【製本版+ebook版】
【ICH M7 変異原性不純物(品質パート)】 パージファクター活用(スコアリングと判定基準)及び ニトロソアミン類のリスク評価 ~各パージファクター算出方法・管理オプション選定・推定パージファクター及び ニトロソアミン不純物のリスク評価と試験法設定~ ~PMDAの視点から:ICH M7 Q&A案(品質)の要点と最近の照会事項例等~ <”どういった基本的考えや姿勢によって、どこまで同じで、どこからが違うのか”> <なぜ違うのか、その背景から解説するので腑に落ちる!> |
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配信開始日 | 2021年9月22日(水) | |
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フォーマット | 製本版+ebook版(PDF) ※ebook版は、PDF (印刷・データコピー不可) WEBブラウザ上または専用アプリケーション(bookend)より閲覧可能です ※製本版とebook版の内容は同一です |
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体 裁 | B5 PDF 約109頁(ebook版) B5判 並製本 109頁(製本版) |
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価 格 ( 税込 ) | 38,500円 定価:本体35,000円+税3,500円 上記価格は書籍(紙媒体)+ebookのセット価格です。 |
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ポイント還元 | 誠に勝手ながら2020年4月1日より、会員割引は廃止とさせて頂きます。 当社では会員割引に代わり、会員の方にはポイントを差し上げます。 ポイントは、セミナーや書籍等のご購入時にご利用いただけます。 会員でない方はこちらから会員登録を行ってください。 |
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閲 覧 期 間 | 無期限 | |
オフライン閲覧 | 可能 | |
対応OS・デバイス | Win・Macの両OS、スマートフォン・読書端末(iPhone,iPadなど) | |
注 意 事 項 | ebookのダウンロードは、S&T会員「マイページ」内で行いますので、 S&T会員登録(無料)が必須です。 |
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発 行 | サイエンス&テクノロジー(株) 送料無料 |
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I S B Nコード | 978-4-86428-261-1 | |
C コ ー ド | C3047 |
【145(医薬品不純物)追補版】として
変異原性不純物の管理における最新の観点を集約
昨今の動きであるICH M7 Q&Aをふまえた規制情報、推定パージファクター、変異原性不純物の管理における最新の観点を集約
ニトロソアミン類のリスク評価、関連の照会事項等、
先般書籍では網羅しきれなかった【品質関連】テーマを深堀する!
本書のポイント
<ICH M7 Q&A案(品質)の要点と最近の照会事項例>
◎ICH M7 Q&A案のQuality part関連のポイント期待されるリスクコミュニケーション◎医薬品不純物関連のリスクアセスメントに関わる照会事項例及び望まれる対応
<パージファクターを用いたリスク評価の実際:スコアリング方法と判定基準>
◎各パージファクターの算出方法や管理オプションの選定方法◎予測のパージファクターにおける各物理化学的パラメータ毎のスコアリングの考え方
◎サクラミル原薬を事例に用いて、仮想上で変異原性不純物の管理戦略構築例を提示
◎推定パージファクターの運用における課題と推奨アプローチ
<今後厳格化されるニトロソアミン不純物へ求められるリスク評価と試験法>
◎EMA/FDAにおけるニトロソアミン不純物の管理への要求事項の比較◎ニトロソアミン類混入の根本原因毎のリスク評価の考え方
◎ニトロソアミン類の試験法への要求事項及び分析法設定・試験実施時における留意点
<ポイント詳細>
ICH M7Q&Aをふまえた変異原性不純物管理(品質パート)
◎ICH M7 Q&A案をふまえた規制動向と今後求められる対応
意見公募に付されたQ&A案のうちQuality part関連の質問に対する留意事項に注力して解説!
意見公募に付されたQ&A案のうちQuality part関連の質問に対する留意事項に注力して解説!
<扱っている質問(一部)> ※詳細は目次をご確認ください
●「半合成原薬とその製剤は、ICH M7の適用範囲に含まれるか?」
●「「4.3 市販製品の臨床使用に対する変更」にある「臨床用量の著しい増量」とは何を指すのか?
●「原薬の規格に規定されたクラス2又はクラス3の不純物が3つ以上の場合、
「表2:個々の不純物に対する許容摂取量」が適用されるか?」
●「オプション4の管理戦略の適用が適切なのはどのような場合か?」……等々
◎医薬品不純物リスクアセスメントに係る照会事項例と要求ポイント
不純物のリスクマネジメントの観点で重要な照会事項例を挙げ、最近のトピックスを交えて解説!
●元素不純物評価のポイントとは?不純物のリスクマネジメントの観点で重要な照会事項例を挙げ、最近のトピックスを交えて解説!
●変異原性不純物:策定した管理戦略に科学的に適切な説明はできるか?
●ニトロソアミン類関連の審査上の論点とは?
パージファクターを用いたリスク評価方法・オプション4管理戦略の構築例
◎各パージファクターの算出方法や管理オプションの選定方法
不純物のハザード評価から管理オプション選定まで、パージファクターを用いたリスク評価方法の各要素を詳述!●各算出方法:Required purge factor/ Predicted purge factor/ Measured purge factor
●パージ比に基づく管理オプション選択の考え方
●予測のパージファクター算出における各物理化学的パラメータ毎のスコアリングの考え方・スコアの判定基準の例
⇒ Reactivity / Solubility / Volatility / Ionizability / Physical processes
●パージ比に基づく管理オプション選択
●in silicoツールを用いたパージ評価
◎サクラミル原薬を事例に:実際の変異原性不純物の管理戦略の構築例
サクラミル原薬を事例を元に仮想上で行った変異原性不純物の管理戦略構築を解説。ICH M7に従った実際の不純物及び潜在的な不純物のハザード評価、許容限度値の算出からパージファクターを用いたリスク評価まで詳細に示す!
推定パージファクターのスコアリング
◎各物理化学的パラメータのスコアリング
▼【反応性(Reactivity)】/【 溶解性(Solubility)】
推定パージファクター計算時に考慮すべきとされる5つの物理化学的パラメータのうち、計算者によって見解が分かれやすい【反応性】及び【溶解性】に焦点を当て、推奨される考え方について述べる。
▼【実測値及び予測値に基づくスコアリング】/【科学的な考察に基づくスコアリング】
不安定で単離や合成出来なかった化合物や極めて高い反応性を有する不純物等については、理論的な根拠及び科学的な考察に基づくスコアリングが有効となる。
⇒実測値及び予測値に基づく手法・科学的な考察に基づく手法それぞれに言及
◎仮の製造工程をモデル工程としてスコアリングに際する各議論に言及
パージ比計算のための初期濃度の設定の考え方、同一工程内における同一要素のスコアの積算、分液操作に対するスコアリング、ケーキ洗浄への溶解性スコアの適用等々、、、その他、製造方法の変更時の考慮事項、推定パージファクターの根拠の当局への提出時や、出発物質選定や溶媒の残留リスク評価への活用等、議論されがちな点に言及する
ニトロソアミン不純物へ求められるリスク評価と試験法
◎ニトロソアミン不純物の管理に対するグローバル当局の要求事項の比較
EMAから2021年1月にガイダンスが発出され、リスク評価の対象とすべき範囲が拡大!(原薬製造プロセスでの不適切なオペレーションによる不純物のキャリーオーバーや、製剤工程における生成が原因に追加、混入原因も8から11に改訂)
EMA/FDAの要求事項を比較し、各国のリスク評価~変更管理のプロセス、薬事手続きの対応期限等分かりやすく概説
◎ニトロソアミン類混入の根本原因毎のリスク評価の考え方
EMAから2021年1月にガイダンスが発出され、リスク評価の対象とすべき範囲が拡大!(原薬製造プロセスでの不適切なオペレーションによる不純物のキャリーオーバーや、製剤工程における生成が原因に追加、混入原因も8から11に改訂)
提示されている11の混入原因をカテゴリー毎に分け、リスク評価の考え方を詳述!
(使用原料への混入、設備共用やオペレーションエラーによる交差汚染、原薬又は中間体の分解、製剤製造プロセスにおけるリスク評価等)
混入リスクが認められた場合の更なる評価についても言及。
◎ニトロソアミン類に関する管理戦略開発のアプローチ
管理戦略開発のアプローチ及び製剤中のニトロソアミン類の許容摂取量の計算時の考え方を解説
◎ニトロソアミン類の試験法への要求事項及び分析法設定・試験実施時における留意点
▼当局の試験法への要求事項と分析法設定・試験実施時における留意点FDA/EMAの公開済みの各種試験法による各原薬・製剤中の定量限界等をふまえ、さらに測定手法選択時の考え方、試料からニトロソアミン類を適切に抽出するための前処理方法の例やコツ、試験法開発時および実験操作における留意点を詳述!
▼LC-MS/MSによるニトロソアミン類の試験法の実例
LC-MS/MS法により、試料溶液の原薬・製剤濃度として1mg/mLで0.025ppmの定量限界を達成した事例を紹介
(独)医薬品医療機器総合機構 福地準一
富士フイルム(株) 長遠裕
小野薬品工業(株) 田村慎司
シオノギファーマ(株) 長尾恭子
(独)医薬品医療機器総合機構 小川卓巳
富士フイルム(株) 長遠裕
小野薬品工業(株) 田村慎司
シオノギファーマ(株) 長尾恭子
(独)医薬品医療機器総合機構 小川卓巳
本書の章立て
「 第1章 ICH M7 Q&A案 – quality partの概説と期待されるリスクコミュニケーション 」
「 第2章 原薬合成における変異原性不純物の管理:パージファクターを用いた変異原性不純物のリスク評価方法 」
「 第3章 推定パージファクターの活用における留意事項 」
「 第4章 ニトロソアミン類のリスク評価と試験法 」
「 第5章 医薬品不純物のリスクアセスメントと関連する最近の事例 」
各章の内容紹介
<本文抜粋>
「第1章 ICH M7 Q&A案 – quality partの概説と期待されるリスクコミュニケーション 」
( 福地 準一 / 著)
本稿では、2020年7月から1か月間、意見公募に付されたICH M7 Q&A案について、主としてquality partに関連する質問に関し、ポイントと考えられることを中心に概説する。……(中略)……ICH M7ガイドラインが導入されて以来、変異原性不純物の管理戦略の妥当性を示す上で、推定パージファクターを利用する際、例えば、どのくらいの情報やデータが実際には必要なのかは課題とされ、推定パージファクターに関する留意事項も含め、Q&Aとして明示する期待と需要が高まってきた。これが、Q&A作成の機運を高め、動機付けの要因の一つとなり、パージファクターに関連する事項以外の例えば変異原性評価に関連するQ&Aも含め、ICH M7ガイドライン全体の記載事項を対象にして、規制当局と医薬品業界との間での解釈の違いや規制当局間での対応の違いが生じないよう、Q&Aが作成されることとなり、2018年のICHシャーロット会合にて、Q&Aの議論が開始された。……(本文へ続く)
「第2章 原薬合成における変異原性不純物の管理:
パージファクターを用いた変異原性不純物のリスク評価方法 」
( 長遠 裕介 / 著)
…パージファクターを用いた不純物のリスク評価において,はじめに申請時の原薬製造ルートに対して不純物のハザード評価を実施し,管理が必要な変異原性不純物を選定する。次に,各変異原性不純物に対して管理レベルに基づく必要となるパージファクター(Required purge factor)を算出する。さらに,Teasdale等の手法を用いて予測のパージファクター(Predicted purge factor)を算出する。最後に,予測のパージファクターと必要とされるパージファクターの比であるパージ比(Purge Ratio)を算出して,パージ比の大きさに基づいて管理オプションを選定する。……(中略)……得られたパージ比の大きさがオプション4適用において不十分であった場合には,実測のパージファクター等,追加の実験データを取得してオプション4適用の妥当性を再検証する事が可能である。各パージファクターの算出方法や管理オプションの選定方法について以下に解説する。……(本文へ続く)
●「予測のパージファクター(Predicted purge factor)」
……予測のパージファクターを決定するにあたり,各物理化学的パラメータのスコアリング方法及びスコアの判定基準を設定する必要がある。予測のパージファクター算出における各物理化学的パラメータのスコアリング方法の考え方及びスコアの判定基準の例について以下解説する。尚記載したパージファクターのスコアリング方法及びスコアの判定基準については,あくまで著者の見解に基づく提案であり規制当局から承認等が得られたものではない点にご留意頂きたい。……(本文へ続く)
●「サクラミル原薬における変異原性不純物の管理戦略の構築」
……前項まで解説したパージファクターを用いたリスク評価について,実際にサクラミル原薬を事例に用いて変異原性不純物の管理戦略を構築した。尚,本事例はあくまで仮想上のものである事と,内容の理解のためにサクラミル原薬S2モックから変更点等を加えている事に,予めご了承頂きたい。図●にリスク評価の対象となるサクラミル原薬の商業用製造ルートを示す。……(本文へ続く)
「第3章 推定パージファクターの活用における留意事項 」
( 田村 慎司 / 著)
●「推定パージファクターのスコアリング」
……本項では、パージファクターを用いた変異原性不純物の残留リスク評価のうち、特に紙ベースによる推定パージファクターの各物理化学的パラメータのスコアの選択(以下、スコアリング)に際して、考慮すべき点や議論の発生しやすい点に焦点を当て、筆者の私見を述べる。オプション4の管理戦略やパージファクターを用いた変異原性不純物の残留リスク評価の全体像については、第2章をご参照いただきたい。……(本文へ続く)
……本章では推定パージファクターを用いた変異原性不純物の残留リスク評価のうち、スコアリングに際して留意すべき点を中心に述べた。リスク評価には絶対的な正解はないと考えられるが、それぞれの計算者が自身の評価を科学的な根拠に基づいて客観性と透明性をもって説明できる必要がある。このため、製造工程の十分な理解と科学に基づきスコアリングを行い、その根拠を明確な記録として残すことが重要である。……(中略)……推定パージファクターを用いたリスク評価に基づくオプション4の管理戦略を積極的に活用することで、残留リスクの高い不純物の管理に高感度分析などのリソースを集中することが可能となり、リスクマネジメントの原則も取り入れた効率的な医薬品開発につながることが期待される。(第3章内「おわりに」より)
「第4章 ニトロソアミン類のリスク評価と試験法 」
( 長尾 恭子 /著)
……2018年6月にバルサルタン原薬においてN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたことを皮切りに、欧州医薬品庁(EMA)、米国食品医薬品局(FDA)は他国の規制当局と共に医薬品へのニトロソアミン類の混入に関する調査を、テトラゾール環を有するサルタン系の原薬に留まらず、他のカテゴリーの医薬品にまで拡大して実施した。その結果、サルタン系の原薬の他にもH2ブロッカーであるラニチジン、ニザチジン、糖尿病治療薬のメトホルミンからもニトロソアミン不純物が検出され、安全性が確保できないと判断された製品については世界的に医薬品の回収が行われた。……(中略)……日本においても今後、欧米と同様にニトロソアミン不純物の規制は厳格化されることが予想される。本章では、ニトロソアミン不純物に求められるリスク評価とその試験法について紹介する。 ……(本文へ続く)
「第5章 医薬品不純物のリスクアセスメントと関連する最近の事例」
( 小川 卓巳 /著)
……リスクアセスメントについてはICH Q9において示されているが、この考え方は昨今の医薬品品質の審査の様々な場面において参考となる内容となっている。リスクアセスメントの流れとしてはリスクを特定し、リスクを分析する、そしてリスク評価するということになり、うまくいかないという事態、即ちリスクを遠ざけるために、評価されるものである。承認後においては、このリスクアセスメントの作成、見直しが必要になる機会が多く発生し、その結果として、管理戦略の変更が生じ、薬事手続きが必要になるケースもある。医薬品不純物でいえば、混入する不純物は何か、混入源や要因は何か、混入する可能性や程度はどのくらいか、混入したときに、どのようなことが想定されるか等を予め検討することになる。そして、その結果を踏まえて適切な管理戦略の策定(製造管理、品質管理)が行われる。……(中略)……次項では、不純物のリスクアセスメントに係る事例としておさえてほしいものをいくつか例示する。なお、個々の品目ごとの対応は申請品目の特性に応じて検討するものであり、本稿で述べる内容は適切な対応例ではないケースも想定されることに留意してほしい。……(本文へ続く)
(サイエンス&テクノロジー編集部)
本書の章立て
「 第1章 ICH M7 Q&A案 – quality partの概説と期待されるリスクコミュニケーション 」
「 第2章 原薬合成における変異原性不純物の管理:パージファクターを用いた変異原性不純物のリスク評価方法 」
「 第3章 推定パージファクターの活用における留意事項 」
「 第4章 ニトロソアミン類のリスク評価と試験法 」
「 第5章 医薬品不純物のリスクアセスメントと関連する最近の事例 」
各章の内容紹介
<本文抜粋>
「第1章 ICH M7 Q&A案 – quality partの概説と期待されるリスクコミュニケーション 」
「第1章 ICH M7 Q&A案 – quality partの概説と期待されるリスクコミュニケーション 」
( 福地 準一 / 著)
本稿では、2020年7月から1か月間、意見公募に付されたICH M7 Q&A案について、主としてquality partに関連する質問に関し、ポイントと考えられることを中心に概説する。……(中略)……ICH M7ガイドラインが導入されて以来、変異原性不純物の管理戦略の妥当性を示す上で、推定パージファクターを利用する際、例えば、どのくらいの情報やデータが実際には必要なのかは課題とされ、推定パージファクターに関する留意事項も含め、Q&Aとして明示する期待と需要が高まってきた。これが、Q&A作成の機運を高め、動機付けの要因の一つとなり、パージファクターに関連する事項以外の例えば変異原性評価に関連するQ&Aも含め、ICH M7ガイドライン全体の記載事項を対象にして、規制当局と医薬品業界との間での解釈の違いや規制当局間での対応の違いが生じないよう、Q&Aが作成されることとなり、2018年のICHシャーロット会合にて、Q&Aの議論が開始された。……(本文へ続く)「第2章 原薬合成における変異原性不純物の管理:
パージファクターを用いた変異原性不純物のリスク評価方法 」
パージファクターを用いた変異原性不純物のリスク評価方法 」
( 長遠 裕介 / 著)
…パージファクターを用いた不純物のリスク評価において,はじめに申請時の原薬製造ルートに対して不純物のハザード評価を実施し,管理が必要な変異原性不純物を選定する。次に,各変異原性不純物に対して管理レベルに基づく必要となるパージファクター(Required purge factor)を算出する。さらに,Teasdale等の手法を用いて予測のパージファクター(Predicted purge factor)を算出する。最後に,予測のパージファクターと必要とされるパージファクターの比であるパージ比(Purge Ratio)を算出して,パージ比の大きさに基づいて管理オプションを選定する。……(中略)……得られたパージ比の大きさがオプション4適用において不十分であった場合には,実測のパージファクター等,追加の実験データを取得してオプション4適用の妥当性を再検証する事が可能である。各パージファクターの算出方法や管理オプションの選定方法について以下に解説する。……(本文へ続く)●「予測のパージファクター(Predicted purge factor)」
……予測のパージファクターを決定するにあたり,各物理化学的パラメータのスコアリング方法及びスコアの判定基準を設定する必要がある。予測のパージファクター算出における各物理化学的パラメータのスコアリング方法の考え方及びスコアの判定基準の例について以下解説する。尚記載したパージファクターのスコアリング方法及びスコアの判定基準については,あくまで著者の見解に基づく提案であり規制当局から承認等が得られたものではない点にご留意頂きたい。……(本文へ続く)
●「サクラミル原薬における変異原性不純物の管理戦略の構築」
……前項まで解説したパージファクターを用いたリスク評価について,実際にサクラミル原薬を事例に用いて変異原性不純物の管理戦略を構築した。尚,本事例はあくまで仮想上のものである事と,内容の理解のためにサクラミル原薬S2モックから変更点等を加えている事に,予めご了承頂きたい。図●にリスク評価の対象となるサクラミル原薬の商業用製造ルートを示す。……(本文へ続く)
「第3章 推定パージファクターの活用における留意事項 」
( 田村 慎司 / 著)
●「推定パージファクターのスコアリング」……本項では、パージファクターを用いた変異原性不純物の残留リスク評価のうち、特に紙ベースによる推定パージファクターの各物理化学的パラメータのスコアの選択(以下、スコアリング)に際して、考慮すべき点や議論の発生しやすい点に焦点を当て、筆者の私見を述べる。オプション4の管理戦略やパージファクターを用いた変異原性不純物の残留リスク評価の全体像については、第2章をご参照いただきたい。……(本文へ続く)
……本章では推定パージファクターを用いた変異原性不純物の残留リスク評価のうち、スコアリングに際して留意すべき点を中心に述べた。リスク評価には絶対的な正解はないと考えられるが、それぞれの計算者が自身の評価を科学的な根拠に基づいて客観性と透明性をもって説明できる必要がある。このため、製造工程の十分な理解と科学に基づきスコアリングを行い、その根拠を明確な記録として残すことが重要である。……(中略)……推定パージファクターを用いたリスク評価に基づくオプション4の管理戦略を積極的に活用することで、残留リスクの高い不純物の管理に高感度分析などのリソースを集中することが可能となり、リスクマネジメントの原則も取り入れた効率的な医薬品開発につながることが期待される。(第3章内「おわりに」より)
「第4章 ニトロソアミン類のリスク評価と試験法 」
( 長尾 恭子 /著)
……2018年6月にバルサルタン原薬においてN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたことを皮切りに、欧州医薬品庁(EMA)、米国食品医薬品局(FDA)は他国の規制当局と共に医薬品へのニトロソアミン類の混入に関する調査を、テトラゾール環を有するサルタン系の原薬に留まらず、他のカテゴリーの医薬品にまで拡大して実施した。その結果、サルタン系の原薬の他にもH2ブロッカーであるラニチジン、ニザチジン、糖尿病治療薬のメトホルミンからもニトロソアミン不純物が検出され、安全性が確保できないと判断された製品については世界的に医薬品の回収が行われた。……(中略)……日本においても今後、欧米と同様にニトロソアミン不純物の規制は厳格化されることが予想される。本章では、ニトロソアミン不純物に求められるリスク評価とその試験法について紹介する。 ……(本文へ続く)「第5章 医薬品不純物のリスクアセスメントと関連する最近の事例」
( 小川 卓巳 /著)
……リスクアセスメントについてはICH Q9において示されているが、この考え方は昨今の医薬品品質の審査の様々な場面において参考となる内容となっている。リスクアセスメントの流れとしてはリスクを特定し、リスクを分析する、そしてリスク評価するということになり、うまくいかないという事態、即ちリスクを遠ざけるために、評価されるものである。承認後においては、このリスクアセスメントの作成、見直しが必要になる機会が多く発生し、その結果として、管理戦略の変更が生じ、薬事手続きが必要になるケースもある。医薬品不純物でいえば、混入する不純物は何か、混入源や要因は何か、混入する可能性や程度はどのくらいか、混入したときに、どのようなことが想定されるか等を予め検討することになる。そして、その結果を踏まえて適切な管理戦略の策定(製造管理、品質管理)が行われる。……(中略)……次項では、不純物のリスクアセスメントに係る事例としておさえてほしいものをいくつか例示する。なお、個々の品目ごとの対応は申請品目の特性に応じて検討するものであり、本稿で述べる内容は適切な対応例ではないケースも想定されることに留意してほしい。……(本文へ続く)(サイエンス&テクノロジー編集部)