厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」対応実践講座


イーコンプライアンス ウェブセミナー


厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」について研究するページです。

*万が一文中に解釈の間違い等がありましても、当社では責任をとりかねます。
 本文書の改訂は予告なく行われることがあります。

新ガイドラインの査察はいつ行われるのか

セミナー受講者から「新ガイドラインに関する査察は、業許可更新時のみではなく、不定期な行政の査察においても実施されるのか。」という質問を頂いた。
査察官の資質によるとしか言いようがないが、筆者は5年ごとに行われる定期査察のみで、不定期査察においては新ガイドライン査察は行われないのではないかと考えている。
すなわち、平成24年4月以降の初回の業許可更新時に新ガイドラインに関する査察が、集中的に実施されると予想される。
これまでの経緯では、日本においては、事実上ほとんどコンピュータ化システムの査察は行われてこなかった。しかしながら、PIC/Sへの加盟を実現するためには、国際標準から後退するわけにはいかず、本格的な査察が実施されるのではないかと考えられる。
PMDAは、新ガイドラインおよびQ&A集の英訳版の準備を進めており、外国製造所の認定時の査察においても適用されることが予想される。
つまり、定期適合性調査のほか、承認前の適合性調査、一変の適合性調査、外国製造所認定といった機会に徐々に査察が実施されて行くものと考えられる。 ちなみに、ICH Q8、Q9、Q10に対する取り組み状況も調査されることが予想されるので、要注意である。 PMDA品質管理部から、昨年10月25日に出された事務連絡「定期調査に係る医薬品適合性調査時の提出資料について」の別添1「定期調査に必要とする資料」の「3. 製造所の構造設備」には、以下の記載がある。

(2) コンピュータ化システム
コンピュータ化システムを利用している場合には次の資料を提出してください。
@ GMP上重要なコンピュータ化システムの名称とその用途を記載したリスト等
例えば、
システム名称:ERP、MES、LIMS、DCSなど
使用用途:原材料・製品管理、試験管理、製造制御、出荷判定など
A コンピュータ化システムバリデーションについて、製造所の簡潔な方針が分かる資料
例えば、
「コンピュータ化システム管理規定Jの要約、その内容が分かる資料であって、準拠しているガイドラインがわかり、手順書が整備されていることがわかるもの。

GMP上重要なコンピュータ化システムにERPが含まれていることは、いささか疑問も感じる。
ERPは、Enterprise Resource Plannningの略で、企業全体を経営資源の有効活用の観点から統合的に管理し、経営の効率化を図るためのシステムである。本来は、基幹業務に適用されるものであった。
しかしながら、企業によっては、指図書作成やMRP(Material Resource Planning)、製造記録・品質試験記録の入力、出荷判定に至るまでERPで実現している場合がある。
これらは本来、MES(Manufacturing Execution System)やLIMS(Laboratory Information Management System)の領域である。
そういった場合は、ERPであっても重要なGMP上のシステムと言えるのである。ERP、MESの内容(定義)は各社まちまちである。
したがって、査察時に製造指図書をどうやって作成しているか、製造記録・品質試験の記録をどこに入力しているか、出荷判定をどのシステムで実施しているかを明確に説明することが極めて重要である。
ちなみに、2011年1月に改定され、6月30日から施行されたEU GMP Annex 11「Computerised System」では、出荷判定をコンピュータ化システムで行う場合は、電子署名を使用しなければならないとされているので、注意が必要である。紙に印刷したものに手書きで署名を行う場合は、バックデートが疑われるためである。

<<前の記事へ  TOPへ戻る    

用語集

QMS構築支援

FDA査察対応