医薬業界におけるバリデーションは、コンピュータシステムのみを対象とするのではなく、コンピュータ化されたシステムを対象とする必要がある。これをComputerized System Validation(CSV)と呼ぶ。
コンピュータ化されたシステム(Computerized System)とは、「コンピュータシステム」と「業務プロセス」を統合したものである。
「コンピュータシステム」は、ハードウェアとソフトウェアから構成され「業務プロセス」は、人、標準業務手順書(SOP)と、設備(例えば測定機器、CRF、筆記具など)から構成される。
FDAは単にコンピュータシステムにバグや不具合のないことを要求しているのではないのである。紙ベースのオペレーションがコンピュータ化された際に、規制要件の適用を受けるデータの品質および品質保証が、劣化しないという保証を求めているのである。FDAにとってみると、製薬企業がコンピュータシステムを使用しようがしまいがあまり問題ではない。それよりも業務をコンピュータ化することによって、何らかの問題が発生しないかという懸念を払拭することが重要であるのである。
ソフトウェア自体のバリデーションは外部企業やベンダーによって実施されるものが多いが、そのソフトウェアの業務への適合性についての最終的な責任は製薬企業にある。またそのバリデーションの適合性を評価できる記録は、製薬企業で保管する義務がある。FDAは、システムの開発期間中と、リタイアまでの稼動期間中の両方についてそのライフサイクルを管理することを求めている。