製品の更なる軽量小型化・高気密化・コスト削減・接合強度の向上を目指して―
近年では自動車分野を筆頭に、複数の異なる材料を製品の適材適所に用いる「マルチマテリアル化」の動きが盛んであることと存じます。例えばアルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽量金属系新素材、金属材料よりも更に軽量化が期待される
樹脂材料やCFRP・CFRTP等複合材料の適用……
それらを用いる場合、それぞれをどのように接着・接合したらよいか。そんな疑問をお持ちの方々に「簡易に接着・
接合技術を選定していただきたい」という思いから、本書を企画構成いたしました。
様々な場面で必要となる接着・接合技術も、今日の技術発展により選択肢が大きく広がっていることと存じます。しかしながら、実務においては「用いる材料種が定まっている」「乾式処理(または湿式処理)のみに限定する」「接着・
接合に要する時間が
大凡決まっている」「製品の気密性を重視しなければいけない」等、様々な『条件』があるのではないでしょうか。
本書に掲載した多種多様な接着・接合技術・ノウハウの中から『実務上の制約』に則り、実務上必要となる条件を満たした接着・
接合技術をご検討頂くこと、また本書を設計の自由度を向上する一手としてお役立ていただければ幸いです。
ご理解ご協力を賜り本書をご執筆頂きました皆様へ、あらためて心より感謝申し上げる次第です。
(書籍企画担当者)
1章 各種異種材料接着・接合技術の原理
1節 化学的接合説
2節 機械的接合説
3節 からみ合いおよび分子拡散説
4節 接着仕事
5節 直接接合技術の概要とそのメカニズム
2章 異種材料接着技術の勘どころ
1節 材料別の表面処理技術と理想的界面の設計
1.1 金属
1.2 プラスチック
1.3 ガラス
1.4 セラミックス
1.5 ゴム
1.6 難接着材料
2節 被着剤に適した接着剤の選定法
2.1 Zismanの臨界表面張力
2.2 溶解度パラメータによる接着剤の選定
3節 異種材料接着技術の勘どころ
3.1 樹脂×金属
3.2 樹脂×ガラス
3.3 樹脂×セラミックス
3.4 樹脂×ゴム
3章 多種多様な異種材料直接接合技術
1節 湿式・乾式表面処理による異種材料の一体化技術
〔1〕 接合強度40MPa以上を実現する金属と樹脂の射出接合
はじめに
1. NMTが適用可能な金属材料
2. 製品適用例のある樹脂と破断面
3. 接合樹脂の選定
4. 射出接合品の接合強度評価
5. スマートフォンアルミボディへの射出接合適用例
おわりに
〔2〕 レーザ処理を行った金属と異種材料の直接接合
はじめに
1. レーザ処理による金属と異種材料の接合技術(レザリッジ:Laseridge)の概要
1.1 レザリッジとは
1.2 レザリッジの概要
1.3 レザリッジの特徴
2. レザリッジ処理とその接合状態
2.1 接合のメカニズムについて
2.2 接合強度発現の実際
2.2.1 実験方法
2.2.2 引張せん断試験
2.2.3 最大荷重と加工深さ
2.3 気密性のメカニズムについて
3. 接合強度及び信頼性評価事例
3.1 各種金属・樹脂の接合強度について
3.1.1選定金属及び樹脂
3.2 レザリッジ接合部の気密性
4. 接合技術の実用化事例及び将来の展望について
〔3〕 融点差が不要なガラス繊維強化樹脂の二重成形技術
はじめに
1. 融点差が不要なガラス繊維強化樹脂の二重成形技術の概要
2. 諸特性
2.1 接合強度
2.2 従来の接合技術との接合強度比較
2.3 エアーリーク気密試験
2.4 耐水圧試験
3. 応用技術検討
3.1 超音波溶着の前処理
3.2 接着剤の前処理
おわりに
2節 樹脂・金属成形品同士の接合をも叶える異種材接合技術
〔1〕 金属表面に形成した隆起微細構造を用いた金属とプラスチックの直接接合技術
はじめに
1.ポジティブアンカー効果による金属とプラスチックの接合
2. レーザクラッディング工法を用いたPMS 処理
2.1 PMS 処理概要
2.2 PMS 処理方法
2.3 PMS 処理条件
3. 金属とプラスチックの接合
おわりに
3節 短時間で固化・強化する樹脂材料と金属材料のレーザ直接接合技術
〔1〕 レーザによるプラスチックの溶融・発泡を利用する金属とプラスチックの接合技術
1. はじめに
2. 金属とプラスチックのレーザ溶着・接合技術とその特徴
3. 金属とプラスチックのレーザ溶着・接合部の特徴と強度特性
4. 金属とプラスチックのレーザ溶着・接合機構
5. 実用化に向けての信頼性評価試験
6. おわりに
4節 構造部材・組み立て現場における適用性に優れた異種材接合技術
〔1〕 アルミニウム合金と炭素繊維強化熱可塑性樹脂との摩擦重ね接合法
はじめに
1. 摩擦重ね接合法(FLJ法)の原理
2. 摩擦重ね接合法(FLJ法)における金属/樹脂の直接接合機構
3. 金属と樹脂の直接接合性に及ぼす諸因子
3.1 樹脂表面への大気中コロナ放電処理の効果
3.2 Al合金表面研磨の影響
4. Al合金以外の金属と樹脂との直接接合
5. Al合金とCFRPとの直接接合
6. 金属と樹脂・CFRPの直接接合継手強度の向上
6.1 シランカップリング処理の効果
6.2 アンカー作用の効果
おわりに
5節 材料依存性が低い異種材料接合技術
〔1〕 異種材料の分子接合技術とその利用事例
緒言
1. 同一表面機能化概念
2. 異種接合技術の原点
3. 分子接合技術における接触
4. 分子接合技術における異種材料表面同一反応化と定番反応
5. 流動体及び非流動体分子接合
6. 接合体の破壊
7. 分子接合技術の特徴
8. 分子接合技術の事例と特徴
8.1 流動体分子接合技術
8.1.1 メタライジング技術
8.1.2 樹脂と未加硫ゴムの流動体分子接合技術
8.1.3 金属と樹脂の流動体インサート分子接合技術
8.1.4 接着剤による流動体及び非流動体分子接合技術
8.2 非流動体分子接合技術
8.2.1 樹脂と架橋ゴムの非流動体分子接合技術
8.2.2 金属と架橋ゴムの非流動体分子接合技術
8.2.3 金属と樹脂の非流動体分子接合技術
8.2.4 セラミックスと架橋ゴムの非流動体分子接合技術
結言
6節 他部品・意匠面へダメージを与えない多点同時カシメを可能にする異種材接合技術
〔1〕 熱・振動ダメージが少ない赤外線カシメによる異種材接合技術
はじめに
1. 赤外線によるカシメとは?
2. 赤外線カシメのプロセス
3. 他工法と比較した場合の赤外線カシメ
3.1 ワークダメージ
3.2 ランニングコスト
3.3 サイクルタイム、ダウンタイム
3.4 カシメ強度と安定性
まとめ
7節 新規高分子材料開発による異種材接合の実現
〔1〕 樹脂と反応する架橋鎖をもった過酸化物架橋型合成ゴムの開発
はじめに
1. ゴムは難接着
2. 接着剤が使いづらい時代
3. 接着剤を使わずにゴムと樹脂を結合
4. ゴムと樹脂の分子架橋反応のメカニズム
4.1 ラジカロック(R)とは
4.2 分子架橋反応の仕組み
5. ラジカロックの利点
5.1 品質上の利点
5.2 製造工程上の利点
5.3 樹脂を使用することの利点
6. 樹脂とゴムの種類
7. 応用例と今後の展望
8. まとめ
〔2〕 エポキシモノリスの多孔表面を利用した異種材接合
はじめに
1. 金属樹脂間の異種材接着技術
2. エポキシモノリスの合成
3. エポキシモノリスによる金属樹脂接合
4. モノリスシートを用いる異種材接合
おわりに
4章 異種材接合特性に及ぼす影響と接合評価事例
1節 金属/高分子接合界面の化学構造解析
はじめに
1. FT-IRによる界面分析
1.1 FT-IRとは
1.2 ATR法による結晶性高分子/Al剥離界面の分析
1.3 斜め切削法によるポリイミド/銅界面の分析
2. AFM-IRによる界面分析
2.1 AFM-IRとは
2.2 AFM-IRによる銅/ポリイミド切片の界面の分析
3. TOF-SIMSによる界面分析
3.1 TOF-SIMSとは
3.2 Arガスクラスターイオンとは
3.3 ラミネートフィルムの分析
おわりに
2節 SEM/TEMによる樹脂-金属一体成形品の断面観察
はじめに
1. 走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察
1.1 SEMの原理および特徴
1.2 SEM観察における前処理方法
1.3 樹脂-金属接合材の断面SEM観察例
2. 透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察
2.1 TEMの原理および特徴
2.2 TEM観察における前処理方法
2.3 樹脂-金属接合材の断面TEM観察例
おわりに
3節 金属表面粗さ・有効表面積が界面強度に及ぼす影響
4節 接合体強度および破壊様式に影響する異材接合界面端部の特性
1. 応力集中について
1.1 基本的な応力集中
1.2 円孔による応力場
1.3 だ円孔の応力集中
1.4 き裂によって生じる特異応力場
1.5 応力拡大係数
2. 接着接合材の接合界面における応力分布
2.1 接合端部における特異応力場の強さ とは何か?
2.2 接合板の接合界面の応力分布
3. 接着強度評価における特異応力場強さISSFの限界値Kσcの導入(突合せ継手の場合)
4. 接着強度評価への特異応力場強さISSFの限界値Kσcの導入(単純重ね合わせ継手の場合)
4.1 単純重ね合わせ継手の引張試験結果
4.2 単純重ね合わせ継手の引張における接着強度の特異応力場強さISSFによる評価
5節 樹脂-金属接合特性評価試験方法の国際規格化
1. 異種材料接合技術の開発と新規評価規格の必要性
2. 樹脂-金属接合界面特性評価方法の開発
2.1 引張り接合特性(突合わせ試験片)
2.2 せん断接合特性
2.3 樹脂-金属接合界面の封止特性評価
2.4 接合の耐久性-冷熱衝撃試験,高温高湿試験、疲労特性
3. 国際標準化活動
4. 今後の予定-マルチマテリアル化の進展に向けた異種材料接合特性評価法の標準化整備
5章 異種材接合技術が切り拓く可能性
1節 マルチマテリアル車体の動向と接合・接着技術
~BMWにおけるマルチマテリアル化と接着・接合技術の将来展望~
1. 今日の自動車を取り巻く環境と開発の方向性
2. 電気自動車の開発
2.1 CFRP車体の量産技術開発
3. BMWの目指すクルマづくり
4. マルチマテリアル、スマートマテリアル
4.1 軽量化を実現する新材料
4.2 異種材料の接合
4.3 マルチマテリアル
2節 航空機用複合材料の動向と接着・接合技術
3節 鉄道車両用構体の材料と接着・接合技術
4節 エレクトロニクス実装における異種材料接合動向
1. エレクトロニクス実装とは
2. 半導体パッケージング
2.1 バックグラインド工程
2.2 ダイシング工程
2.3 ダイボンディング工程
2.3.1 異方導電性接着フィルム
2.3.2 ダイアタッチフィルム(DAF)
2.4 ワイヤボンディング工程とフリップチップボンディング工程
2.4.1 ワイヤボンディング
2.4.2 フリップチップボンディング
2.4.2.1 アンダーフィル樹脂
2.5 モールド工程
2.6 端子めっきやはんだボールの搭載など
2.7 パッケージの包装
3. プリント配線板
3.1 銅箔と有機材料の接着
3.2 レジスト材料
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