ER/ESガイドライン


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ER/ESガイドラインについて研究するページです。

*万が一文中に解釈の間違い等がありましても、当社では責任をとりかねます。
 本文書の改訂は予告なく行われることがあります。

ER/ESガイドライン

1. 目的

本ガイドラインの目的は、○○製薬株式会社(以下、「当社」)における、電磁的記録及び電子署名の利用に関する対処方法を明らかにすることである。

本ガイドラインでは、「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等に関する電磁的記録電子署名利用のための指針」(「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について」薬食発第0401022号 平成17年4月1日 別紙)(以下「ER/ES指針」という)の解釈と適用方法について当社の取るべき姿勢を述べる。

2. 適用範囲
2.1 適用範囲

本ガイドラインは、下記の場合に適用する。

  1. 薬事法及び関連法令に基づいて、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の承認又は許可等並びに適合性認証機関の登録等に係る申請、届出又は報告等にあたって提出する資料として電磁的記録又は電子署名を利用する場合。
  2. 原資料、その他薬事法及び関連法令により保存が義務づけられている資料として電磁的記録及び電子署名を利用する場合。
  3. 上記1) 2)の資料等を最終的に紙媒体で作成する過程において、電磁的記録及び電子署名を利用する場合。
  4. 資料等を作成するにあたって、開発業務受託機関(Contract Research Organization: CRO)等を利用する場合、当該CRO等における電磁的記録電子署名にも適用する。
2.2 適用除外
  1. ER/ES指針発効日より前に保存または提出され、ER/ES指針発効日以降に変更されていない電磁的記録
3. 定義

本ガイドラインにおける用語の定義は、下記の通りとする。

3.1 電磁的記録

本ガイドラインにおける電磁的記録の定義を以下の通りとする。

  1. 薬事法及び関連法令に基づいて、医薬品等の申請等にあたって提出する資料を、電子的方式や磁気的方式によって記録したもの。
  2. 原資料、その他薬事法及び関連法令により保存が義務づけられている資料を電子的方式や磁気的方式によって記録したもの。
  3. 上記1、2において、電子署名を行った際の、電子署名に関するデータ。
  4. 上記1、2、3において、ともに記録されたメタデータ。
3.2 保存

書面又は電磁的記録を保存し、保管し、管理し、備え、備え置き、備え付け、又は常備することをいう。

3.3 保管

書面又は電磁的記録を一時的に維持することをいう。

3.4 保存情報

資料や原資料などの文書や、データなどの電磁的に保存された記録をいう。

3.5 監査証跡

正確なタイム・スタンプ(コンピュータが自動的に刻印する日時)が付けられた一連の操作記録。

3.6 メタデータ

データのためのデータである。監査証跡、パラメータ等が含まれる。

3.7 電磁的記録媒体

電磁的記録を保存する目的で使用される、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ等のメディアをいう。
本ガイドラインでは、電磁的記録を保存する目的で使用せず、一時的に保持する、USBメモリー等のメディアを電磁的記録媒体とは定義しない。

3.8 電子署名

電子的に署名を行う行為をいう。紙媒体において署名または記名・捺印を行う場合と同等の責任を有するものである。
本ガイドラインでは、電子的な署名と同時に、紙媒体において署名または記名・捺印を行う場合は、紙媒体上の行為を優先し、電子署名とは定義しない。

3.9 ハイブリッドシステム

電磁的記録に対して、紙媒体上で署名または記名・捺印を行うことをいう。

3.10 デジタル署名

電子署名の実現手段の1つであり、暗号化技術等により、当該個人又は法人であることの認証及び当該データについて改変(変更及び改ざん等)が行われていないことの確認ができる署名技術のこと。

3.11 災害

以下のような事象をいう。

  • 激甚災害(地震、火災等)
  • 人為的な破壊(ウイルス被害、テロ等)
4. 背景

電磁的記録および電子署名を利用するにあたっては、下記のようなリスクがあり、それらリスクを回避しなければならない。

  1. 電磁的記録の作成者がわからなくなるリスク
  2. 電磁的記録承認者がわからなくなるリスク
  3. 許可されていない者が電磁的記録の入力・変更を行うリスク
  4. 電磁的記録を上書きされてしまうリスク
  5. 電磁的記録を削除されてしまうリスク
  6. 電磁的記録および電子署名を改ざんされるリスク
  7. 電磁的記録および電子署名を誤って変更・削除してしまうリスク
  8. 不適切な者へ権限を与えるリスク
  9. 電磁的記録は直接人が読むことができないリスク
  10. 保存した電磁的記録および電子署名が消失・変質・破壊されるリスク
  11. 保存した電磁的記録および電子署名が読み出せなくなるリスク
5. 基本方針

ER/ES指針対応において、当社の基本方針を下記の通り定める。

  1. 電磁的記録による申請資料等の信頼性を確保すること。
  2. 電磁的記録利用システムはコンピュータ・システム・バリデーションによりシステムの信頼性を確保すること。
  3. 電磁的記録の「真正性」、「見読性」及び「保存性」を確保すること。
  4. オープン・システムを利用する場合は、電磁的記録が作成されてから受け取られるまでの間の真正性、機密性を確保するために必要な追加手段を適切に実施すること。
  5. 電子署名を利用する場合は、電子署名の信頼性を確保すること。
  6. 本ガイドラインの要件からの逸脱に関しては、必要な記録を作成すること。
6. ER/ES指針対応組織
6.1 ER/ES指針対応責任者

取締役○○○担当がその任につく。
当社における、ER/ES指針対応に対して責任を持つ。

6.2 ER/ES指針対応管理者

電磁的記録または電子署名を利用または管理する、部門の長がその任につく。

  1. 電磁的記録または電子署名を利用する部門の長
    自部門における、電磁的記録または電子署名の利用する際、本ガイドラインならびに関連する標準業務手順書を遵守していることを確認すること。
  2. 情報システム部門の長
    当社において、電磁的記録又は電子署名を利用するシステムを開発、導入、維持、保守、変更、廃棄するにあたって、本ガイドラインならびに関連する標準業務手順書を遵守していることを確認すること。
  3. 信頼性保証部門の長
    本ガイドラインならびに関連する標準業務手順書が、規制要件に適合していることを保証すること。
    当社において、電磁的記録または電子署名の利用する際、本ガイドラインならびに関連する標準業務手順書を遵守していることを保証すること。
    当社において、電磁的記録又は電子署名を利用するシステムを開発、導入、維持、保守、変更、廃棄するにあたって、本ガイドラインならびに関連する標準業務手順書を遵守していることを保証すること。
7. 電磁的記録利用のための要件
7.1 バリデーション
3.電磁的記録利用のための要件
3.1. 電磁的記録の管理方法
電磁的記録利用システムとそのシステムの運用方法により、次に掲げる事項が確立されていること。この場合、電磁的記録利用システムはコンピュータ・システム・バリデーションによりシステムの信頼性が確保されている事を前提とする。

電磁的記録利用システムはコンピュータ・システム・バリデーションによりシステムの信頼性を確保すること。

電磁的記録及び電子署名を利用するシステムについては、Computerized System Validation(以下、CSV)を実施しなければならない。
CSVは、対象システムが、完全性、正確性、信頼性及び意図された性能についての当社の要件を満たしていることを保証するために行う。

  1. CSVポリシー/CSVガイドラインに従い、CSVを実施し、文書化すること。
  2. 当該システムを使用するための手順書等を整備すること。
  3. 盲検化が行われている場合には、盲検性が保持されるようにすること。
  4. 原則として、監査証跡、タイム・スタンプ、デバイスチェック、アクセスログ、不正なアクセスへの試みの報告等に関するCSVも実施すること。
7.2 電磁的記録の真正性
3.1.1. 電磁的記録の真正性
電磁的記録が完全、正確であり、かつ信頼できるとともに、作成、変更、削除の責任の所在が明確であること。
真正性を確保するためには、以下の要件を満たすことが必要である。
7.2.1 電磁的記録の完全性

電磁的記録に不足がないこと、一貫していること、記録の意味が保たれていること。
これらを実現するためには、データと共にメタデータやマスターの情報が保存されていることが必要である。

7.2.2 電磁的記録の正確性

電磁的記録は、オリジナルの記録の通りに正しく入力されていること。必要に応じて読合せやダブルエントリーを実施すること。また、電磁的記録に対して、何らかのデータ処理が行われる場合、処理の前後のデータが正しく対応していること。

7.2.3 電磁的記録の信頼性

電磁的記録は、オリジナルであり、タイム・スタンプがつけられており、セキュリティで保護されており、改ざんから守られており、さらに変更などの記録がとられていること。また適時バックアップされていること。

7.2.4 電磁的記録の作成、変更、削除の責任の所在

電磁的記録は、次のことを立証できるものであること。

  1. 記録が主張しているとおりのものであること。つまり本物であること。
  2. 電磁的記録を作成または送付したと主張する者が、作成または送付していること。
  3. 主張された時間に作成し、送付していること。

ER/ES指針対応管理者は、各システムにおいて、以下のことを実施すること。

  1. 電磁的記録が真正であることを確実にするために、記録作成者に権限を与え、それが誰かを明確にすること。
  2. 許可の無い記録の追加、削除、変更、利用及び隠蔽から確実に記録が守られるように、記録の作成、取得、送信、維持及び処分を管理する方針及び手順を実施し、文書化すること。
  3. 監査証跡が自動的に記録されること。
7.2.5 セキュリティ
3.1.1. 電磁的記録の真正性
(1) システムのセキュリティを保持するための規則、手順が文書化されており、適切に実施されていること。

システムのセキュリティを確保することを求めており、それら規則、手順の文書化が必要である。
セキュリティには、物理的セキュリティ(入退出制限など)、論理的セキュリティ(パスワードなど)、ネットワークセキュリティ(ファイヤーウォールなど)などがある。
またパスワードを公言しないなど、人的なセキュリティにも配慮が必要である。

運用に関する要件

  1. 当社「情報セキュリティポリシー」「情報セキュリティガイドライン」に従うこと。
  2. 各システムのセキュリティを保持するための手順を文書化すること。
  3. システムのセキュリティを保持するための手順を実施し、その記録を残すこと。
  4. アクセス権限は、必要性のある個人に、必要な権限だけを与えること。
  5. アクセス権限を与えられた者の名簿を作成し、管理すること。
  6. 権限のない人が、システムへのアクセス(参照・変更・削除・送信・印刷等)、電子署名、記録の変更等を行えないように、定期的な権限チェックの実施方法をシステム毎の手順書等に定めること。
  7. 特権クラスのID(例:administrator、root、supervisor、system manager等)と一般クラスのIDは使い分けること。例えば、管理者でも一般業務を行う場合には、特権クラスのIDを用いずに、一般クラスのIDを用いること。
  8. 利用者の教育訓練や利用状況の確認を定期的に行うこと。
  9. 以下の保護対策を行うこと。
    施錠
    ファイヤーウォールの構築
    ウイルスチェックソフトの導入・更新

機能に関する要件

  1. 一定時間内(例:15分以内)に入力や操作がなければ自動切断されるか、パスワード入力を要求する設計になっていること。
  2. 電磁的記録へのアクセスログが随時参照できるようになっていることが望ましい。
7.2.6 監査証跡
3.1.1. 電磁的記録の真正性 (2) 保存情報の作成者が明確に識別できること。また、一旦保存された情報を変更する場合は、変更前の情報も保存されるとともに、変更者が明確に識別できること。なお、監査証跡が自動的に記録され、記録された監査証跡は予め定められた手順で確認できることが望ましい。

当社では、「保存情報の作成者」とは、関連する手順書等により定義された、「保存情報の確定者」と定義する。
また「一旦保存された情報」とは、「一旦確定された情報」と定義する。

運用に関する要件

  1. 監査証跡は、保存情報と同等の管理を行うこと。
  2. 監査証跡に正確なタイム・スタンプを付加するために、コンピュータ・システムの日付/時刻管理手順を文書化し、適切に実施すること。
  3. 例外として、システムにおいてトレース可能ではない電磁的記録の作成、変更、削除は、変更管理の手順に従って実施すること。
  4. 監査証跡情報は、保存情報に対して要求されている保存期間中は保存すること。
  5. 各システムの運用マニュアルに、監査証跡確認の手順を文書化すること。

機能に関する要件

  1. 確定された電磁的記録を、誰がいつ作成したか記録として残すこと。
  2. データ確定以降は、変更履歴が残ること(確定前に行われた入力エラーの修正等は変更履歴の対象としない)。
    • データ:電磁的記録として確定された時点から
    • 文書:少なくとも文書の内容が当社として確定した時点から
    • EDCシステム:治験実施医療機関から治験データを受領した時点から
  3. 監査証跡には、現在の状態から元の値まで、溯ってすべての変化をトレースするのに十分な以下の情報が含まれていること。
    • 変更前や削除前の情報
    • 正確なタイム・スタンプ(コンピュータが自動的に刻印する日時)
    • 記録を作成、変更、削除した者の識別子(コンピュータが自動的に作成)
    • 重要なデータの場合、変更や削除の理由(システムがユーザーに入力を求める)
  4. 原則として、監査証跡は規制当局の査察時に、ディスプレイ装置への表示、紙への印刷、及び電磁的記録媒体へのコピー(PDF、XML等、標準的なソフトウェアで判読可能なフォーマット)等ができること。
  5. 日付、時刻の表示は誤解のない表示であること。
7.2.7 バックアップ
3.1.1. 電磁的記録の真正性
(3) 電磁的記録のバックアップ手順が文書化されており、適切に実施されていること。

災害、誤操作、システム障害(ハードディスクの故障等)などにより電磁的記録の一部または全部を失うことがあっても、原状回復ができるよう、電磁的記録のバックアップ手順を定め、実施し、その記録を作成すること。
電磁的記録のバックアップ手順書には、バックアップの手順、及びバックアップされた電磁的記録からの原状回復の手順を含めること。

運用に関する要件

  1. 電磁的記録が失われることがあっても、原状回復ができること。
  2. 電磁的記録のバックアップは、同じ物理ディスクではない場所に作成すること。
  3. 電磁的記録のバックアップは1週間に1度以上実施すること。
  4. 電磁的記録のバックアップは、使用している電子媒体の推奨使用条件(耐用回数、耐用期限、温度、湿度等)に従い使用すること。
  5. 原則として、電磁的記録のバックアップは、システムとは別の場所に保管すること。
  6. 原則として、電磁的記録のバックアップは、鍵のかかる場所(鍵付の引き出しや金庫等)に保管すること。
  7. 電磁的記録のバックアップは、使用している電子媒体の推奨保管条件(防磁、遮光、温度、湿度等)に従い保管すること。
7.3 電磁的記録の見読性
3.1.2. 電磁的記録の見読性
電磁的記録の内容を人が読める形式で出力(ディスプレイ装置への表示、紙への印刷、電磁的記録媒体へのコピー等)ができること。

電磁的記録の内容を出力した際に、人が読むことができ、その意味を容易に理解することができること。
例えば、あるデータが、“1”であれば「正常」を、“2”であれば「異常」を意味する場合、数値データ (1, 2) と共にその意味(正常、異常)を維持、保存、及び出力できること。
見読性は、規制当局の査察や実地調査時、または社内監査時等において、電磁的記録を確認するために必要な要件である。

機能に関する要件

  1. 少なくともディスプレイに表示可能な電磁的記録は、電子形式のまま(標準的なソフトウェアで判読可能なフォーマットの)コピーを作成できること。
  2. 原則として、電磁的記録を読み取り専用のメディア(例:CD-R)にコピーできること。
  3. 原則として、監査証跡等のメタデータも含めてコピーできること。
7.4 電磁的記録の保存性
3.1.3. 電磁的記録の保存性
保存期間内において、真正性及び見読性が確保された状態で電磁的記録が保存できること。
保存性を確保するためには、以下の要件を満たすことが必要である。

電磁的記録の保存期間は、紙の記録に対する保存期間と同じである。

真正性が確保された状態とは、下記のことをいう。

  1. セキュリティで保護されている。
  2. 作成履歴、変更履歴がともに保存されている。
  3. バックアップが作成されている。

見読性が確保された状態とは、下記のことをいう。

  1. マスター(辞書)が保存されている。
7.4.1 電磁的記録媒体の管理等
3.1.3. 電磁的記録の保存性 (1) 電磁的記録媒体の管理等、保存性を確保するための手順が文書化されており、適切に実施されていること。

運用に関する要件

  1. 電磁的記録の維持、保存に使用する電磁的記録媒体は、信頼性や特性等を考慮し、使用目的等に応じて適切なものを選択すること。
  2. 電磁的記録媒体は、装置の故障や記録媒体の劣化等により読み取りできなくなる可能性があるため、電磁的記録の重要性等に応じて、装置の多重化や記録媒体の劣化対策などを考慮すること。
  3. 電磁的記録の保存性を確保するために、下記の事項等を考慮し、電磁的記録媒体の選択基準、及び運用管理手順を文書化し、実施すること。
    • 電磁的記録媒体の特性(保証期間、寿命、等)
    • 電磁的記録媒体の交換方法(周期、廃棄、等)
    • 電磁的記録媒体の保存環境(温度、湿度、粉塵、等)
    • 電磁的記録媒体の保存設備(施錠、耐火性、等)
    • 電磁的記録媒体の保存場所(施設内/外、等)
    • 電磁的記録媒体の定期点検(エラーログの確認、読み出し、リフレッシュ、等)
    • 保存期間中、電磁的記録媒体の特性に応じた頻度で新たな媒体へ記録を複写すること。
7.4.2 電磁的記録移行
3.1.3. 電磁的記録の保存性 (2) 保存された電磁的記録を他の電磁的記録媒体や方式に移行する場合には、移行された後の電磁的記録についても真正性、見読性及び保存性が確保されていること。

電磁的記録媒体やコンピュータ・システムが利用困難(記録媒体やソフトウェアサポート終了、アプリケーションの変更等)になることが想定される場合は、電磁的記録を他の電磁的記録媒体や方式に移行すること。

移行とは、下記のことをいう。

  1. 他の電磁的記録媒体への移行
  2. 他のコンピュータ・システムへの移行
  3. 電磁的記録作成時とは異なる電子ファイル・フォーマット(PDF、XML、SGML等)への移行
  4. マイクロフィルム、マイクロフィッシュ、または紙などの非電磁的記録媒体へ移行

運用に関する要件

  1. 移行に関する記録を残すこと。
  2. 移行後の電磁的記録の真正性及び見読性が確保されていることを確認し、その記録を残すこと。
  3. 移行後の電磁的記録移行前と同様の検索、並び替え、計算ができることを確認し、その記録を残すこと。
  4. アプリケーションの変更時等において電磁的記録移行が困難な場合、その時点までの電磁的記録については、変更前システム(ハードウェアソフトウェア等の構成を変更しない)上で保存することを考慮すること。この場合、変更前システムをいつでも稼動できる状態にしておくこと。
7.5 クローズド・システムの利用
3.2. クローズド・システムの利用
電磁的記録を作成、変更、維持、保管、取出または配信をするためにクローズド・システムを利用する場合は、3.1に記載された要件を満たしていること。また、電子署名を使用する場合には、4.に記載された要件を満たしていること。

クローズド・システムを利用するにあたっては、7.1から7.4の要件を満たすこと。
また電子署名を使用する場合には、8.の要件を満たすこと。

取出とは、保管(保存)していた電磁的記録を表示、印刷またはシステムへロードする作業を指している。また検索や抽出も取出に含む。

7.6 オープン・システムの利用
3.3. オープン・システムの利用
電磁的記録を作成、変更、維持、保管、取出または配信をするためにオープン・システムを利用する場合は、3.1に記載された要件に加え、電磁的記録が作成されてから受け取られるまでの間の真正性、機密性を確保するために必要な手段を適切に実施すること。追加手段には、電磁的記録の暗号化やデジタル署名の技術の採用などが含まれる。さらに、電子署名を使用する場合には、4.に記載された要件を満たしていること。

オープン・システムを利用するにあたっては、7.1から7.4の要件を満たした上で、デジタル署名などの技術を追加で利用し、機密性を確保すること。
また電子署名を使用する場合には、8.の要件を満たすこと。

運用に関する要件

  1. 電磁的記録の暗号化やデジタル署名の技術の採用等を実施する場合、適切な手順を定めること。
  2. GxPに係る電磁的記録を、インターネット等を経由して暗号化及びデジタル署名されていない電子メールにより受領した場合、申請等の資料等の作成に利用しないこと。
8. 電子署名利用のための要件
4. 電子署名利用のための要件
電子署名を利用する場合は、電子署名の信頼性を確保するために、以下の要件を満たすこと。

電子署名は、通常ユーザーIDとパスワードから構成される。

8.1 署名の責任
8.2 電子署名の運用
4. 電子署名利用のための要件
(1) 電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年5月31日法律第102号)に基づき、電子署名の管理・運用に係る手順が文書化されており、適切に実施していること。

電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年5月31日法律第102号)に基づき、電子署名の管理・運用に係る手順が文書化されており、適切に実施していること。

運用に関する要件

(省略)

機能に関する要件

(省略)

8.3 電子署名の唯一性
4. 電子署名利用のための要件
(2) 電子署名は、各個人を特定できる唯一のものとし、他の誰にも再使用、再割当しないこと。

運用に関する要件

(省略)

8.4 電子署名に含まれるべき情報
4.電子署名利用のための要件
(3) 電磁的記録による資料について電子署名を使用する場合は、署名された電磁的記録には以下の全項目を明示する情報が含まれていること。
・署名者の氏名
・署名が行われた日時
・署名の意味(作成、確認、承認等)

運用に関する要件

(省略)

8.5 リンク
4. 電子署名利用のための要件
(4) 電磁的記録に付された電子署名は、不正使用を防止するため、通常の方法では削除・コピー等ができないように、対応する各々の電磁的記録とリンクしていること。

電子署名は、削除や複製、変更等ができないように、対応する各々の電磁的記録と正しくリンクしていなければならない。

機能に関する要件

(省略)

9. 教育訓練

システムを開発する社員、システム管理者、ユーザー等は、ER/ES通知に関連する教育訓練を受講し、その教育訓練記録を残さなければならない。
教育訓練には、ER/ES全般教育、電子署名教育、システム操作教育、システム運用教育、OJT等がある。

(省略)

9.1 ER/ES教育訓練組織

ER/ES教育訓練に関する組織体制を確立すること

(省略)

9.2 ER/ES教育訓練の計画

(省略)

9.3 ER/ES教育訓練の実施

(省略)

9.4 教育訓練記録の作成・保管

(省略)

10. 電磁的記録電子署名の運用
10.1 手順書、記録等の作成・管理

(省略)

10.2 ユーザーIDとパスワードの管理

ユーザーIDとパスワードの安全性と完全性を確実なものとするように管理すること。

(省略)

10.2.1 ユーザーIDとパスワードの運用ルール

(省略)

10.2.2 ユーザーIDとパスワードの機能要件

(省略)

10.3 不正使用に対する対処

システムが不正に使用されないように、保護手段を設けること。

(省略)

10.4 システム時刻の管理

正確なタイム・スタンプを運用するために、システム時刻を正確に保つこと。

  • 定期的にシステム時刻を正しく調整すること。
10.5 ベンダーオーディット

当社で利用するコンピュータ・システム(ただし、ハードウェア、ネットワーク等のインフラ、及びオペレーティングシステムデータベースソフト等は原則として除く)を提供する業者については、ER/ES通知等に対して適切な対応・教育訓練等が行われていることを確認すること。

11. その他
11.1 ハイブリッドシステム

電磁的記録を紙媒体に印刷し、それに対して手書き署名または記名・捺印を行う場合(ハイブリッドシステム)は、以下の要件を満たすこと。

(省略)

11.2 日時の表示

日時の表示(記載)が求められる場合、誤解のない表示とすること。誤解の可能性がある場合は、日時表示方式を関係者に周知徹底すること。

(省略)

12. 本ガイドラインからの逸脱

本ガイドラインからの逸脱に関しては、その理由、対応、承認結果など、必要な要件を含む記録を作成すること。

13. 参考
  • 医薬品等の承認又は許可等に係る申請等に関する電磁的記録・電子署名利用のための指針(薬食発第0401022号)平成17年4月1日
  • Title 21 of the Code of Federal Registers Part 11, “Electronic Records; Electronic Signatures” FDA、1997年8月20日
  • Guidance for Industry Part 11, Electronic Records; Electronic Signatures -- Scope and Application FDA、2003年9月5日
  • ○○○○製薬株式会社「CSVポリシー」200X年X月X日
  • ○○○○製薬株式会社「CSVガイドライン」200X年X月X日
  • ○○○○製薬株式会社「情報セキュリティポリシー」200X年X月X日
  • ○○○○製薬株式会社「情報セキュリティガイドライン」200X年X月X日
  • ○○○○製薬株式会社「21 CRF Part11対応ポリシー」200X年X月X日
  • ○○○○製薬株式会社「21 CRF Part11対応ガイドライン」200X年X月X日
14.付則

本ガイドラインは、○○○○が立案し、○○○○の承認を得る。
本ガイドラインの改訂・廃止にあたっては、○○○○が立案し、○○○○○の承認を得る。

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