バックアップ、アーカイブ、コピー、保存 について研究するページです


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バックアップ、アーカイブ、コピー、保存 について研究するページです。

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バックアップ、アーカイブ、コピー、保存

バックアップとアーカイブとコピーと保存を混同してはならない。それぞれ目的と方法が異なる。これがわからないと日本版ER/ESは正しく解釈できない。

バックアップ

アクティブなデータベースの複製(Duplicate)である。
目的は災害時に復旧ができることなどである。

電磁的記録は重要であることから、以下の運用を行なう必要がある。

(1)媒体の正副2重化以上の多重化を行なうこと。
(2)災害対策用に別地で媒体保管を行なうこと。

一般に、マグネチックテープにバックアップをとることが多い。マグネチックテープは、検索などの用には適さない。またバックアップは、適宜更新される。
したがって「バックアップ」と「保存」は目的が異なる。
電子媒体の場合の保存は、多くの場合、ハードディスク上で行われる。したがって保存性を確保するために 製薬企業がまず検討しなければならないのは、コンピュータシステムに接続されたハードディスク上の 電磁的記録である。
「バックアップ」はそのハードディスクのデュプリケートであり、災害の際などの復旧を主な目的とする。 したがってマグネチックテープなどは「保存」の目的には適切ではない。
日本版ER/ES指針では、「バックアップ」は「真正性」の要件であり 「保存性」の要件ではないことに注意すること。

アーカイブ

紙によるアーカイブは、資料保管庫の棚からダンボールなどに移して保存することをいう。これは申請および調査が終了したなどによって、あまり参照されなくなった資料に適用する。
電子の場合も同様で、変更しない(インアクティブ)データを別のストレージ(ハードディスク)に移行することをさす。 このことにより、アクティブなデータベースを常に最適な状態(ボリューム、検索スピード、バックアップ時間)に維持できる。 ただし、アーカイブは検索ができる状態ではある。
アーカイブデータベースは更新頻度が少ないため、アクティブデータベースほどは 頻繁にバックアップを行う必要性はない。

コピー

電磁的認録媒体へのコピー」の意味を誤解している人が多いようである。 最も多い誤解としては、データベースのダンプをCD-Rのようなメディアにコピーすることだという理解である。 これは明らかに間違いである。
FDAでは、短期間の査察時間では十分な量のデータを調査しきれないため、 電子記録を持ち帰りたいという意向がある。 その際にオラクルのようなデータベースをそのまま持って帰っても、その目的は適わないのである。

また紙媒体で持ち帰ろうとすると、大量になる上、持ち帰った際に検索等ができない。
紙に印刷するかわりに、pdfやxmlのフォーマットで出力して欲しいと言うことである。 その他、コピー可能なフォーマットとしては、SASのデータセット、EXCEL、Word、プレーンテキスト等が考えられる。

保存

紙媒体での保存と同様、手順書等の規定で定められた書類(多くの場合は承認された文書)を、整理された状態で維持することをいう。
注意が必要なのは、「保存」という言葉の意味である。
「保存」のタイミングを考えてみれば良くわかる。
紙媒体による「保存」を電子媒体に変更したからという理由で、保存のタイミングが早くも遅くもなるものではない
具体的には、まず紙媒体による保存を考えてみよう。 おそらく承認された資料(場合によっては原資料)を、鍵のかかるキャビネットに整理して置く状態を「資料の保存」としているだろう。
電子媒体になった場合も同様で、規制要件上正とする資料を、ドキュメント管理システムなどのセキュリティがかかったデータベースに、 ストア(チェックイン)することを「資料の保存」ととらえても良いと考えられる。

大げさに考えない方が良いのは、資料作成途上において、(昼休みや退社時に)自身のPC上に一旦セーブすることを「保存」と定義しないことである。
あくまでも会社として正式(つまりSOPで定められた)な「資料の保存」を指していると理解したい。

保存を検討する場合に、まず考慮しなければならないことは、「文書」と「データ」の区別である。
文書の場合、pdfなどに変換し、CD-Rなどの媒体で保存すれば良く、対応は容易である。
しかしながら、データそのものやデータベースやコード辞書と密接に連携している文書(CRFやモニタリング報告書など)は 通常アクティブデータベース上(すなわちハードディスク上)に維持しなければならない。
pdfをCD-Rなどの媒体に保存した場合、改ざんのリスクは低いと考えられるが、アクティブなデータベース上で維持する場合では、 セキュリティが問題となる。さらに万が一改ざんされた場合でも、それを発見できるように「監査証跡」の機能が必須要件となる

電子文書のライフサイクル
作 成 処 理 保 存 廃棄
Active Archive
MS-Word
MS-Excel
pdf
修正
レビュ
承認
紙文書のスキャン
電子署名
文書管理システム
RDBMS
WORMデバイス  
印刷
手書き署名(記名・捺印)
資料保管庫 ダンボール  
作成記録 変更記録 保管
ハードディスク
整理された状態
バックアップ
長期保存
検索可能
変更しない
 

用語集

QMS構築支援

FDA査察対応