バリデーションとベリフィケーションの違い 潟Cーコンプライアンス


バリデーション(妥当性確認)とベリフィケーション(検証)の違い

筆者はしばしばバリデーションとベリフィケーションの違いが分からないと質問を受けることがある。
FDAは"ベリフィケーション" と"バリデーション"を別々の異なる用語として扱っている。
一方では、多くの業界では"ベリフィケーション" と"バリデーション"という用語を交互に用いていたり、V&Vなどのように、ひとつのコンセプトとして言及し、区別は存在しないとしていることもある。

では、FDAが定義するバリデーションとベリフィケーションの違いは何であろうか。

バリデーション(妥当性確認)とは

将来的に設計品質どおりの製品が製造できることを証明すること。
設定どおりにプロセスが管理できることを証明し、一貫性を持って規格に適合する製品が製造できることを証明することである。

ベリフィケーション(検証)とは

設計品質どおりの製品が製造できたことを確認すること。
設定どおりにプロセスが管理できたことを確認し、規格に適合した製品が製造できたことを確認することである。

つまり、「バリデーション」は未来形であり、「ベリフィケーション」は過去形である。こう覚えると理解しやすい。
ただし、いずれにせよその目的は患者の保護である。
つまりバリデーションとベリフィケーションの目的は最終的には同じで、製品の品質を保証し、患者の安全性を確保することである。
事前にバリデーションを実施しようが、事後にベリフィケーションしようが、製造するまたは製造した製品の品質を高度に保証し、患者の安全性を担保しなければならない。

ではどのような場合にバリデーションが必要かというと、破壊検査しかできない工程である。
なぜならば破壊検査をしてしまうと製品として出荷することは出来ない。
そのため、サンプリング検査を実施しせざるを得ないのである。
しかしながらサンプリング検査には限界がある。
例えばポテトチップスを10,000個製造したとしよう。
その中から30個をサンプリングし異物検査を実施したとする。
いずれも異物が見つからなかったとしよう。
しかしながら残りの9,970個のいずれかに異物が混入している可能性がある。
これがサンプリング検査の限界である。
そこであらかじめバリデーションを実施しておき、絶対に異物が混入しないことを保証しておかなければならないのである。

一般に製薬工場のようにプロセス産業(装置産業)においては、破壊検査(サンプリング検査)が基本となるため、ほぼ全工程においてバリデーションの実施が必須である。
しかしながら医療機器企業のようなディスクリート産業においては、ベリフィケーションが中心となる。
なぜならば医療機器の多くは非破壊検査が可能であるからである。
例えば、オシロスコープで測定したり、テスターで測定したり、X線投影を実施するなどである。
つまり全品検査が可能である。
そのため、製造した製品(中間製品を含む)をベリフィケーション(検証)し、万が一不適合品(不良品)が見付かれば廃棄するかリワーク(製造し直し)すれば良いのである。
そのうえで、良品のみを出荷することが出来るのである。

しかしながら、医療機器においても破壊検査を伴う工程が存在する。
例えば、滅菌、半田付け、かしめ、接着、溶接、圧着などである。
例として接着が十分にできたかどうかは目視検査では判定できないため、破壊検査を実施する必要がある。
そのためサンプリング試験にならざるを得ない。
このように、後の工程で十分にベリフィケーション(検証)できない工程を特殊工程と呼ぶ。
特殊工程においては、事前にバリデーションを実施し、プロセスのアウトプット(中間製品、製品等)が規格を満たすことをあらかじめ高度に保証しておかなければならないのである。

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