1. HOME
  2. ブログ
  3. 医療機器
  4. 入門医療機器業界
  5. 医療機器に関する品質規則
お役立ち情報

入門医療機器業界

医療機器に関する品質規則

医療機器の品質規制というと、まずQMS省令が思い浮かぶ。しかし国内の医療機器・体外診断用医薬品の品質は、QMS省令だけでなく、製造販売業の許可要件を定める体制省令、製造販売後安全管理を定めるGVP省令、そして製品そのものの安全性・性能を定める基本要件基準という複数の枠組みが組み合わさって担保されている。2026年8月現在、QMS省令の令和3年改正はすでに全面適用の段階にあり、規制の骨格を再確認しておく価値は高い。本稿では、日本の医療機器品質規制の全体像と、各省令の相互関係を整理する。

医療機器の品質規制でよく生じる誤解

  • 医療機器にGQP省令は適用されない。 GQP省令(平成16年厚生労働省令第136号)の現行題名は「医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令」であり、医療機器・体外診断用医薬品は対象外である。
  • 製造販売業許可の要件はQMS省令ではない。 許可の基準は体制省令(平成26年厚生労働省令第94号)とGVP省令(平成16年厚生労働省令第135号)が定める。
  • ISO 13485の認証を取得していれば適合性調査が不要になるわけではない。 適合性調査は薬機法に基づく行政上の調査である。

1. 品質規制の三本柱

医療機器・体外診断用医薬品の製造販売業者に課される品質・安全に関する省令は、大きく3つに整理できる。それぞれ根拠条文も適用場面も異なる。

通称正式名称省令番号薬機法上の根拠何を担保するか
QMS省令 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令 平成16年厚生労働省令第169号 第23条の2の5第2項第4号(承認の要件)ほか 品目ごとの製造管理・品質管理の方法。品質管理監督システムの中身そのもの
体制省令 医療機器又は体外診断用医薬品の製造管理又は品質管理に係る業務を行う体制の基準に関する省令 平成26年厚生労働省令第94号 第23条の2の2第1項第1号(許可の基準) 製造販売業者が組織として、QMS省令を遵守できる体制・人員を備えているか
GVP省令 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令 平成16年厚生労働省令第135号 第23条の2の2第1項第2号(許可の基準) 市販後の安全管理情報の収集・検討・措置

薬機法第23条の2の2は、製造販売業の許可の基準として「製造管理又は品質管理に係る業務を行う体制が、厚生労働省令で定める基準に適合しないとき」(第1号)と「製造販売後安全管理の方法が、厚生労働省令で定める基準に適合しないとき」(第2号)の2つを掲げる。第1号を受けるのが体制省令、第2号を受けるのがGVP省令である。QMS省令はこのいずれでもなく、品目ごとの承認・認証の要件として第23条の2の5第2項第4号から引かれている。

2. 体制省令とQMS省令はどう違うか

体制省令は全4条の短い省令である。その中核である第3条は、QMS省令(体制省令中では「製造管理等基準省令」と呼ばれる)の遵守に必要な組織の体制と人員配置を求めている。具体的には、次の3点を柱とする。

  • QMS省令第5条第1項・第2項による品質管理監督システムの文書化とその実効性の維持、及び要求事項・手順・活動・実施要領の確立、実施、維持のために必要な組織の体制
  • QMS省令第8条・第67条による品質管理監督文書の管理及び保管、第9条・第68条による記録の管理及び保管を適切に行うために必要な組織の体制
  • 医療機器等総括製造販売責任者(法第23条の2の14第2項)及び管理監督者(QMS省令第2条第10項)の適切な配置

言い換えれば、QMS省令が「何をやるか」を定めるのに対し、体制省令は「それをやれる組織になっているか」を定める。両者は重複しているのではなく、審査の切り口が異なる。製造販売業許可の新規取得・更新の際に都道府県が確認するのは体制省令であり、品目ごとの適合性調査で確認されるのはQMS省令である。

3. 許可・登録・承認/認証と調査の関係

手続対象根拠適用される基準
製造販売業許可製造販売業者(第一種・第二種・第三種、体外診断用医薬品)法第23条の2体制省令・GVP省令。有効期間は5年(施行令第36条)
製造業登録製造所法第23条の2の32014年の薬機法施行により許可制から登録制へ移行
製造販売承認高度管理医療機器等の品目法第23条の2の5QMS省令(第2項第4号)。審査はPMDA等
製造販売認証指定高度管理医療機器等の品目法第23条の2の23QMS省令。登録認証機関が認証
QMS適合性調査承認・認証に係る品目の製造管理・品質管理の方法法第23条の2の5第6項ほかQMS省令。承認取得時及びその後5年ごと(施行令第37条の21)

QMS適合性調査には、同一の製品群区分・同一の製造所であれば調査を省略できる基準適合証の仕組みがある(法第23条の2の5第7項、第23条の2の6)。基準適合証の有効期間は適合性調査の周期と同じく5年である(法第23条の2の6第2項)。ただし厚生労働大臣が必要と認めるときは、基準適合証があっても調査を受けなければならない(同法第23条の2の5第8項)。

調査の実施者は一つではない。厚生労働大臣がPMDA(機構)に行わせる場合(法第23条の2の7第1項)、都道府県知事が行う場合(法第80条第3項、施行令第37条の23)、そして認証品目について登録認証機関が行う場合がある。QMS省令第29条第2項が「厚生労働大臣、都道府県知事又は令第37条の23に規定する医療機器等適合性調査実施者」との意思疎通を求めているのは、この多元的な調査体制を前提としている。

適合性調査で実際に何が確認されるか、実施要領をはじめとする文書がどう見られるかについては、改正QMS省令における実施要領とはで扱う。

■ 本記事に関連するおすすめ商品
書籍 [書籍] 医療機器設計管理入門

医療機器の品質管理を設計管理を軸に解説する。QMS省令とISO 13485の要求がどう噛み合うのかを確認できる。

価格:55,000円(税込)

書籍の詳細を見る ▶
QMS手順書ひな形 【QMS省令対応】品質管理監督システム基準書

令和3年改正後のQMS省令に対応した品質管理監督システム基準書のひな形である。

価格:99,000円(税込・ダウンロード版)

ひな形の詳細を見る ▶
ビデオ・VOD 【ビデオ・VOD】日本一わかりやすい超入門改正QMS省令セミナー

令和3年改正後のQMS省令を平易に解説する。

価格:77,000円(税込)〜 ※視聴形態により異なります

ビデオの詳細を見る ▶

4. 製品そのものの基準 ── 基本要件基準

QMS省令・体制省令が「つくり方」と「組織」の基準であるのに対し、製品そのものが満たすべき安全性・性能の要件を定めるのが、いわゆる基本要件基準(平成17年3月29日 厚生労働省告示第122号)である。最新の改正は令和5年厚生労働省告示第67号であり、令和5年4月1日から適用されている。

基本要件基準は告示であるから、QMS省令第31条第1項第2号にいう「法令の規定等に基づく要求事項」として、設計開発への工程入力情報に取り込まれる。すなわち基本要件基準はQMS省令と切り離して運用できるものではなく、設計開発の入口で品質管理監督システムに組み込まれる関係にある。

5. 品質規制の全体像を1枚で

問い答える枠組み
その製品は安全で、意図した性能を持つか基本要件基準(厚生労働省告示第122号)
その製品はどう設計・製造・検査されているかQMS省令(平成16年厚生労働省令第169号)
会社はそれを実行できる組織か体制省令(平成26年厚生労働省令第94号)
売った後の安全情報をどう扱うかGVP省令(平成16年厚生労働省令第135号)
誰がそれを確認するかQMS適合性調査(PMDA/都道府県/登録認証機関)、製造販売業許可の調査(都道府県)

6. 国際整合の現在地

QMS省令は令和3年改正でISO 13485:2016と整合が図られた。ISO 13485は2016年3月発行の第3版が現行であり、2025年10月31日の定期見直しでは「確認(Confirmed)」の扱いとなっている。すなわち、当面ISO 13485の改訂を前提とした国内規制の再改正を想定する必要はない。

一方、日本は2015年6月にMDSAP(Medical Device Single Audit Program)に参加しており、PMDAは2022年4月1日からMDSAPの調査結果を本格的に受け入れている。米国では21 CFR Part 820が2024年2月2日公布の最終規則によりQuality Management System Regulation(QMSR)へ全面改正され、2026年2月2日に施行された。QMSRはISO 13485:2016を参照取り込みしているため、ISO 13485を軸とした国内外の整合はいっそう進んでいる。

ただし、ISO 13485の認証を取得していることと、薬機法上のQMS適合性調査に適合することは別問題である。米国においてもFDAは適合証明書を発行せず、ISO 13485の認証書によって査察が免除されることはない。

7. 2026年時点で取るべき対応

1. 「GQP」の記述が残っていないか点検する

医療機器の社内手順書・教育資料・組織図に「GQP」「品質保証責任者(GQP)」といった記述が残っている場合、2014年の薬機法施行以降の規制構造と一致しない。医療機器では体制省令とQMS省令(国内品質業務運営責任者:第72条)に読み替える必要がある。

2. 体制省令の観点で組織を自己点検する

QMS省令の手順書が整っていても、医療機器等総括製造販売責任者・管理監督者・国内品質業務運営責任者の配置と権限が実態と合っていなければ体制省令の基準を満たさない。許可更新の前に、職務権限規程と実際の意思決定経路が一致しているかを確認する。

3. 適合性調査と基準適合証の期限を管理する

適合性調査の周期も基準適合証の有効期間も5年である。品目数が多い企業ほど、製品群区分と製造所の組合せごとに有効期限を台帳管理し、失効前に申請する運用が必要になる。

4. 参照している条文が現行かを確認する

QMS省令は令和7年厚生労働省令第117号(令和8年5月1日施行)により引用条項が整理されており、さらに令和8年厚生労働省令第110号による改正が令和9年5月20日施行予定である。社内文書が引用する条番号が現行条文と一致するかを定期的に照合されたい。

まとめ

  • 医療機器の品質規制は、QMS省令(つくり方)・体制省令(組織)・GVP省令(市販後安全)・基本要件基準(製品そのもの)の組合せで構成される。
  • 医療機器・体外診断用医薬品にGQP省令は適用されない。製造販売業許可の基準は体制省令とGVP省令である。
  • QMS適合性調査は承認取得時及びその後5年ごと。基準適合証の有効期間も5年である。
  • QMS省令が何を要求しているかはQMS省令とは、実施要領を含む文書化の実務は改正QMS省令における実施要領とは、条文・新旧対比表などの資料は改正QMS省令 お役立ち資料を参照されたい。

出典・参考

この分野の解説動画

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事