厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」対応実践講座


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厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」について研究するページです。

*万が一文中に解釈の間違い等がありましても、当社では責任をとりかねます。
 本文書の改訂は予告なく行われることがあります。

医薬におけるバリデーションとは

FDA Guidelines on General Principles of Process Validation

“Establishing documented evidence which provides a high degree of assurance that a specific process will consistently produce a product meeting its predetermined specifications and quality characteristics.”
文書化された証拠を確立してゆく作業であり、これはあらかじめ定めた仕様や品質にあった製品を継続的に生産するプロセスに対して、高度の保証を与えるものである。

バリデーション(Validation)は、

  1. テスト(Test)
  2. 検証(Verification)
  3. 適格性評価(Qualification)
  4. 証明(Certificate)
  5. 監査(Audit)
  6. 照査(Review)

などを使って妥当性を検証するものである。
バリデーションの活動の中に適格性評価(クオリフィケーション)が含まれる。

バリデーション基準と適格性評価

我が国では、医薬品の品質確保について、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理規則(平成16年12月24日、厚生労働省令第179号、以下GMP省令という)が定められており、この規則の中にバリデーションに関する条項がある。
バリデーションの施行に関し、バリデーション基準(平成17年3月30日、薬食監麻発第0330001号)が改定された。
また、ICHで作成された「原薬GMPのガイドライン」(平成13年11月2日、薬発第1200号)が発出された。
原薬GMPのガイドラインにより、構造設備のバリデーションとは「適格性評価 (Qualification)を行うことである」とその定義と内容が明確になった。
製薬分野におけるプロセスエンジニアリングは、プラントなどの設計品質や設備・装置・機械などの性能、試運転から保証運転終了までの製品品質を左右し、その後の運転期間中における保守保安に大きく影響する工学分野である。
適格性評価は、製品品質に直接影響する要因についてのみ、設計段階でDQを、製作・施工段階でIQを、試験・検査・試運転段階でOQとPQを行うことである。

バリデーション基準によると、バリデーションの目的は「製造所の構造設備並びに手順、工程、その他の製造管理および品質管理の方法(以下、製造手順等)が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることによって、目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造できるようにすること。」である。
バリデーションの実施対象は、

  1. 製造工程
  2. 製造を支援するシステム
  3. 洗浄等の作業

2.と3.は、設備または機器単位ごとに実施してもよい。3.は、合理的な根拠に基づき、指標となる成分のみを持って評価してもよい。

「バリデーション」と「適格性評価」との関係

原薬GMPのガイドライン」によると「原薬の品質及び純度に関して重要であると判断される作業に適用されるバリデーション」のなかの一部として、「プロセスバリデーション(PV)の作業を始める前に、重要な装置及び付帯設備の適格性評価を完了すること。」とある。
すなわち構造設備を対象とするバリデーションを「適格性評価」と呼び、DQ、IQ、OQ、PQから構成される。

「バリデーション」と「適格性評価」との違い

バリデーションはソフトとハードの両方を含み、ハードに関するバリデーションは適格性評価(Qualification)を行うことである。
2011年1月13日に改定版が発表され同6月30日から施行される「EU GMP ANNEX 11 Computerised System」の原則には、「The application should be validated; IT infrastructure should be qualified.(アプリケーションはバリデートされていなければならず、ITインフラストラクチャは適格性が確認されていなければならない。)」との記載がある。
適格性評価は、DQ(設計時適格性評価)、IQ(設備据付時適格性評価)、OQ(運転時適格性評価)、PQ(性能適格性評価)から構成される。
日本のバリデーション基準では、DQについて明確ではない。

適格性評価とプロセスバリデーション

プロセスバリデーション活動

プロセスバリデーションは、バリデーション基準にはなぜか明確な定義が無く、原薬GMPのガイドライン中に記述がある。
設定パラメータ内で稼動する工程が、設定規格および品質特性に適合した製品を製造するために効果的かつ再現性よく機能できることに関する文書による確証のこと。

IQ:初期の適格性評価で、機器が必要とされ期待されたサービス内容を持つことの確認。(据付時適格性評価)
OQ:プロセスが許容される結果を生み、限界値(ワーストケース)を確立していることのデモンストレーション。(運転時適格性評価)
PQ:長期にわたるプロセスの安定性の確立。(性能適格性評価)
ソフトウェアのバリデーションについては、GMP省令、原薬のGMPガイドライン等に記載はないが、多くのプロセスがコンピュータ制御であることを認識すべきである。

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