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著者紹介

大田 佳生 氏 （樹脂コンパウンドコンサルタント）※元・旭化成(株)

【専門】
押出機を使った樹脂コンパウンド技術、押出機のシミュレーション、樹脂組成物開発

【経歴】
1981年 東京理科大学修士修了、同年 旭化成(株)入社。モノマー工場では、反応器の改造・蒸留塔新設工事に従事し、その後、ポリマーアロイ開発、シミュレーションソフト開発、混練技術開発、押出機の設計・設置・立ち上げ・製造のトラブル支援に従事した。在籍中、押出機スクリュデザイン（スクリュ構成）、ベントインサート、メヤニ除去装置等の開発と特許出願を行う。2019年 旭化成(株)を退社後、コンサルタントとして現在に至る。

専門書共著7件、学会誌・業界誌投稿7件、特許出願56件

目次構成概略
※詳細は「目次」タブからもご覧いただけます。

第１章　樹脂の基礎知識
熱可塑性樹脂の複合化技術、結晶性樹脂と非晶性樹脂の特徴の違い、樹脂の加工温度・熱分解温度、樹脂の溶融粘度がコンパウンディングに与える影響など

第２章　混練機の概要
混練機の種類、連続式とバッチ式コンパウンディング工程例、単軸押出機、二軸押出機、BUSS社ニーダー、遊星ギア押出機など各種押出機の特徴

第３章　単軸押出機の基礎
単軸押出機のスクリュ構成と圧縮比計算、分配混合スクリュと分散混合スクリュの相違、ブレークアップ現象、スケールアップ、トラブル対策

第４章　二軸押出機本体設備
モーター特性、ギアボックス、スクリュエレメント（標準・特殊混練）、バレル、バレルヒーター、サイドフィードバレル、ベントインサート、ダイ部など

第５章　押出機の周辺設備
供給装置、混合装置、ストランド冷却装置、ペレタイザー（ドラム式、ファン式、アンダーウォーター式など）、ペレットクーラー、分級機、空気輸送装置

第６章　二軸スクリュの混練技術
押出機運転シミュレーション、充満率・滞留時間、樹脂圧力・樹脂温度、分配混合・分散混合、スケールアップ時のトラブル原因とその対策

第７章　スクリュ構成の組み方の基礎と応用
スクリュ構成の基本、ペレット/ガラス繊維/粉体フィラーのスクリュ構成、液状添加技術、溶融粘度の異なる樹脂同士の溶融混練、樹脂組成物の製造例

第８章　各工程別トラブルの原因とその対策
ベントアップ、メヤニ、ストランド切れ、ペレットトラブル、炭化物トラブル、異物トラブル、重量式供給機において起こるトラブル

第９章　二軸押出機における粉体原料の搬送技術
粉体原料に起因するトラブル、ブロッキング防止技術、フラッシング現象、ガス抜き技術、粉体フィラーの供給技術

第１０章　完全かみ合い型二軸押出機のスクリュ形状計算
2条スクリュの溝深さの計算、空間体積の計算、搬送能力・せん断速度の計算、各種スクリュの計算結果、スクリュ形状計算ソフトの計算例

第１１章　二軸スクリュエレメントの3次元流動解析
ZSK40スクリュエレメントの計算値と実測値との比較、各種スクリュエレメントの圧力勾配・発熱量勾配の比較、スクリュエレメントの形状が特性に与える影響

補足説明資料、あとがき

書籍趣旨

近年、樹脂の高性能化、高機能化の要望と押出機の高性能化とあいまって、コンパウンディングの混練技術は、さらに高度化・複雑化する傾向にある。しかし、押出機に関する混練技術、本体設備、付帯設備、各工程別トラブルの原因と対策等の技術は、書籍、押出機メーカーの技術書、論文、セミナー資料や特許の公知文献に数多くあるが、これらの技術はまとめられていないのが実情である。

本書が押出機を扱う生産現場や樹脂組成物開発に従事する人たちが実務で使える「実用書」となるよう、筆者がポリマーアロイ開発、押出機シミュレーションソフト開発、混練技術開発、押出機の基礎設計、押出機の導入・立ち上げと生産技術支援等に関わってきた実務経験と前述の公知文献を基にされた解説を、本書に多数収録いたしました。

解説はやさしく丁寧であり、自身の知識・知見を惜しみなく読者に教示し、業界へ還元したいという著者の熱い思いが随所に見られます。実務で困ったとき、理解を深めたいとき、幾度となく本書を開いていただきたいという著者の思いを第一に、次の一歩を踏み出すための力が得られる１冊でありたいと願って編集に携わりました。読者の皆様にも、実際にそう感じていただければ幸いです。