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GMP

GMPとは

GMP(Good Manufacturing Practice)とは、医薬品の製造管理及び品質管理の基準である。日本では「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第179号、以下「GMP省令」)がこれにあたり、単なる推奨事項ではなく、製造販売承認の要件そのものとして法令に組み込まれている。本稿では、GMPという言葉を初めて調べる方に向けて、GMPの意味と目的、薬機法上の位置づけ、GQP省令・GVP省令との関係、PIC/S GMPとの関係、医療機器のQMS省令との違い、そしてGMP適合性調査までを、条文の実測に基づいて一通り解説する。

GMPとは何か

GMPは Good Manufacturing Practice の頭文字であり、日本語では「製造管理及び品質管理の基準」と訳される。要点は、できあがった製品を検査して合否を判定するのではなく、製品が確実に一定の品質で造られるように製造工程そのものを管理するという考え方にある。

医薬品は、患者が服用する時点でその品質を自ら確かめることができない。また、全数試験ができない項目(無菌性など)も多い。そのため、最終製品の試験検査だけでは品質を保証できず、原料の受け入れから製造、包装、出荷判定に至るすべての工程を、あらかじめ定めた手順どおりに実施し、その実施記録を残すという仕組みが必要になる。この仕組みを法令として文書化したものがGMPである。

GMP省令が要求している事項は、大きく次の3つの層に整理できる。

  • 組織と責任……製造部門と品質部門を分け、品質部門を製造部門から独立させること(第4条)。製造管理者を置くこと(第5条)
  • 文書と記録……医薬品製品標準書と手順書等をあらかじめ定め(第7条・第8条)、その実施記録を作成・保管すること(第20条)
  • 継続的な検証と改善……バリデーション(第13条)、変更の管理(第14条)、逸脱の管理(第15条)、自己点検(第18条)などにより、決めたとおりに動いていることを確かめ続けること

GMP省令の法令上の位置づけ

GMP省令は、それ自体が単独で存在する規則ではなく、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法、昭和35年法律第145号)の委任を受けて定められた省令である。GMP省令第1条は、その趣旨を次のように定めている。

この省令は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第十四条第二項第四号(第十九条の二第五項において準用する場合を含む。以下同じ。)に規定する厚生労働省令で定める基準を定めるものとする。

出典:医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令 第1条(e-Gov法令検索、2026年8月20日取得)

ここが実務上きわめて重要である。薬機法第14条第2項第4号は、製造所における製造管理又は品質管理の方法が「厚生労働省令で定める基準」に適合していると認められないときは製造販売の承認を与えないと定めている。つまりGMPへの適合は、努力目標でも業界の自主基準でもなく、承認が下りるかどうかを左右する法定要件である。GMPに適合していなければ、有効性と安全性の審査をいくら通過しても製品を市場に出すことはできない。

「GMPは製造所の話」ではない

GMP省令第3条は、製造販売業者に対して、製造業者等にGMPを行わせなければならないと定めている。製造を他社に委託していても、製造販売業者がGMPから解放されるわけではない。委託先の製造所がGMPに適合していることを確認する責任は、承認を持つ製造販売業者側に残る。

GQP省令・GVP省令との三役体制

日本の医薬品規制は、製造販売業者に対して3つの基準への適合を同時に求める設計になっている。俗に「三役」と呼ばれるのは、この3つの領域それぞれに責任者を置く体制のことである。

略称省令名省令番号守備範囲
GMP医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令平成16年厚生労働省令第179号製造所における製造管理と品質管理。造る側の基準
GQP医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令平成16年厚生労働省令第136号製造販売業者による品質管理。市場への出荷の可否の決定、製造業者との取決めなど
GVP医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令平成16年厚生労働省令第135号製造販売後の安全管理。安全性情報の収集・検討・措置

3つの関係は、時間軸で捉えるとわかりやすい。GMPは製品が造られる現場を、GQPは造られた製品を市場へ出す判断を、GVPは市場に出た後を、それぞれ受け持つ。GMP省令第2条第2項が「最終製品」を定義する際にGQP省令第9条第2項の市場への出荷の可否の決定を参照しているとおり、GMPとGQPは出荷判定の一点で明確に接続している。

GQP省令の対象から医療機器は外れている。医療機器の品質管理は後述のQMS省令が一体で扱うためである。一方GVP省令には医療機器が含まれる。略称が似ているため混同しやすいが、対象範囲は省令ごとに異なる。

令和3年改正で何が変わったか

GMP省令は、令和3年厚生労働省令第90号(令和3年4月28日公布、令和3年8月1日施行)により大幅に改正された。e-Gov法令APIで施行前後の条文を実測して比較すると、本則の条数は32条から63条へ、ほぼ倍増している。削除された条はなく、31条がまるごと新設された形である。

新設された条のうち、医薬品の製造管理に直接関わる主なものは次のとおりである。

新設条見出し要旨
第3条の3医薬品品質システム品質方針・品質目標を文書で定め、資源を配分し、定期的に照査する枠組みを求める
第3条の4品質リスクマネジメント品質リスクマネジメントを活用して医薬品品質システムを構築することを求める
第8条の2交叉汚染の防止交叉汚染を防止するため製造手順等について所要の措置をとることを求める
第11条の2安定性モニタリング有効期間又はリテスト日までの規格適合性を継続的に確認することを求める
第11条の3製品品質の照査製造工程・原料・資材・製品の規格の妥当性を定期的又は随時に検証することを求める
第11条の4原料等の供給者の管理供給者の適格性評価と選定、定期的な確認、文書による取決めの締結を求める
第11条の5外部委託業者の管理試験検査等を外部委託する場合の取決めの締結と定期的な確認を求める

これらは、ICH Q9(品質リスクマネジメント)・Q10(医薬品品質システム)とPIC/S GMPガイドの考え方を国内法令へ取り込んだものである。加えて第20条第2項に、手順書等と記録について「欠落がないよう」「正確な内容であるよう」「不整合がないよう」継続的に管理し、問題が判明した場合は原因を究明して是正措置及び予防措置をとる、という規定が置かれた。条文に「データインテグリティ」という語こそ登場しないが、これがデータインテグリティを国内GMPに明文化した規定である。

章立てと全63条の一覧、および各条が何を定めているかについては、改正GMP省令の目次にまとめている。

「是正措置」と「是正処置」を書き分ける

e-Gov法令APIで全文を検索した結果、GMP省令の条文には「是正措置」が6回、「予防措置」が6回登場し、「是正処置」「予防処置」は0回であった。QMS省令も同様で、「是正措置」20回、「予防措置」15回、「是正処置」は0回である。法令に基づく文書では「是正措置」「予防措置」JIS/ISO規格の用語として述べる場合は「是正処置」と、文脈で書き分けるのが正しい。どちらか一方が誤りなのではなく、一括置換をしてはならない類の用語である。

PIC/S GMPとの関係

PIC/S(Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme、医薬品査察協定及び医薬品査察協同スキーム)は、医薬品のGMP査察について各国当局の基準と手順を調和させるための国際的な枠組みである。PIC/Sの加盟当局一覧によれば、日本は厚生労働省(MHLW)とPMDAが1つの加盟当局として2014年7月に加盟している。

PIC/S GMPガイドは条約でも国内法でもないため、これに従うこと自体が直ちに法的義務になるわけではない。しかし、日本のGMP調査はPIC/Sの基準に沿って運用されており、前述の令和3年改正はPIC/S GMPガイドと国内省令との差を埋める性格を強く持っていた。実務上は、GMP省令が法的な最低要求、PIC/S GMPガイドが調査で参照される実務の水準という二層構造として理解しておくとよい。

医薬品のGMP省令と医療機器のQMS省令

「GMP」という言葉は医薬品の文脈で使われる。医療機器と体外診断用医薬品については、GMP省令ではなく医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(QMS省令、平成16年厚生労働省令第169号)が適用される。両者は目的こそ近いが、構造が大きく異なる。

比較項目GMP省令QMS省令
省令番号平成16年厚生労働省令第179号平成16年厚生労働省令第169号
対象医薬品・医薬部外品医療機器・体外診断用医薬品
本則の条数63条106条
直近の大改正令和3年厚生労働省令第90号令和3年厚生労働省令第60号
国際規格との関係ICH Q9・Q10、PIC/S GMPガイドの考え方を取り込みISO 13485:2016と整合化
設計の管理規定なし(製造管理と品質管理が中心)設計開発を含む(製品実現の節)
適合性の確認GMP適合性調査QMS適合性調査、登録認証機関による認証

最も大きな違いは設計の扱いである。GMP省令は「承認された内容どおりに造る」ことを対象とし、設計そのものは範囲外である。これに対しQMS省令は設計開発を管理対象に含む。医療機器は設計に起因する不具合が品質問題の主要因となるため、ISO 13485の構造をそのまま採り入れているためである。

GMP適合性調査

GMPへの適合は、書類上の宣言ではなく行政による調査で確認される。薬機法は、GMP適合性調査を次のように組み立てている。

種類根拠条文実施の契機
承認時の調査法第14条第6項製造販売承認を受けようとするとき
定期の調査法第14条第6項承認取得後、政令で定める期間を経過するごと
随時の調査法第14条第8項製品の特性その他を勘案して必要と認めるとき
基準確認証の交付法第14条の2製造業者等の求めにより、製造工程の区分ごとに確認

定期調査の間隔について、法第14条第6項は「三年を下らない政令で定める期間」とだけ定めており、具体的な年数は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令第21条にあり、5年と定められている。品目ごとに調査を受ける原則に対し、法第14条の2の基準確認証の制度は、製造工程の区分ごとにあらかじめ適合を確認しておくことで、品目単位の調査の重複を減らす仕組みである。

まとめ

GMPは、最終製品の検査ではなく製造工程の管理によって品質を保証するという考え方であり、日本ではGMP省令(平成16年厚生労働省令第179号)として法定要件になっている。適合しなければ製造販売承認は下りず、承認後も5年ごとの適合性調査を受ける。令和3年改正で本則は32条から63条へ倍増し、医薬品品質システム、品質リスクマネジメント、供給者管理、データインテグリティといったICHとPIC/Sの考え方が国内法令に取り込まれた。医療機器はGMP省令ではなくQMS省令の管轄であり、設計開発を含む点で構造が異なる。

2026年時点で取るべき対応

  1. 令和3年改正への対応が「書類上」で止まっていないか点検する施行から5年が経過し、改正対応そのものは一巡している時期である。医薬品品質システム(第3条の3)の定期的な照査、製品品質の照査(第11条の3)、安定性モニタリング(第11条の2)が、手順書はあるが実施記録が薄い、という状態になっていないかを自己点検で確かめる。
  2. 供給者・外部委託業者の取決めを棚卸しする第11条の4・第11条の5は文書による取決めの締結を求めている。改正時に締結した取決めが、その後の供給者変更や委託範囲の変更に追随できているかを一覧で確認する。定期的な確認の記録が残っているかも併せて見る。
  3. 第20条第2項をデータインテグリティの要求として読み直す「欠落」「不正確」「不整合」の3点は、紙の記録だけでなく電子記録・監査証跡にも及ぶ。電子データを扱うシステムについて、この3点をどう担保しているかを説明できる状態にしておく。詳細はコンピュータ化システムのバリデーションとはを参照されたい。
  4. 用語を法令準拠に揃える法令に基づく手順書・記録では「是正措置」「予防措置」を用いる。ISO 9001やJIS Q 9001を引用する箇所で「是正処置」を使うこと自体は誤りではないが、社内文書のどこがどちらの体系に属するかを整理し、無自覚な混在を解消する。
  5. 次回のGMP適合性調査の時期を逆算する定期調査は5年ごとである。調査対応を直前に始めると、製品品質の照査や自己点検の記録の不足を埋める時間が取れない。調査年から逆算して、記録の網羅性を確認する内部レビューを組み込む。

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GMP施行通知の施行(2013年8月30日)から8年近く経過し、いよいよGMP省令が改正されます。
改正GMP省令は、ICHやPIC/S等の国際標準のGMP基準に整合されました。
特にICH-Q9(品質リスクマネジメント)やICH-Q10(医薬品品質システム)の遵守が求められます。
それにより、品質保証体制の充実が求められることとなりました。

しかしながら、改正GMP省令はPIC/S GMPとの差異も存在します。
いったい何が変わり、どういう要求事項になっているのでしょうか。

改正GMP省令は、PIC/S GMPガイドライン重要項目(6項目)に加え、おおよそ以下の要件が追加されました。

承認事項の遵守(第3条の2)
医薬品品質システム(第3条の3)
品質リスクマネジメント(第3条の4)
交叉汚染の防止(第8条の2)
安定性モニタリング(第11条の2)
製品品質の照査(第11条の3)
原料等の供給者の管理(第11条の4)
外部委託業者の管理(第11条の5)
また、用語の定義が充実しました。
例えば、「医薬品品質システム」、「品質リスクマネジメント」、「安定性モニタリング」、「最終製品」、「参考品」、「保存品」、「是正措置」、「予防措置」、「品質」などが第2条(定義)に追記されます。

いったいどのような手順書(SOP)を作成すれば良いのでしょうか。

【医薬品品質システム】
ICH Q10(医薬品品質システム)の取り込みはグローバルな流れでもあります。
したがって、改正GMP省令においては、ICH Q10の浸透が強く要求されます。
では、医薬品品質システムとはいったい何でしょうか。
医薬品品質システムにおいては、経営層(トップマネジメント)の関与が求められます。
トップマネジメントは、医薬品品質システムの確立と実施の責任を持ちます。
また、定期的にマネジメントレビュによって品質をレビュし、医薬品品質システムの見直しを実施しなければなりません。
それにより、医薬品のライフサイクル全期間での継続的改善を促進することとなります。

また、製造所においては、従来の品質部門に品質保証に係る業務を担う組織(QA)の設置が規定されます。
製造管理者の管理監督の下、品質保証に係わる業務を実際に遂行する組織としての手順書の作成と実施が求められます。
また、外部試験検査機関等の供給者管理も厳格化されます。
供給者監査の実施や供給者における変更管理も把握する必要があります。
さらに品質保証部門(QA)は、是正措置や予防措置(CAPA)を通じて、品質の改善を実施しなければなりません。

【品質リスクマネジメント】
これまでICH-Q9 「品質リスクマネジメントに関するガイドライン」は課長通知として発出されていました。
しかし、改正GMP省令においては、適切に品質リスクマネジメントが活用されるよう、ICHQ9の原則に則して手順書の作成と実施が求められます。
さらに品質リスクマネジメントの適用範囲として、「製品の製造管理及び品質管理」 だけでなく、「製造所における医薬品品質システム(PQS)」も対象となります。

本セミナーは、改正GMP省令と現行のGMP省令の対比表、品質マニュアルのサンプルなど充実した資料を配布し、分かりやすく90分間で改正GMP省令のポイントを解説いたします。”]

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しかしながら、改正GMP省令はPIC/S GMPとの差異も存在します。
いったい何が変わり、どういう要求事項になっているのでしょうか。

改正GMP省令は、PIC/S GMPガイドライン重要項目(6項目)に加え、おおよそ以下の要件が追加されました。

承認事項の遵守(第3条の2)
医薬品品質システム(第3条の3)
品質リスクマネジメント(第3条の4)
交叉汚染の防止(第8条の2)
安定性モニタリング(第11条の2)
製品品質の照査(第11条の3)
原料等の供給者の管理(第11条の4)
外部委託業者の管理(第11条の5)
また、用語の定義が充実しました。
例えば、「医薬品品質システム」、「品質リスクマネジメント」、「安定性モニタリング」、「最終製品」、「参考品」、「保存品」、「是正措置」、「予防措置」、「品質」などが第2条(定義)に追記されます。

いったいどのような手順書(SOP)を作成すれば良いのでしょうか。

【医薬品品質システム】
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医薬品品質システムにおいては、経営層(トップマネジメント)の関与が求められます。
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また、外部試験検査機関等の供給者管理も厳格化されます。
供給者監査の実施や供給者における変更管理も把握する必要があります。
さらに品質保証部門(QA)は、是正措置や予防措置(CAPA)を通じて、品質の改善を実施しなければなりません。

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