」の3つを挙げて、これらの役割やどのような材料が検討候補となるのかを解説します。