EDCをはじめよう


イーコンプライアンス ウェブセミナー


EDCについて研究するページです。

*万が一文中に解釈の間違い等がありましても、当社では責任をとりかねます。
 本文書の改訂は予告なく行われることがあります。

【第14話】 手順書を作成しよう

EDCシステムを使用するための手順書(SOP)を作成しましょう。
SOPを作成する際には、データマネージメント手順書、モニタリング手順書の改訂も必要ですよ。

紙のSOPとEDCのSOPは違う

現行のSOPで、CRFの前に“電子”をつけただけではEDC治験のSOPにはならないですよ。なぜならば、”紙”と”電子”では、手順が大きく異なることがあるからです。

たとえば、GCPでは、治験責任医師が自らCRFの写しを作成して保管したうえで、治験依頼者にCRF原本を渡すことになっています。しかしながら、EDCでは、逆になるんですね。治験依頼者がEDCシステムで電子CRFを2枚CD-Rに作成し、1枚を医療機関に手渡すことになるんです。この時に、関係のない症例をCD-Rに入れないように気をつけましょう。製薬会社では、医療機関に納品したものと同じCD-Rを保管しておきましょう。もし万が一、医療機関で紛失、破損した際にも同じものがコピーして持って行けるからです。

またEDCシステムでは、印鑑を使用しなくなります。したがって、印影一覧表を作成しません。その代りにアカウント管理表を作成して、EDCのユーザを管理するわけです。つまりEDCを使用した治験では、印影一覧表の代わりにアカウント管理表を作成します。印影一覧表は治験責任医師等、医療機関関係者のみでありましたが、アカウント管理表では、EDCシステムを使用する全ユーザが対象となります。つまり、製薬会社のモニターやデータマネージャも記載されるわけですね。アカウント管理表は、EDCシステムが自動的に出力することが望ましいです。なぜならば、治験責任医師等の転勤などに伴って、ユーザの新規登録や無効化(削除してはいけませんよ!)などを行うたびに、最新のものを出力しなければならないからです。EDCシステムによっては、ユーザがアカウント管理表を出力することができず、毎回ベンダーにお願いしなければならないものがあるので、注意が必要です。

またSDVを実施する際にも、ちょっと戸惑うことがあります。臨床試験データを電子的に取得した場合、どれが原資料(原データ)かわからなくなってしまいます。だって測定されたデータが、手入力ではなく、電子的にコピーされていた場合などは、必ず一致します。したがって原資料との一致性をSDVで確認するのではなく、あらかじめバリデーションを行っておくことになるのです。

さらに紙CRFではなかった手順書や操作マニュアルも作成が必要です。

  • UQS(User Quality Survey)
  • アカウントの管理(アカウント管理表、セキュリティ)
  • 監査証跡確認(治験責任医師、規制当局)
  • EDC撤去後(ASPサービス終了後)のCRF訂正
  • ASPサービス契約をいつ終了するべきか?
作成すべきSOP

 

手順書名

内 容

備 考

1

EDC運用手順書

・EDCシステム運用に関する責任者、管理者、組織、設備の規定
・EDCシステム運用のために作成する成果物(文書)の規定
・EDCシステム稼働中及びEDCサーバからの各段階での・電子症例報告書原本の特定の記載
・電子署名の要件、管理方法、運用手順についての記載

添付資料:EDCの導入・運用フロー図

2

ベンダーマネジメント手順書

・EDCシステムの構築・運用を委託する際のベンダーの管理方法及び責任範囲を規定
・ベンダーの管理手順の記載
・ベンダーに委託した業務の品質保証方法及びその手順の記載

・ガイダンス4.1章に対応

3

データマネジメント手順書

データマネジメントを実施するシステム、方法、責任者について詳述

 

4

モニタリング手順書

モニタリング実施手順及びSDV実施手順について詳述

 

5

電子署名運用手順書

・電子署名を運用する際の要件、管理方法、責任者、責任範囲、アカウント管理方法を規定
・電子署名運用の教育についての記載
・電子署名の運用手順を記載

・ガイダンス4.1章4)に対応
・アカウント管理方法については、ユーザ登録・変更・削除手順書に含めることも可能

6

電磁的記録の保存に関する手順書

・電子記録の保存の方法、場所、責任者を規定
・電子記録の維持方法が妥当であることを証明するためのリスク評価の結果の記載
・治験責任医師に保存を依頼する際の要件を規定
・電子症例報告書の写しが治験責任医師によって保存されていることを確認する手順の記載
・保存した電子記録の検索方法の記載

・ガイダンス4.1.1章3)、4.1.3.1章、4.1.3.2章A.4.2.3章に対応

7

ユーザ登録・変更・削除手順書工事中

・EDCシステムへのユーザ登録・変更・削除(無効化)に関する責任とアカウント管理方法を記載
・EDCシステムへのユーザ登録・変更・削除(無効化)の手順を記載
・本人性の確認方法についての記載

・ガイダンス4.1.1章1)、3)に対応

8

教育訓練手順書

・EDCシステム利用者の適正利用のための教育訓練の詳細(権限に合わせた教育コース、資料、講師、時期等)と手順を記載

・ガイダンス4.1.1章1)に対応

9

電子データ取込手順書

・医療機関または中央検査機関の電子データを取込む際の医療機関と責任依頼者の責任範囲及び責任者についての記載
・データの受入、確認方法、データの取り込み手順の記載
・取込んだ電子データの信頼性の確認手順の記載
・医療機関または中央検査機関が合意した品質管理を行っていることを確認するための手順の記載

・ガイダンス4.1.1章1)、4.2章、4.2.1章に対応
・ベンダーマネジメントの手順書に含めることも可能

10

EDCシステム利用手順書

・モニター向けに試験の運用方法に従ったEDCシステムの操作方法を詳述
・治験責任医師向けに試験の運用方法に従ったEDCシステムの操作方法を詳述
・治験分担医師、CRC向けに試験の運用方法に従ったEDCシステムの操作方法を詳述
・DM向けにEDCシステムの操作方法を詳述

 

11

監査証跡確認手順書

・電子症例報告書の内容を変更した際の監査証跡の確認方法及びその手順を記載

・ガイダンス4.1.1章3)に対応
・電子署名運用手順書に含めることも可能

12

バックアップリカバリ手順書

・バックアップ及びリカバリ方法を規定
・バックアップデータからデータを復旧した場合の原本を規定
・バックアップリカバリの検証計画及びその結果を記載
・バックアップリカバリ手順を記

・ガイダンス4.1.1章5)に対応

13

EDC 利用における社内監査チェックリスト

・社内監査のためのチェックリスト

 



<<前の記事へ    EDCをはじめようTOPへ戻る    次の記事へ>>



用語集





QMS構築支援

FDA査察対応