規制要件を遵守した医療機器設計開発支援
医療機器の設計開発は、単なる技術開発ではありません。どのような入力情報にもとづき、どのような検証を経て、市場に出す仕様を確定したのか。その経緯を記録として説明できることまでが規制上の要求事項であり、設計開発は品質マネジメントシステム(QMS)の一部として管理されなければなりません。設計管理の不備は、適合性調査や査察での指摘、さらには不具合発生時の是正措置や回収へと直結します。
当社は、ISO 13485、QMS省令、米国 QMSR、EU MDR を出発点として、医療機器の設計開発プロセスを「実際に回る形」で構築し、運用に定着させるコンサルティングを提供しています。
医療機器の設計開発で、よくある問題
設計開発の支援に入ると、多くの企業で共通する構造的な問題が見つかります。
- 設計開発の記録が後追いで作られている ― 設計開発ファイル(設計履歴ファイル)が監査や申請の直前にまとめて作成され、記録の日付・版・承認の整合が取れない。「実際にその時点で判断していた証跡」として説明できない。
- 設計開発計画が更新されない ― 初版の計画書を作ったきり、開発の実態と乖離したまま放置される。段階(ステージ)の定義、各段階の照査・検証・バリデーション、責任と権限が計画に紐づいていない。
- デザインレビューが形骸化している ― 開催はされるが「何を判定する会議か」が定義されていない。判定基準がなく指摘事項のクローズ管理も行われないため、記録が承認印だけの文書になっている。
- 設計移管が実質的に存在しない ― 工程出力情報が製造仕様として妥当であることの確認、製造工程能力の確認、移管完了の判定基準が定められておらず、量産初期の不良や工程逸脱として顕在化する。
- 設計変更の管理が弱い ― 変更の影響が設計開発ファイル、リスクマネジメントファイル、技術文書、承認・認証事項のいずれに及ぶかを評価する仕組みがなく、軽微変更と一部変更承認申請の切り分けが属人的になっている。
- リスクマネジメントと設計管理が別々に回っている ― リスクマネジメントが「文書を作る作業」として独立し、リスクコントロール手段が設計開発への入力情報や検証項目に反映されていない。
本サービスの支援内容
設計開発プロセスの構築
設計開発の段階(ステージ)とゲート、各段階での照査・検証・バリデーションの位置づけ、責任と権限を定義し、手順書・様式として文書化します。開発プロセスを一から作り直すのではなく、現在の進め方を尊重しながら規制要件を満たす形へ整えることを重視します。
設計開発ファイル・技術文書の整備
入力情報から出力情報、照査・検証・妥当性確認、設計移管、設計変更までの記録の構成を設計し、どの記録がどの要求事項への適合を示すのかを対応づけます。EU 向けには技術文書、日本向けには設計開発に係る記録簿として整理し、同一の設計開発活動から複数地域の文書を生成できる状態を目指します。
デザインレビューの運営支援
各デザインレビューの目的、判定基準(Exit Criteria)、参加すべき職能、必要なインプット資料、指摘事項のクローズ手順を定義します。実際のレビュー会議へのオブザーバー参加や、記録の書き方の指導も行います。
設計移管・設計変更管理
設計移管業務の手順(工程出力情報が製造仕様として適合することの検証、製造能力の確認、移管完了判定)を定めます。設計変更については、変更の分類基準、影響評価の範囲(リスクマネジメント、検証・バリデーション、技術文書、規制当局への届出・申請)、承認ルートを定義します。
検証・妥当性確認の計画立案
検証(仕様への適合確認)と妥当性確認(意図した使用および使用者ニーズへの適合確認)を明確に区別し、入力情報とリスクコントロール手段から検証項目を導出してトレーサビリティマトリクスに可視化します。試験方法、サンプルサイズの根拠、合否判定基準を含む計画書・報告書の作成を支援します。
リスクマネジメントとの統合
リスクマネジメント(ISO 14971)の活動を設計開発プロセスに組み込み、ハザード分析の結果が入力情報に、リスクコントロール手段の有効性確認が検証項目に反映される流れを作ります。
準拠する規制要件
当社の支援は、以下の規制要件・規格を前提としています。
| 地域 | 要求事項 | 設計開発に関する主な内容 |
|---|---|---|
| 国際規格 | ISO 13485:2016 | 箇条 7.3 に設計・開発の要求事項を規定。箇条 7.3.10 は、設計・開発の要求事項への適合を示すために必要な記録を設計・開発ファイルに含めるか参照することを求めています。箇条 4.2.3 の医療機器ファイルにより、製品または製品群ごとの文書を体系化します。 |
| 日本 | QMS省令(平成16年厚生労働省令第169号) | 第30条(設計開発)で設計開発計画の策定と設計開発の管理を求め、第31条(設計開発への工程入力情報)、第32条(設計開発からの工程出力情報)、第33条(設計開発照査)、第34条(設計開発の検証)、第35条(設計開発バリデーション)、第35条の二(設計移管業務)、第36条(設計開発の変更の管理)、第36条の二(設計開発に係る記録簿)が続きます。 |
| 米国 | QMSR(21 CFR Part 820) | FDA は 2024年2月2日に最終規則を公布し、2026年2月2日に施行しました。ISO 13485:2016 が引用により組み込まれ、従来の Quality System Regulation のサブパート C から O(設計管理 820.30 を含む)は削除されています。設計開発の要求事項は 21 CFR 820.10(c) および ISO 13485 の設計・開発の箇条によることとされ、従来の設計履歴ファイル(DHF)の考え方は ISO 13485 の医療機器ファイルおよび設計・開発ファイルで扱われます。 |
| 米国(査察) | Compliance Program 7382.850 | 2026年2月2日をもって従来の QSIT(Quality System Inspection Technique)は廃止され、更新された査察プログラムへ移行しています。 |
| 欧州 | Regulation (EU) 2017/745(MDR) | 第10条第4項は、カスタムメイド医療機器以外の製造業者に対し、技術文書を作成し最新の状態に保つことを求めています。技術文書は本規則への適合性を評価できるものでなければならず、附属書 II および III に定める要素を含む必要があります。また第10条第2項により、附属書 I 第3節に定めるリスクマネジメントシステムの確立・維持が求められます。 |
米国 QMSR への移行では、既存の設計管理手順の用語や記録の構成を ISO 13485 の設計・開発の枠組みに読み替える作業が必要です。当社はこの読み替えを含む手順書の改訂と社内周知まで支援します。
支援の進め方
| 段階 | 実施内容 |
|---|---|
| 1. 現状調査 | 現行の設計開発手順書・様式、直近の開発案件の記録、リスクマネジメントファイル、過去の指摘事項を確認し、担当者へのヒアリングにより実際の運用を把握します。 |
| 2. ギャップ分析 | 対象地域の規制要件と現状を条項単位で突き合わせて不足事項を一覧化し、規制上のリスクと是正の難易度から優先順位を付けます。 |
| 3. 手順書・様式の整備 | 優先順位に従って、設計開発手順書、デザインレビュー手順、設計移管手順、設計変更管理手順、各種様式を整備します。当社が原案を作成し、貴社のレビューを経て確定する形が中心です。 |
| 4. 運用定着支援 | 実際の開発案件に適用しながら記録の書き方を指導し、作成された記録を規制要件への適合性の観点からレビューします。社内教育や模擬監査による定着度の確認も行います。 |
対象地域、製品のクラス、現行手順の整備状況によって必要な段階と期間は異なります。すでに手順書が整備済みで運用定着だけが課題である場合など、一部の段階のみのご依頼にも対応いたします。
成果物の例
- 設計開発プロセスのギャップ分析報告書(規制要件との条項対比表を含む)
- 設計開発管理手順書、デザインレビュー実施手順書および判定基準表
- 設計移管手順書、移管完了判定チェックリスト
- 設計変更管理手順書、変更影響評価シート
- 設計開発計画書、入力情報/出力情報の様式、要求事項トレーサビリティマトリクス
- 検証・妥当性確認の計画書および報告書のひな形
- 設計開発ファイル(設計開発に係る記録簿)の構成定義書、インデックス
- リスクマネジメントと設計開発の連携を示す対応表、社内教育資料
成果物は貴社の文書体系・文書番号の付与規則に合わせて作成しますので、納品後そのまま社内文書として発行いただけます。
費用
支援範囲、対象地域、対象製品数、期間によって異なりますので、お見積りいたします。お問い合わせください。コンサルティング費用のページもあわせてご覧ください。
お問い合わせ
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