厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」対応実践講座


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厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」について研究するページです。

*万が一文中に解釈の間違い等がありましても、当社では責任をとりかねます。
 本文書の改訂は予告なく行われることがあります。

ガイドラインの適用範囲

新ガイドラインの適用範囲は非常に紛らわしい。
「2.適用の範囲」には、以下の記述がある。

このガイドラインは、コンピュータ化システムを使用してGQP省令及びGMP省令が適用される業務を行う製造販売業者等に適用する。

この文章は、後ろから並べ替えないと意味が分からない。

このガイドラインは、製造販売業者等においてGQP省令及びGMP省令が適用される業務を行うコンピュータ化システムに適用する。

が、正しい記述であると考えられる。
またこの記述だけでは、医療機器、化粧品、治験薬GMPが対象外であることは、理解できない。正確な記述が望まれる。
続いて、このガイドラインの対象となるコンピュータ化システムの例として、(1)〜(7)が考えられる。とあるが、あくまでも例示であるということである。ガイドラインというタイトルから考えると、非常に不親切な記述である。
特にGQP省令が対象であるので、近年FDA等が厳しく査察を行っている苦情管理を主体としたCAPA(是正措置・改善措置)システムも例示しておかなけばならないはずであると考える。 ところで、平成4年2月21日に発出された薬監第11号「コンピュータ使用医薬品等製造所適正管理ガイドライン」(旧ガイドライン)の「第2.適用範囲」には、以下のように記述されていた。

このガイドラインは,医薬品GMPが適用される製造所のうち,次のいずれかに該当するシステムを使用する製造所に適用する。
ただし,使用目的が限定され,そのためのプログラムがハードウェア(コンピュータにより制御される機器及び設備を含む。以下同じ。)の提供業者によって汎用機能として固定され,パラメーターを設定することによって機能が実現されるシステムを除くものとする。

つまり、旧ガイドラインでは、打錠機などの出来合いの構造設備(カテゴリ3)は除外されていた。またファームウェアやPLCなども適用されていなかったのである。
しかしながら、新ガイドラインでは、カテゴリ3に分類される構造設備や、それらに搭載されているPLC、ファームウェアも適用対象になったことに留意する必要がある。 一方で、新ガイドラインの適用対象外について、また、対象外となるコンピュータ化システムは別紙2に記載する。とあり、別紙2には、

製造記録の作成や出荷判定等のGQP省令及びGMP省令に係る業務に使用されない市販のワープロソフトや表計算ソフト等で、社会一般に広く利用されているパッケージソフトウェア及びPC。
なお、それらのソフトにより製造記録の作成や出荷判定等のGQP省令及びGMP省令に係る業務に使用する場合は、本ガイドラインの対象とせず、バージョン番号、PCの機種番号、製造番号の記録等をシステム台帳登録することでよい。

と記述されている。この記述も問題をはらんでいる。
なぜ適用範囲外を本文ではなく別紙に記載するのかという疑問もあるが、それはさておき、そもそも適用範囲でGQP省令及びGMP省令に係る業務に使用されないコンピュータ化システムは適用されないことが明確であるはずである。にもかかわらず、ここで市販のワープロソフトや表計算ソフト等に限って、適用範囲外を強調していることは理解に苦しむ。
それよりも、もっと問題は、表計算ソフト等を製造記録の作成や出荷判定等のGQP省令及びGMP省令に係る業務に使用する場合は、本ガイドラインの対象とせずという記述である。
つまり、Excelで試験成績を計算させる場合や出荷判定を行う場合は、バリデーションしなくても良いと読める。
そんなはずは絶対にない。
この文章は、以下のように修正するべきである。

GQP省令及びGMP省令に係る業務に使用されないコンピュータ化システムは、対象外とする。
Word、Excelといえども、GQP省令及びGMP省令に係る業務に使用する場合は、システム台帳登録が必要である。
ただし、Word、Excelをカテゴリ3として使用している場合(つまり単なるワープロとして使用している場合)、開発業務、検証業務、運用管理業務を適用する必要はない。
Excelをカテゴリ4または5として使用する場合(関数を使用したり、マクロを作成する場合)は、本ガイドラインの対象とする。

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