医薬品企業だけでなく、あらゆる業種の企業にてお使いいただけます
学校で習う英語から離れて海外に飛び込めば,
あふれるほどイメージを取り入れた慣用句(idiom)が現地では使われています。
‘Put the cart before the horse’:「あべこべ」,「やり方が逆だ」,「本末転倒」
‘Apples and oranges, apples and apples’:「種類が違うので単純に比較できない」 などなど
最初にウォーミングアップをしましょう
以下に,普段使いの言い回しを10問選びました。英文と日本語訳の意味が皆さんの思っている通りであれば「合格」です。
そうだったかなぁというのが,いくつもあれば少し努力がいります。
質問1 That's it for today.
今日はそこまで。(お互いに内容がわかっているとき)
質問2 You asked for it.
自分がやったんだからしょうがないよね。自分の蒔いた種だからね。
質問3 You've got it right?( = That's right, isn't it?)
その通りやね? そうだよねー。
質問4 I can't figure it out how to do something. It is so complicated.
複雑すぎて,どうやったらよいかわからないよ。
質問5 I have my hands full all the time.
いつも忙しいよ。手がふさがっているよ。
質問6 It's up to you.
あなたの判断に任せる。あなた次第だよ。
質問7 That's just the way it is.
それしかないよ。仕方ないよ。
質問8 This(It)just isn't my day.
ついてないなぁ。今日は調子悪いな。何やってもあかんわ。
質問9 Those were the days.
あの頃はよかったなぁ。あの頃は楽しかったなぁ。
質問10 So are you.( = You are too.)
あなたもね。
本書をお読みいただき,現地で使う暮らしや職場での英語表現と,
正式に使用する表現の一端に触れていただき,
皆さんの「スイッチ」を押すお手伝いができれば幸いです。
どこからお読みいただいても現地の雰囲気が伝わることを期待しています。
本書の章立て
第1章 ネイティブと交わす暮らしと仕事場でのやりとり
第2章 日常の職場で使う英語,会議の英語は,まず短い表現を身につけよう
第3章 ビジネスの会議やプレゼンテーションでの好ましい表現・単語
第4章 聞き取れると面白い表現・言い回し
第5章 インパクトの強い単語や言い回し
第6章 趣味が語彙を豊富にし,ビジネスの潤滑油になる
まえがき
世界中から商品が手元に届く。グローバル企業と呼ばれる会社では,本拠地がどこにあるかわからない。様々な国の方々が,連絡を取り合ってビジネスを行う。そして企業の中にいてもいなくても,英語は耳に入ってきます。IT 技術の深化を感じつつ,何かもどかしさにとりつかれる。あと一歩グローバルの中に身を置けない,でも何かやってみたいという人は,少なからずいると思います。
もし,「横文字がね…」と言う人がいたらぜひページをめくってください。縦書きでも横書きでも人間の発想は同じ由来のものが多いです。もともと,文字は象形文字から始まっています。鳥や象はその形から簡略化された形を文字に,人間はそれらの形やイメージから想像し得ることを表現に取り入れています。
そして,人間の行動でも何か変だなということを言葉で表現するために,イメージを取り入れ慣用句(idiom)として使っています。英語も同じです。学校で習う英語から離れて海外に飛び込めば,あふれるほどそういう言葉が現地では使われています。
‘
Put the cart before the horse’という表現をシカゴに赴任してほどなく学びました。
「あべこべ」,「やり方が逆だ」,「本末転倒」というような意味ですが,なるほどと思いました。
馬は,後ろに進めないので的を射ています。
日本ではこういう表現はしません。日本にいても「あべこべ」の語源など考えたこともないですね。英語圏の方も同様に無意識にこのような表現を使っているはずです。
打ち合わせの場では,よく‘
Apples and oranges, apples and apples’など,会話の中に挟んでいました。なるほど,「
種類が違うので単純に比較できない」と言っているのだなと,そのときは感心しました。
こんな表現は日本語にはないぞと。それから,いろいろな面白い表現をノートに残し始めました。会話やE メールで気軽に連絡を取り合うときの表現や,正式な報告書や書面で使う英語など,知らない間にずいぶんたまってきました。赴任から数えて30年くらい経ちますが,いまだに新しい言葉や表現に惹かれます。
最近でも,街頭でのインタビューでMLB(メジャーリーグベースボール)の大谷選手のことを,
How do you compare apples and oranges? と言っていました。MVP 争いについて,ホームラン王と二刀流を「
どう比較するの,できないでしょ」というニュアンスがよく伝わりました。
本書で紹介している単語や表現は,全て海外もしくは海外の方とのやりとりで見聞きしたもので,仕事をしているときに各種専門雑誌や医薬品規制当局が使う言葉や表現などで目についたものも含めています。もちろん仕事で使う英語と暮らしで使う英語の間に明確な違いはありません。両方を学び,使い分けていくのが,英語的にものを考える早道だと思います。よく「グローバルマインドの醸成」と言いますが,このあたりにヒントが隠されているのかなとも思います。
そういう私も完璧な英語は使えませんし,いまだに“L”と“R”の発音はうまく伝わっているとは思えません。日本に在住している外国の方の話し方は何十年経っても日本語の抑揚の違いが私たちにわかるように,海外の英語圏で育たない限り,ネイティブになりきるのは難しいです。しかしながら,活字になっているものはいくらでも現地の英語に近づけます。
本書をお読みいただき,現地で使う暮らしや職場での英語表現と,正式に使用する表現の一端に触れていただき,皆さんの「スイッチ」を押すお手伝いができれば幸いです。どこからお読みいただいても現地の雰囲気が伝わることを期待しています。