製造販売業の3区分(第一種・第二種・第三種)
製造販売業の許可を取ろうとして「第一種、第二種、第三種ーーうちはどれを申請すればいいのか」で手が止まる。初めて薬事に触れる担当者が必ず通る関門である。この三区分は、企業の規模や売上で決まるのではない。
扱おうとする医療機器のリスク区分、すなわち一般医療機器・管理医療機器・高度管理医療機器のどこまでを扱うかによって、必要な最低区分が決まる。ここを取り違えると、必要な許可区分を満たさないまま品目の承認・認証・届出や上市準備を進め、計画の途中で足止めを食らう。対応はこうだ。
第一種医療機器製造販売業の許可があれば、高度管理医療機器から一般医療機器まで、すべてのリスク区分を扱える。第二種は管理医療機器と一般医療機器まで、第三種は一般医療機器のみを扱える。上位の許可は下位を包含する入れ子構造になっており、リスクの高い品目を扱うほど、より上位の許可が必要になる。
数字が小さいほど広く扱える、と覚えておくとよい。第一種がすべてを包み込む最も広い許可であり、第三種が最も限定された許可だ、という上下の感覚をまず頭に入れておきたい。

ここで大切なのは「自社が扱う品目のうち、最もリスクの高いもの」が決めるのは、必要な最低区分だという点だ。九割が一般医療機器でも、一品目でも高度管理医療機器を扱うなら、第一種の許可が要る。裾野の広さではなく、いちばん高い山の標高で決まるーーこの感覚を持っていないと、後から高リスク品を一つ追加した途端に許可区分が足りず、事業がつかえてしまう。
逆に、扱う品目が低リスク品だけになったからといって、直ちに下位区分へ変更しなければならないわけではない。上に届かなければ止まるが、下に余裕があること自体は問題にならない、という非対称な関係である。だからこそ、いま扱う製品だけでなく、数年先に手がけたい製品まで見渡して区分を決めておくことが、後の混乱を避ける近道になる。

区分が上がるほど重くなるのは、書類の枚数ではなく、社内に置くべき人員・組織・手順である。医療機器製造販売業者には、総括製造販売責任者、国内品質業務運営責任者、安全管理責任者を中心とした体制が求められる。そして許可区分に応じて、総括製造販売責任者の資格要件や、GVP省令に基づく安全管理の組織・手順などが異なる。
また、QMS省令に基づく品質管理体制についても、国内品質業務運営責任者の要件を含め、区分ごとの適用関係を確認する必要がある。とくに第一種では、安全管理統括部門を置くなど、より厚い製造販売後安全管理体制が求められる。
ただし、「第一種・第二種・第三種の順に、すべての責任者の要件が一律に厳しくなる」と理解するのは正確ではない。責任者ごとの資格要件と、QMS省令・GVP省令が求める組織要件は、別立てで確認する必要がある。それでも制度の思想は一貫している。
第一種の許可を取得することは、いわば「高リスク品に対応できる責任者と、品質管理・製造販売後安全管理の体制を社内に配置している」ことを、許可要件への適合を通じて示すことにほかならない。許可は紙ではなく、人と仕組みで支えるものだ、という思想がここに透けて見える。逆に言えば、要件を満たす人材と体制を確保できなければ、望む区分の許可は取れないということでもある。

だからこそ、区分の選択は事業計画と一体で考えなければならない。目先の第一号製品が一般医療機器だからと第三種で申請し、その後の展開で高度管理品を狙うーーという筋書きなら、上位区分への移行に必要な人材と体制を、早い段階から検討しておく必要がある。上位区分の許可を改めて取得する手続や、要件を満たす責任者の確保、必要な組織体制の整備には、相応の時間とコストがかかる。
もっとも「将来扱う可能性がある」という理由だけで、常に第一種を取りにいくべきというわけでもない。上位区分に見合う体制は、構築するにも維持するにも相応の負担が生じる。将来の製品ポートフォリオ、その開発時期、人材確保の見通し、体制維持のコストを並べて見比べ、必要にして現実的な区分を選ぶーーそういう判断が要る。

第一種・第二種・第三種という数字は、企業の格付けではなく、不具合が生じた場合の人体へのリスクの重さに応じて、どこまでの責任を担える体制を備えているかを示す区分である。自社が本当にどこまでのリスクを引き受けるのかーー自社の未来図に照らして、現在と将来の事業に適した区分を選ぶこと。その覚悟の水準を、この区分は静かに問うているのである。
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