本分野において、理論と具体的な製造技術の両面から解説した書籍は少なく、さらに押出材料としてプラスチックに加えゴムも対象とした解説書はありませんでした。
本書では豊富な実務経験を持ち、現在は多くの企業の技術指導にあたっている西澤氏を著者に迎え、実務経験を元にした現場で役立つ技術情報をまとめました。同氏の講演セミナーではその分かりやすさに好評を集めており、寄せられた質問をもとに技術者の悩みどころを押さえた解説を収録しました。
本書は以下の内容で構成しています。基本理解から実務課題の解消にぜひお役立てください。
第1~2章
押出成形の原理から成形機の構造、加工工程、適正な押出機・ラインの考え方、押出材料の加工性指標となる8つの項目、加工工程中にチェックすべき5つの項目などの基礎事項を解説しました。
第3章
生産性・品質向上のために必要な具体的な実作業の解説として、材料別の適正加工条件導出のための各種指標とその評価方法、押出機の設計(スクリュー、ブレーカープレート、メッシュ、ヘッド、ダイ)、加工工程の構築、注意点などについて、理論と検証例、各種のデータを豊富に用いて解説しました。
第4章
より材料に焦点をあてて、プラスチックスとゴムの加工性の違い(ゴムの特異性)、加工性の指標(粘度、圧力損失、応力緩和係数、粘弾性、PI)、加工性向上のための混練技術・配合技術について添加剤の種類や配合量などの具体例を挙げて解説。また特に生産性を高める技術として、押出成形―連続加硫(架橋)技術の仕組み、特徴、技術動向を、3章から一歩踏み込んだ設備・工程での生産性向上施策にも触れています。
第5章
押出成形品の品質を低下させる各種の不良・トラブルについて、その原因と対策法を解説。材料側から見た対策、押出機および加工条件から見た対策の両面から具体的な説明を行います。フィッシュアイ、メルトフラクチャー、ボイド、Pゲル、Eゲル、外径変動、脈動(サージング)、ウェルドライン(融着線)、目やに、ダイ膨張 、ブルーム、ブリード,プレートアウト 冷却歪みの他、ゴム特有のトラブル事例も扱います。
第6章
生産性、品質向上の他、コストダウンや製品の性能向上、新規機能性材料に対応する成形技術、可視化・オンライン計測、シミュレーション技術など押出成形技術・製品の幅を広げる技術動向を扱いました。
バレル内面改良型押出機、バリアー型ミシング型スクリュー、ギヤーポンプ押出機,多層同時押出機、ガス発泡方式押出機、可変成形押出機,二軸押出機,多軸押出機ほか、オンラインでの粘度・分散性試験法・可視化技術 、ー押出機内流動解析ソフトなど。
第7章
押出成形技術の中で特に重要な点について総合的な説明をするために、これまでに寄せられた質問も踏まえQ&A形式でまとめました。6章までの内容と合わせてより理解を深めて頂くためにぜひご活用ください。