電磁的記録の作成について研究するページ


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電磁的記録の作成

厚生労働省令第44号の第6条(電磁的記録による作成)には、以下のように記載されている。

「当該書面に係る電磁的記録の作成を行う場合は、民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法又は磁気ディスク等をもって調製する方法により作成を行わなければならない。」

ファイルに記録する方法とは、CD-R等のメディアに、作成したファイル(書面)を記録しておく方法である。例えば、治験実施計画書、総括報告書、申請資料などを電子的に保存する場合がそれに相当する。
また、磁気ディスク等をもって調製する方法とは、通常は書面の形式ではなく、日々採取される記録を経時的に蓄えておく方法である。電子帳簿、電子カルテ、CRFなどがそれに相当する。

代表的なシステムは、前者ではeCTDシステムが考えられ、後者はEDCシステムがあげられる。
ファイルに記録する方法の場合、電磁的記録を作成したシステムから外に出て保存されることになり、監査証跡が自動的に記録できなくなる。この場合、デジタル署名などを用いて、非改ざん性を担保する必要がある。
一方、磁気ディスク等をもって調製する方法では、システム(いわゆるクローズドシステム)の中に記録が管理されている状態であり、監査証跡が自動的に採取されている場合、非改ざん性は担保されている。しかしながら、その出力等(例:CRF)を他のシステムに送信する場合(いわゆるオープンシステム)には、デジタル署名等の技術を用いて、非改ざん証明を担保しなければならないことになる。
EDCシステムなどは、治験実施中はCRF情報がシステムのデータベースに蓄えられているが、治験終了後には、ファイルに記録し保存する必要がある。

また、GCPの定めるところにより、医療機関でCRFの写しの保存を行う必要があるが、その真正性を担保するためには、デジタル署名などが必要となる。
また、ファイルに記録する方法では、多くの場合pdfが用いられることになると思われるが、pdfは技術の一つであることから、常にマイグレーションが必要となる。つまり現在のバージョンのpdfが、5年先に読み出せるという保証はないのである。これは見読性の課題である。
また医療機関にCD-Rなどの媒体を用いて配布した場合には、保存性の問題も生じる。すなわちCD-Rの保証期間はせいぜい5年程度であるからである。しかもこれは推奨保存条件を守った場合であって、もし傷をつけたり、高温・多湿の環境など劣悪な条件で保存した場合は、その限りではない。

このように電子ファイルによる保存では、「真正性」「見読性」「保存性」の用件が常に問題となるので、注意が必要である。

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