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EDCについて研究するページです。

*万が一文中に解釈の間違い等がありましても、当社では責任をとりかねます。
 本文書の改訂は予告なく行われることがあります。

【第4話】 電子化のリスク

これは誰のメール? (ライブドアの偽メール事件)
このメールは真正なものですか?

平成18 年の1 月頃の国会で、いわゆる「ライブドアの偽メール事件」が持ち上がりました。
これは当時の民主党の代議士が、当時のライブドアの社長が自民党の幹事長の二男に選挙資金として3,000 万円を振り込みよう指示したとされる電子メールを取り上げた事件です。
RISK

当時の国会では「そのメールは真正なものか」という議論が持ち上がりました。つまり本物かということです。
真正な記録とは、次のことをすべて立証できるものです。

  • 記録が主張しているとおりのものであること。(本物)
  • それを作成又は送付したと主張するものが、作成又は送付していること。
  • 主張された時間に作成し、送付していること。

結果的に民主党は当該メールを真正なものとは証明できませんでした。
なぜ電子メールを本物であると証明できないかという理由は、電子メールやワープロで作成した文書は筆跡が残らず、誰が作成しても同じように見えるためです。
これが電子化における真正性の課題です。

EDCにより作成された電子症例報告書は、治験責任医師等の筆跡が残らないため、本物であるかどうかが不明確になってしまうのです!

また電磁的記録は誰が作成したか不明確になるのと同様、電子署名を行った際に、手書きの 署名と違って筆跡が残らないため、誰が署名したものであるかも不明確になります。

電子化におけるリスクと厚労省ER/ESの要件

RISK

タイプライターイクスキューズ

これまでタイプライターイクスキューズは通用しないことを繰り返し述べてきました。
いわゆるハイブリッドシステムでは、手書き署名や記名・捺印を紙媒体化したのみであり、記録は電子です。
したがって、紙媒体で承認を行ったとしても、けっして電子記録は削除してはならないのです。
よく次のような主張を聞きます。
「当社では、承認は責任者がすべてのプロセスを確認したうえで、紙媒体で行っている。したがって紙媒体が原本であり、正本である。」
つまり責任者が保証しているので、紙媒体が正しいと言いたいのでしょう。

日本人ですね!


性善説で考えてはいけませんよ。世界の規制当局は、性悪説で査察するのですよ。社長以下、責任者を疑うのだということを知らなければなりません。
汚染米や牛肉偽装問題など、世間を騒がせる事件のほとんどは、企業のトップの指示により実行されていますよね。
査察直前に責任者が命じて電子記録を改ざんさせ、再度印刷の上で、承認を行ったとしたらどうでしょう。
規制当局が電子記録の監査証跡を確認しなければ、改ざんは発見できないことになります。
EMEAのANNEX11改定案でも、紙媒体で査察を受ける場合は、監査証跡をすべて印刷しておくことを要求しています。
その場合でも、印刷された監査証跡が複雑である場合は、査察官はいつでも電子記録を直接参照できることを主張しています。(第13章を読んでくださいね。)
おそらくPart11の改定でも同様の要件が盛り込まれることでしょう。
2008年10月29日に、日薬連主催の「医薬品GQP・GMP研究会」が開催され、その中で「コンピュータ化システムガイドライン」の概要が発表されました。
これは平成4年に発出され、平成17年3月30日に取り下げられた「コンピュータ使用医薬品等製造所適正管理ガイドライン(薬監第11号)」を改定するものです。
日本におけるCSVのガイドラインがどのようになるかが注目されますね。もう間もなく発行されるはずです。



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