■6月11日(木):『薬物動態解析 入門1-コンパートメントモデル解析(講義と演習)』
<講習会のねらい>本セミナーは、創薬研究や開発初期段階で薬物動態解析に携わる初級~初中級レベルの企業研究者を対象に、薬物動態解析の基礎を体系的に学ぶことを目的としています。
モデリング&シミュレーション(M&S)は、近年の医薬品開発において不可欠なアプローチとなりつつあり、薬効・毒性予測、ヒト薬物動態予測、薬物相互作用評価など、創薬段階から臨床開発まで幅広い場面で活用されています。本講座では、M&Sを担う人材育成の第一歩として、薬物動態解析入門シリーズ(1~3)の最初のステップとなる「コンパートメントモデル解析」を中心に、
講義と演習を通じて実践的に理解を深めます。
コンパートメントモデル解析は薬物動態解析の基本であり、PBPKモデルやPK/PD解析を行う上でも必須の知識です。
本セミナーでは、教科書的な理論に加え、企業研究者の視点から「実務で本当に役立つポイント」を盛り込み、実験データの当てはめやシミュレーションをExcel(ソルバー、ゴールシーク等)を用いて実際に操作しながら学びます。理論だけでなく、解析のつまずきやすい点、モデル選択の考え方など、現場で直面しがちな課題にも触れ、実務に直結するスキル習得を目指します。<初級、初中級向き>
1.モデリング&シミュレーションの基礎 医薬品開発におけるM&Sの役割と有用性を概説します。
2.コンパートメントモデル解析とは モーメント解析やPBPKモデルとの違いを整理し、コンパートメントモデルで何ができるのかを理解します。
3.各種コンパートメントモデル 1-コンパートメント、2-コンパートメント、マルチコンパートメントモデルの構造と特徴を学びます。
4.ラプラス変換による微分方程式の解法 解析解の導出に必要な基礎をわかりやすく解説します。
5.吸収プロセスを含むモデル 0次吸収・1次吸収、反復投与、蓄積比などを扱い、反復投与シミュレーションを演習します。
6.薬物動態パラメータの理解 クリアランス、分布容積、AUC、半減期など、解析の基盤となる指標を整理します。
7.プロットによる解析(当てはめを使わない方法) 残差法、シグママイナスプロットを用いた解析を演習形式で学びます。
8.最小二乗法による当てはめ解析 残差平方和、重み付け、AIC、Excelのゴールシーク・ソルバーの使い方を実践します。
9.数値計算(ルンゲクッタ法) 線形・非線形モデルの数値シミュレーションを体験します。
10.解析の実際 解析解と数値積分の使い分け、うまく解析できない例など、実務での判断ポイントを紹介します。
11.演習問題(自習用)
12.質疑応答■6月12日(金):『薬物動態解析 入門2-非コンパートメントモデル解析(講義と演習)』
<講習会のねらい>本セミナーは、創薬研究や薬物動態評価に携わる初級~初中級レベルの企業研究者を対象に、非コンパートメント解析(NCA)を体系的に学ぶための実践的プログラムです。薬物動態解析入門シリーズの第2弾として、モデリング&シミュレーション(M&S)を担う人材育成を目的に、基礎から実務応用までを一貫して理解できる構成としています。
薬物動態解析入門1~3では、コンパートメントモデル解析、非コンパートメントモデル解析、生理学的薬物速度論(PBPK)解析を段階的に学び、創薬段階での薬効・毒性予測、ヒト薬物動態予測、薬物相互作用予測などに必要な基礎力を養います。
特に非コンパートメント解析は、大学・企業を問わず最初に実施される解析でありながら、体系的に学ぶ機会が少なく、その重要性が十分に認識されていない領域です。AUCやMRT、分布容積などのパラメータの意味を誤解したまま実務に用いられるケースも見受けられます。本セミナーでは、
モーメント解析とデコンボリューション解析を中心に、データの特徴を正しく捉えるための思考法と計算手順を丁寧に解説します。モーメント解析は「知っていそうで知らない」解析法の代表であり、平均滞留時間(MRT)をはじめとするパラメータの本質を理解することで、薬物動態データの解釈力が大きく向上します。また、デコンボリューション解析は吸収過程の評価に極めて有用で、理解すると応用範囲が広がる重要な手法です。さらに、Wagner?Nelson法やPBPKモデルとの関連、非線形動態におけるAUC・MRTの扱いなど、実務で直面しやすい論点も取り上げます。
講義だけでなく、複数の演習を通じて実際に手を動かしながら理解を深められる点も本セミナーの特徴です。尿中排泄データからのパラメータ算出、ラプラス変換との関係、組織モデル構築、PK/PD解析への応用など、現場で役立つ視点を随所に盛り込みます。<初級、初中級向き>
1.医薬品開発における薬物動態解析
2.モデル非依存解析がなぜ重要か?
3.モーメント解析(知っていそうで知らないモーメント解析) (1) モーメント解析とは(平均滞留時間:MRT を説明できますか?)
(2) パラメータの意味と求め方
(3) クリアランスと分布容積
演習1・2 (4) 尿中排泄データからの求め方
(5) ラプラス変換との関係(コンパートメントモデルを例に)
(6) 生理学的薬物速度論モデル解析との関係
(7) 非線形動態におけるAUC、MRT、分布容積
演習3
4.デコンボリューション(吸収評価に有用、理解すると応用範囲が広い)
演習4
5.Wagner?Nelson法(徐放化製剤の評価に有用、シミュレーションも可能)
6.実際の解析への利用 (1) 吸収評価(モーメント、デコンボリューション、Wagner?Nelson法)
(2) 代謝物の評価
(3) 生理学的薬物速度論で用いる組織モデルの構築
(4) PK/PD解析での応用
ほか
7.演習5・6
8.質疑応答■6月19日(木):『薬物動態解析 入門3-生理学的薬物速度論(PBPK)解析(講義と演習)』
<講習会のねらい>創薬研究において、薬物動態(PK)解析は薬効・毒性の予測、ヒト体内動態の推定、薬物間相互作用の評価など、あらゆる段階で重要な役割を担います。本セミナーシリーズ「薬物動態解析入門1~3」では、コンパートメントモデル解析、非コンパートメントモデル解析、そして生理学的薬物速度論(PBPK)解析という三つの基盤を体系的に学び、モデリング&シミュレーション(M&S)を担う人材の育成を目指しています。
今回の「薬物動態解析入門3」では、シリーズの集大成として
生理学的薬物速度論(PBPK)モデル解析 を取り上げます。
PBPKモデルは、生体の構造や血流、生理機能を反映したモデルであり、機能変化に伴う体内動態の変動を予測できる点が大きな特徴です。In vitro から in vivo への外挿、薬物間相互作用の予測、肝障害・腎障害時の動態変化、加齢による機能低下の影響など、応用範囲は非常に広く、創薬研究における必須の解析手法となっています。しかし、多くの研究者は市販ソフトを用いて解析を行う一方で、PBPKモデルを「ゼロから組み立てる」経験を持つ方は多くありません。
本セミナーでは、
PBPKモデルの基本構造、必要となる生理学的パラメータの取得方法、モデル構築の考え方を丁寧に解説します。さらに、
簡単なモデルから段階的に構築し、シミュレーションを行い、その結果を解析してパラメータを算出するという演習を繰り返すことで、実務に直結する理解を深めていただきます。実際にデータを扱いながら、PBPK解析の流れを疑似体験できる点が本セミナーの大きな魅力です。<初中級、中級向き>
(コンパートメントモデル、非コンパートメントモデル解析の知識が必要です。)1.生理学的薬物速度論解析の基礎 PBPKの位置づけと薬物動態解析における役割を整理します。
2.組織クリアランスの考え方
抽出率、アベイラビリティ、肝臓・腎臓モデル(Well-stirred、parallel tube、dispersion、5-compartment)を
解説し、Rb値、血漿非結合型分率、肝固有クリアランス、GFRなど必要パラメータの理解を深めます。
演習では Fh の計算、in vivo データからの固有クリアランス推定、血流律速・固有クリアランス律速の違いを
体感します。
3.分布容積と Kp 値 Kp値の概念、Vss・Vz との関係を整理し、演習で定常状態分布容積や Kp 値を算出します。
4.モデル構築演習 物質収支式の組み立て方を学び、肝のみのフローモデル、肝+筋肉、肝+筋肉+脳(排出トランスポーターの有無)など
段階的にモデルを拡張します。
さらにモーメント解析やデコンボリューションによるパラメータ算出、脳分布シミュレーションも行います。
5.質疑応答