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データインテグリティ

データインテグリティに関するSOP作成の留意点

データインテグリティ(以下DI)の要求は、方針を宣言しただけでは満たされない。査察で問われるのは「誰が、いつ、何を、どの基準で確認したか」であり、その答えは手順書(SOP)に書かれていなければならない。本稿では、DIを担保する手順書に何を書くべきかを、監査証跡レビュー、アクセス権限管理、生データの定義と保管、ハイブリッド運用、バックアップとアーカイブ、逸脱時の対応、教育訓練という切り口で整理し、手順書の目次案を表として示す。

なぜ「DIの手順書」が必要なのか

DIの要求は、既存の手順書のあちこちに散在している。分析法の手順書に監査証跡の話が半行だけ書かれ、システム管理の手順書に権限付与の話があり、記録管理の手順書に保存期間が書かれている、という状態が珍しくない。この状態の問題は、要求が抜け落ちても誰も気づかないことである。

WHOのGuideline on data integrity(Annex 4, WHO Technical Report Series No.1033、2021年)は、データガバナンスのプログラムが「データマネジメントを扱う方針および手順を含むべきである」(4.10項)とし、経営層の監督とコミットメント、品質リスクマネジメントの適用、バリデーションの方針、変更・インシデント・逸脱の管理、データの分類、監視、記録管理、教育訓練を含めるべきだと列挙している。つまり、DIは方針文書と手順書の体系として存在していなければならない。

手順書を1本にまとめるか、複数に分けるか

上位に「データインテグリティ管理規程」(方針+全体の枠組み)を1本置き、実行手順は既存の手順書に埋め込むか、テーマ別に分割するのが実務的である。すべてを1本の巨大な手順書に押し込むと、装置の更新やシステム追加のたびに全体を改訂する羽目になる。逆に上位規程がないと、要求の抜けが検出できない。上位規程には「どの手順書がどの要求を担っているか」の対応表を必ず載せておきたい。

手順書の目次案

以下は、DI管理規程の目次案である。WHOガイドラインの章構成(データガバナンス、品質リスクマネジメント、マネジメントレビュー、外部委託、教育訓練、データの転送と処理、適正文書化、コンピュータ化システム、データのレビューと承認、是正処置および予防処置)を骨格とし、実務で書き落としやすい項目を補った。

表1 データインテグリティ管理規程の目次案
章題記載すべき事項
1目的および適用範囲対象となるGxP区分、対象組織、紙・電子・ハイブリッドのいずれも含む旨。外部委託先への適用の有無
2用語の定義データ、生データ、メタデータ、監査証跡、真正なコピー、ハイブリッドシステム、静的データと動的データ、アーカイブとバックアップの区別
3責任と権限経営層、品質部門、システム所有者、システム管理者、データ作成者、データレビューアの各役割。管理者と利用者の職務分離
4DIリスクアセスメントデータフローの図示、データの重要度の判定基準、固有リスクの評価方法、統制の決定と再評価の頻度
5生データの特定と原本の指定工程ごとに何を生データとするか。紙と電子が併存する場合にどちらを原本とするか。真正なコピーの作成と検証の手順
6記録の作成に関する規律同時記録、訂正の方法、空欄の扱い、ブランク様式の発行と回収、日付・署名の記載規則
7コンピュータ化システムの管理バリデーション、設定管理、時刻同期、監査証跡の有効化、システム変更時の影響評価
8アクセス権限の管理付与・変更・削除の申請と承認、定期的な棚卸し、共有アカウントの禁止、特権アカウントの管理
9データのレビューと承認レビューの対象範囲、監査証跡レビューの方法と頻度、レビュー記録の様式、所見がない場合の記載方法
10バックアップ、アーカイブ、廃棄取得頻度、保管場所、復元テストの実施頻度、保存期間、可読性の維持、廃棄の承認
11ハイブリッド運用の取扱い紙と電子の対応づけ、印刷物に付すべき情報、電子側のメタデータの保持
12外部委託先の管理委託契約に含めるDI条項、委託先の統制の評価、サマリーレポートの限界の認識
13逸脱および不正が疑われる場合の対応報告経路、初動の保全措置、影響評価の範囲、当局報告の判断基準、CAPAの横展開
14教育訓練対象者、初回および定期の頻度、内容、有効性の評価方法
15自己点検およびマネジメントレビュー点検項目、頻度、経営層への報告事項、指標の設定

監査証跡レビューの手順

DIの手順書で最も書き方に差が出るのが、監査証跡レビューである。ありがちな失敗は「監査証跡をレビューする」とだけ書いて、何をどこまで見るのかを定めないことである。これでは実行不能な手順であり、結果として誰もレビューしない。

MHRAのGXP Data Integrity Guidance and Definitions(Revision 1、2018年3月)は、レビューの範囲について次のように述べている。

監査証跡に保持されたデータのうち何が関連するかは、堅牢なデータレビューおよび検証を可能にするよう、組織が検討すべきである。監査証跡のレビューがシステムのすべての活動(例:利用者のログオン・ログオフ、キーストロークなど)を含む必要はない。(中略)日常的なデータレビューには、リスクアセスメントにより必要と判断された場合、文書化された監査証跡レビューを含めるべきである。監査証跡のレビューは、関連するデータの一覧として行うことも、「例外報告」の手法によって行うこともできる。

MHRA『GXP Data Integrity Guidance and Definitions』Revision 1(2018年3月)6.13項より要約・和訳

したがって手順書には、少なくとも次の四点を書き分ける必要がある。第一に、どのシステムのどのイベント種別をレビュー対象とするか。第二に、レビューの契機と頻度(バッチ記録の承認時、分析結果の判定時、月次など)。第三に、レビューの方法(一覧の目視か、例外報告か。例外報告を使う場合、その検索ツール自体がバリデートされ、判定条件が定義されていること)。第四に、レビューアの要件である。MHRAは「レビューアは、関連する監査証跡、生データおよびメタデータをレビューするために十分な知識とシステムアクセス権を有するべきである」としている。閲覧権限を持たない者がレビューアに指名されている手順書は、その時点で成立しない。

「所見なし」を記録する様式にする

MHRAは、データレビューの記録に「問題が見つかったか否かについての明確な記述(positive statement)、レビュー実施日、レビューアの署名」を含めるべきだとしている(6.15項)。問題があったときだけ記録する様式では、レビューを実施したこと自体が証明できない。監査証跡の詳細については「監査証跡とは何か」「監査証跡はなぜ最後の砦なのか」も参照されたい。

なお、監査証跡機能を持たないレガシー機器については、MHRAは代替統制(手順書での運用定義と使用記録簿の併用など)を認めつつ、その有効性が証明されること、および適合するシステムへの移行が進んでいる文書化された証拠があることを求めている。「機能がないからできない」と書くだけの手順書は通用しない。

アクセス権限管理

手順書に書くべきは、権限のライフサイクルである。入社・異動・退職に対応する付与・変更・削除の申請経路と承認者、緊急時の一時付与とその事後承認、そして定期棚卸しの頻度と証跡である。とりわけ重要なのが、システム管理者権限とデータ作成・承認権限の分離を明文化することである。分析者が自らのデータを削除できる権限を持っていれば、監査証跡があっても統制としては弱い。

共有アカウントは原則禁止とし、例外を認める場合はその条件(技術的に個人アカウントが発行できない機器に限る、代替として使用記録簿を運用する、更新計画を持つ)を手順書に明記する。「原則禁止」とだけ書いて例外条件を書かない手順書は、現場で例外が常態化する。

生データの定義と保管

手順書で最も曖昧に扱われがちなのが「生データ」である。WHOは生データを「最初に取得された情報である原記録(データ)。紙に記録されたか電子的に記録されたかを問わない。生データはソースデータと同義である」と定義している。実務上は、工程ごとに「何が生データか」を具体的に列挙するほかない。

WHOは「一度印刷または静的な電子形式に変換されると、クロマトグラフィの記録は再処理する能力や、ベースラインをより詳細に表示する能力を失う」と述べている。プリントアウトではなくデータファイルとその処理パラメータが生データであり、印刷物だけを保管する運用はこの時点で成立しない。紙と電子のどちらを原本とするかという論点は「紙が正か電子が正か」「なぜプリントアウトは信頼できないのか」で扱っている。

ハイブリッド運用の扱い

紙と電子が併存するハイブリッドシステムは、最も統制が難しい形態である。WHOは「紙ベースのシステムから自動化されたシステムまたはコンピュータ化システムへ(あるいはその逆へ)移行しても、それ自体が適切なDI統制の必要性をなくすものではない」(4.14項)としており、MHRAも同趣旨を3.7項で述べている。手順書に書くべき事項は、(1) 紙側と電子側の記録をどのキー(バッチ番号、試験番号、機器ID等)で対応づけるか、(2) 印刷物に何を記載させるか(システム名、出力日時、出力者、対応する電子記録の識別子)、(3) 電子側のメタデータをどこまで保持するか、(4) 両者に不一致があった場合にどちらを優先し、どう調査するか、の四点である。

バックアップとアーカイブ

この二つを混同した手順書が非常に多い。WHOの定義では、バックアップは「稼働中の電子データを、復元に備えて定められた間隔で安全な方法により複製すること」であり、アーカイブは「保存期間全体にわたり、劣化、改変または削除の可能性から記録を長期に保管し保護する過程」である。目的が違うため、手順も別に書かなければならない。

表2 バックアップとアーカイブの書き分け
観点バックアップアーカイブ
目的障害からの復旧保存期間にわたる記録の保全と提出可能性の確保
対象稼働中のデータ確定した記録。メタデータ、監査証跡、電子署名を含む完全なデータ
手順書に書くこと取得頻度、世代管理、保管場所の分離、復元テストの頻度と記録移管の判断基準、改変・削除を防ぐ措置、可読性維持の方法、保存期間満了時の廃棄承認
よくある不備復元テストを一度も実施していないアーカイブと称して単にバックアップ媒体を保管しているだけ

長期保存の技術的な難しさについては「電子記録の長期保存が困難な理由」および「記録の管理」で扱っている。

逸脱時の対応

DIの逸脱が見つかったときの手順は、通常の逸脱管理と分けて書くべき点がある。第一に、不正が疑われる場合の初動として、当該システムのログとデータを保全する措置(権限の一時停止、証跡の取得)を定めておくこと。第二に、影響評価の範囲を、当該記録だけでなく同じ担当者・同じ機器・同じ期間の他の記録にまで広げること。第三に、経営層および品質部門への報告経路を、通常の逸脱報告とは別に定めておくことである。

ここで用語に注意したい。GMP省令・QMS省令などの省令上の要求として述べる箇所では「是正措置」を用い、ISO 13485やJISの箇条を引いて述べる箇所では「是正処置」を用いる。どちらも正しく、文脈で決まる。根拠を明示せずに両者が揺れている手順書は避けたい。

また、DIの弱点に対するCAPAは横展開が求められる。WHOは「DIに弱点が認められた場合、適切な是正処置および予防処置(CAPA)は、関連するすべての活動およびシステムを横断して実施されるべきであり、個別に切り離して実施されるべきではない」(4.13項)としている。手順書にも、この横展開の実施と記録を明記しておく。

教育訓練

DIの教育訓練は、一般的なGxP教育とは別に設計する必要がある。WHOは、リスクアセスメントで必要と判断された要員に対し、コンピュータ化システムのバリデーション、システムセキュリティ評価、バックアップ、復元、災害復旧、変更および構成管理、ならびに監査証跡やログを含む電子データ・メタデータのレビューを含む訓練を行うべきだとしている。すなわち、レビューアには「監査証跡の読み方」を訓練しなければならない。

教育訓練の記録は、実施したこと(受講記録)だけでなく、理解したこと(有効性の評価)まで残す設計にしておきたい。手順書、教育訓練、記録の三点をそろえる考え方については「教育訓練の「三種の神器」とは何か」を参照されたい。

よくある不備な記述と、望ましい記述

表3 手順書の記述例の比較
項目不備な記述望ましい記述
監査証跡レビュー監査証跡を適宜レビューする対象システム、対象イベント種別、実施の契機、方法(一覧か例外報告か)、レビューアの資格要件、記録様式を特定して定める
アクセス権限権限は適切に管理する付与・変更・削除の申請書と承認者、定期棚卸しの頻度、管理者権限と作成・承認権限の分離、共有アカウントの例外条件を定める
生データ生データは適切に保管する工程ごとに生データを列挙し、保管場所、保管形式、保存期間、原本の指定を定める
バックアップ定期的にバックアップを取得する取得頻度、保管場所の物理的分離、復元テストの頻度と合否基準、記録の残し方を定める
逸脱対応逸脱が発生した場合は品質部門に報告する不正が疑われる場合の保全措置、影響評価の範囲(担当者・機器・期間による拡張)、当局報告の判断基準、CAPAの横展開を定める

2026年時点で取るべき対応

  1. 要求と手順書の対応表を作るFDA・MHRA・PIC/S・WHOの各ガイダンス、ならびに国内のER/ES指針とコンピュータ化システム適正管理ガイドラインの要求項目を行に、自社の手順書と該当条項を列に置いた対応表を作成する。空欄が要求の抜けである。
  2. 監査証跡レビューの手順を実行可能な粒度まで書き下ろす対象イベント、契機、方法、レビューアの資格要件、記録様式の五点を明記する。例外報告を用いる場合は、その検索条件と検索ツールのバリデーション記録を紐づける。
  3. 生データを工程ごとに列挙する抽象的な定義では運用できない。装置・システムごとに、何が生データで、どこに保管され、どれが原本かを表にして手順書に添付する。
  4. アーカイブの復元可能性を実証するバックアップの復元テストと、アーカイブからの読み出しテストを別々に計画し、記録を残す。装置更新・システム移行のたびに再実施する。
  5. 共有アカウントの例外リストを維持するやむを得ず残るものを一覧化し、代替統制と更新計画を紐づけて記録する。査察では「把握しているか」がまず問われる。
  6. 用語の統一を点検する手順書内の「是正措置」と「是正処置」が、それぞれ省令の要求とISO/JISの箇条という根拠に対応しているかを確認する。根拠不明のまま揺れている箇所を直す。

まとめ

DIの手順書は、方針だけを掲げても機能しない。上位に管理規程を1本置き、実行手順を既存の手順書体系に接続したうえで、要求と手順書の対応表を維持するのが現実的である。粒度が最も問われるのは監査証跡レビューであり、対象・契機・方法・レビューアの資格・記録様式の五点を特定できているかが分かれ目となる。生データは工程ごとに列挙し、バックアップとアーカイブは目的が異なる別の手順として書き分ける。手順書に書かれていない統制は、査察では存在しないものとして扱われる。

DIの概念とALCOA+の各原則は「データインテグリティと不正」、FDAの姿勢の変遷は「データインテグリティに関するFDAの期待と指導の変遷」、Part 11 の執行の現況は「Part11査察の再開」で扱っている。

出典

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改正GMP省令では、データインテグリティに関する手順書の整備が求められることになりました。
しかしながら、データインテグリティは新しい概念ではありません。
紙媒体であれ、電子記録であれ、記録(データ)や文書の信頼性を担保することは極めて重要です。
いったいどんな手順書を作成すれば良いのでしょうか。
データインテグリティに関する手順書は、企業や組織で1冊作成すれば良いというものではありません。
現存の関連するすべての手順書にデータインテグリティを保証するための手順を埋め込んでいかなければなりません。

インテグリティ(integrity)を辞書で引くと「誠実」という意味であることが分かります。
では、データが誠実ということは何を意味するのでしょうか。
その答えは、規制当局にとってデータが信用できるということです。
そのためには、データは作成されてから現在までの経緯(例:変更)がわかるようにしておかなければなりません。
つまり紙媒体であれ、電子記録であれ監査証跡が必要です。
監査証跡が必要ということは、データが生データだけではなく、メタデータも含めて完全でなければならないということです。
したがって、データインテグリティは、「データの完全性」と訳されます。

ではいったい、データの完全性を担保するためには、どのような事項に留意するべきなのでしょうか。
またデータインテグリティが失われた場合、何が問題になるのでしょうか。

昨今の製薬企業では、記録を手書きにより作成することは非常に少なくなりました。
多くの場合、記録は電子で作成されます。
記録の保管については電子記録を紙媒体に印刷したものに手書き署名(記名・捺印)をするといったハイブリッドな使用方法が多くを占めます。
しかしながら、ハイブリッドシステムでは不正が容易になってしまいます。
つまり電子記録を改ざんした後に再印刷し、バックデートで署名するといった手口です。

電子記録と紙媒体の管理はどのように行うべきでしょうか。

一方において、FDAは1997年に21 CFR Part11を発行し、電子記録の信頼性に関する要求事項を明らかにしました。
しかしながら、その要件には実現が困難なものも多くありました。
特に問題となったのは、コンプライアンスコストです。
規制当局は、患者の安全性を担保するために規制要件を強化する必要がありますが、規制要件を強化しすぎるとコンプライアンスコストを高める結果となってしまいます。
製薬企業が負ったコンプライアンスコストは薬価に転嫁され、結果的には患者負担となってしまいます。
すなわち、いたずらにコンプライアンスコストを高めてしまうことは、逆に患者に負担を強いる結果となってしまうのです。
そこでFDAは、2003年に新しい医薬品監視指導方針として「リスクベースドアプローチ」という方法を発表しました。

FDAの最新のPart11の期待と指導はどのようになっているのでしょうか。
またFDAの査察官は、どのように電子記録の不正を見破るのでしょうか。

2015年には、イギリスのMHRAが「MHRA Data Integrity Definitions and Expectations」と呼ばれるガイダンスを発行し、2018年に改定されました。
その内容は非常に参考になります。
今後は世界の規制当局が同じようにデータインテグリティに関する期待を述べる機会が増えると思われます。
しかしながら、本邦においてはデータインテグリティに関するガイドラインが発出されていません。

本セミナーでは、データや文書のインテグリティ確保に関する基本的な事項を要点をまとめてわかりやすく解説いたします。
またデータインテグリティSOPのサンプルを配布し、データインテグリティSOPの作成方法を説明いたします。”]

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では、いったいどのような要件と手順を各SOPに記載すれば良いのでしょうか。
本データインテグリティ規程・手順書のひな形は、貴社の各手順書にデータインテグリティの要件を追記するためルールを規定しています。また要件を追記するための手順と要件を明らかにしています。”]

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筆者は,多くの場合,データインテグリティは,「不正」に焦点が当てられているように感じている。しかしながら,データインテグリティにおいて焦点を当てるべきは,不正のみではないのである。 ・・・中略・・・

データインテグリティの目的の1つとして,データが改ざんされていないことを保証することが挙げられる。上述の通り,患者の安全性にとって,故意によるデータの改ざんも入力ミスや転記ミスといった事故による改ざんも等しく問題となる。
多くのデータインテグリティに関するセミナーや書籍においては,悪意のある不正な改ざんに焦点が当たり過ぎている感がある。
しかしながら,不正による改ざんがそんなに多いわけではない。製薬企業として確立し対応しなければならないのは,不正よりも悪意のない改ざんである。 ・・・中略・・・

本書では,データインテグリティを正しく理解した上で,患者の安全性を担保できるよう,データインテグリティの要求事項を適切に反映したSOP の作成方法についてわかりやすく解説した。本書が製薬業界における安全性担保の一助になれば光栄である。”]

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