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滅菌は「変更がなくても」定期的に再バリデーションが要る

「製品も滅菌工程も、何一つ変えていない。だから滅菌バリデーションはやり直さなくてよい」ーー理屈は通っているように聞こえる。変更があればバリデーションを見直す、というのは正しい原則だからだ。

しかし滅菌に関しては、この「変えていないから不要」という思い込みが、査察の指摘につながりかねない。滅菌バリデーションには、変更の有無とは別に、定期的な再確認の周期が求められる。放射線滅菌なら線量監査、エチレンオキサイド滅菌や蒸気滅菌なら、あらかじめ定めた間隔での再確認(適格性の再確認)といった具合に、一定の間隔で「今も当初の条件で確実に滅菌できているか」を確かめ直す。

関連規格が周期的な再確認を織り込んでいるのは、変更していないつもりでも、現実には少しずつ何かが動いているからだ。何が動くのか。製品に付着する微生物の数や種類(バイオバーデン)は、原材料の産地や季節、製造環境の変化で静かに変わっていく。

設備は経年で劣化し、人由来のばらつきも積み重なる。「何も変えていない」と思っているのは製造者の主観であって、微生物の世界は当方の意図とは無関係に変動する。定期的な再バリデーションは、この目に見えないドリフト(じわじわしたズレ)を捕まえるための、いわば定期健診なのである。

ここに、バリデーションの本質が現れている。バリデーションは、一度証明すれば永久に有効な「証明書」ではなく、有効期限のある「状態の宣言」だと捉えるべきだ。滅菌が成功したかは製品を壊さずに全数確認できないーーだからこそ、工程が今も当初と同じ状態にあることを、周期的に語り直さねばならない。

未来形で保証したものは、時間が経てば過去形になる。過去形になった保証を、もう一度未来形へ書き直す作業が、定期再バリデーションなのだ。実務では、この周期を管理台帳に載せ、変更管理とは独立したトリガーとして回すことが要る。変更がないと安心している時期こそ、周期は静かに満了へ近づいている。

経験者ほど、この定期性を変更管理の発想で捉えてしまい、落とし穴にはまる。変更があれば見直す、という原則が体に染みついているため「変更がない=アクション不要」と反射的に判断してしまうのだ。しかし滅菌の再バリデーションは、変更があったときだけ行う活動ではない。

変更に加えて、時間の経過もトリガーになる活動である。カレンダーが満了を告げたら、変更の有無にかかわらず実施する。この二つのトリガーを混同し、変更管理の台帳だけを見ていると、時間で回るべき再バリデーションが、静かに期限を過ぎていく。

変更管理の台帳とは別に、時間で鳴る目覚まし時計を、もう一つ持っておくべきなのである。滅菌の保証は、成功した過去の記憶ではない。今この瞬間も成り立っているという、更新され続ける宣言である。「変えていないから」は、更新を怠ってよい理由には、決してならないのである。

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