厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」対応実践講座


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厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」について研究するページです。

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 本文書の改訂は予告なく行われることがあります。

回顧的バリデーションの実施方法

質疑応答集(Q&A集)

厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」の質疑応答集(Q&A集) の2.には以下の想定問答がある。

問2 「1.2 コンピュータ化システムの取り扱い」でこのガイドライン施行日以前に開発、運用が開始されているシステムであって「コンピュータ使用医薬品等製造所適正ガイドライン」に示された方法又はそれに代わる方法で開発、検証が行われていないシステムについては、当該システムの適格性を確認する必要があるとされているが、どのような方法で実施すべきか。

回答2 適格性を確認する方法として、当該システムの開発時の仕様書などの文書類や記録類に遡って、その適格性を検証する方法や、現在の使用目的に適合した要求仕様やそれに準じる文書との適格性を確認する方法等が考えられるが、適格性の確認にあたっては、現在の運用における記録類の照査や定期的レビューの結果を利用してもよい。
なお、使用目的に適合した要求仕様やそれに準じる文書とは、例えば、当該のコンピュータ化システムに関する「標準操作手順書」や、そのコンピュータ化システムが適用される製造プロセスに関する製造指図書等が考えられる。これらの文書に基づいて適格性を検証する場合は、この両文書を合わせて要件を確認するなど、検証項目に漏れのない様な配慮も必要である。
製造販売業者等は自社の品質保証に関するポリシーやリスク評価の結果等を考慮し、「コンピュータ化システム管理規定」等にその対象や実施方法、検証項目等に関する基本的な考え方を定め、それに基づき実施すること。

適格性の確認には3つの方法がある
  1. 当該システムの開発時の仕様書などの文書類や記録類に遡って、その適格性を検証する方法
  2. 現在の使用目的に適合した要求仕様やそれに準じる文書との適格性を確認する方法
  3. 現在の運用における記録類の照査や定期的レビューの結果を利用する方法

自社の品質保証に関するポリシーやリスク評価の結果等を考慮し、「コンピュータ化システム管理規定」等にその対象や実施方法、検証項目等に関する基本的な考え方を定め、それに基づき実施すること。

当該システムの開発時の仕様書などの文書類や記録類に遡って、その適格性を検証する方法

この方法は、比較的リスクが高いか規模が大きい場合に適用する。
ただし当該コンピュータ化システムが、稼働後3年以上経過している場合には適用しない。
当該コンピュータ化システムの導入・開発時に作成され、そののち変更されている以下の最新の文書、記録等を精査し、その適格性を確認する。

仕様書
(1) ユーザ要求仕様書
(2) 機能仕様書
(3) 設計仕様書
(4) 詳細設計書
(5) その他、仕様書

バリデーション文書
(1) バリデーション計画書
(2) DQ関連文書
(3) IQ関連文書
(4) OQ関連文書
(5) PQ関連文書
(6) バリデーション報告書
(7) 運用フェーズにおけるバリデーション文書(存在する場合)
(8) 運用開始以降の変更記録

上記の文書が適切に作成、変更されていることを確認すること。
以下の点に留意すること。

  1. ユーザ要求仕様書が、現在のユーザの要件と合致し、1冊にまとめられていること
  2. 機能仕様書が、現在の当該コンピュータ化システムの全機能を網羅し、1冊にまとめられていること
  3. 各仕様書、バリデーション文書が、ユーザ要求仕様書を満たした上でトレーサブルであること
  4. 現在の使用方法におけるリスクに対し、適切なレベルで文書、記録が整備されていること
現在の使用目的に適合した要求仕様やそれに準じる文書との適格性を確認する方法

この方法は、比較的リスクが高くないか規模が大きくない場合に適用する。
またリスクが高い場合でも、当該コンピュータ化システムが、稼働後3年以上経過している場合に適用する。
使用目的に適合した要求仕様やそれに準じる文書(以下、要求仕様等という)とは、例えば、当該コンピュータ化システムに関する「標準操作手順書」や、そのコンピュータ化システムが適用される製造プロセスに関する製造指図書等が考えられる。
要求仕様書等と当該コンピュータ化システムの現在の運用方法が一致していることを確認する。
これらの文書に基づいて適格性を検証する場合は、この両文書を合わせて要件を確認するなど、検証項目に漏れのない様な配慮も必要である。

現在の運用における記録類の照査や定期的レビュの結果を利用する方法

この方法は、比較的リスクが低いか規模が小さい場合に適用する。
運用フェーズで作成された以下の記録等(直近の2年間分)を精査し、その適格性を確認する。

  1. 運用開始以降の変更記録
  2. 障害の記録
  3. 日常点検の記録、定期点検の記録
  4. 定期的レビュの記録

これらにおいて、特に大きな変更、障害等がなく、正常に稼働していることが確認できた場合には、その確認記録を作成すること。

プロセスはバリデートされるべき 〜Process validation decision tree〜

回顧的バリデーション実施が不適切である場合

当該コンピュータ化システムが、以下のいずれかにあてはまる場合、回顧的バリデーション実施によりその適格性を確認することは適切でないため、再バリデーションを実施しなければならない。

  1. 製品品質に与えるリスクが高い場合
  2. 規模が大きい場合
  3. 運用開始後に変更が多く実施されている場合
  4. その他、重要であると判断された場合
再バリデーションが省略できる条件

当該コンピュータ化システムが3年以上稼働しており、直近の1年間において大きな変更や障害が発生していない場合には、そのことを以って適格性があると言えるため、再バリデーションの実施を省略することができる。
ただしその場合、システム台帳にその旨を記載しなければならない。

回顧的バリデーション実施手順書

回顧的バリデーション実施手順書を作成すること。

 

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