力量について 潟Cーコンプライアンス
力量とは
筆者が多くの医療機器企業において監査を実施する際に、力量表(Skill Map)の提示を求める。
  例えば、リスクマネジメント要員の力量や設計開発要員の力量、監査員の力量などである。
  その際に「内部講習会を受けていること」や「〇〇を理解していること」などが評価項目となっていることがほとんどである。
ISO-9000:2015において力量(Comptence)の定義は以下のとおりである。
  『意図した結果を達成するために、知識及び技能を適用する能力。』
  つまり、力量は知識だけではなく、技能が伴っていなければならない。
  知識は講習会などの教育で身につくが、技能はそうではない。
  自動車運転教習所を考えてみよう。学科教習によって知識を身に付けることができる。しかしながら、交通標識を覚えたり交通ルールを覚えたとしても、実際の運転はできない。
  そこで構内教習や路上教習によって運転の訓練を受ける。一通りの訓練を修了すれば運転免許証が交付される。
  ところが、初心者マークをつけたドライバーでは、とても安全に運転することはできない。
  経験が必要なのである。
  つまり、技能は「訓練」と「経験」から身に付けることになる。
このように、力量は教育・訓練・経験により成る。
  しかしである。たとえ教育・訓練・経験があっても、意図した結果を達成できなければ力量があるとは言えないのである。
力量表とは
各社の力量表をレビュして思うことは、多くの場合、知識のみしか評価していないことである。
  適切に力量表を作成するためには「〇〇することができる」と記載すれば良い。
  例えば「監査チェックリストが作成できる」「ソフトウェア設計ができる」「ハザード抽出ができる」「半田付けができる」などである。
  また評価は5段階で表せば良いだろう。
  A:人に教えることができるレベル
  B:一人で担当することができるレベル
  C:支援を受けて実施することができるレベル
  D:見習いのレベル
  E:担当できないレベル(担当しない)
はたしてこのような力量表を作成した場合、現状の監査員、設計要員、リスクマネジメント要員はどのような評価になるだろうか。
  力量表では、現状の組織の実力を客観的に評価し、トレーニングニーズを明らかにすることに役立つ。
教育訓練について
規制要件では、要員の「教育訓練」を求めている。
    ここで注意が必要なのは、「教育」と「訓練」は異なるということである。
    英語では教育は「Education」であり、訓練は「Training」である。
    自動車免許の取得を考えてみよう。教習所において学科教習を受けるが、これが「教育」に相当する。
    しかしながら学科教習のみでは、自動車の運転は不可能である。
    次に大切なことは路上教習であるが、これが「訓練」に相当する。訓練では、上長や先輩社員が実際の業務をやってみせて、やらせてみるといったことを実施する。OJT(On the Job Training)とも呼ばれる。
筆者が多く監査をする中で発見する事項として、「教育」の記録はあるが、「訓練」の記録がほとんど作成されていないということである。
さらに、各要員の力量表(スキルマップ)を作成してくことが必要である。
    力量表の目的は、各企業においてどのような力量を持った者がどの部門に配置されているか、また将来のトレーニングニーズを把握するために重要である。
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