一般的名称とJMDNコード
自社製品を医療機器として世に出そうとするとき、最初にぶつかるのが「この製品を、制度上なんと呼ぶか」という問題である。ここで登場するのが、一般的名称とJMDNコードだ。地味だが、これがすべての手続きの出発点になる。
一般的名称とは、医療機器を機能や使用目的ごとに分類し、あらかじめ国が定めた名称である。そして、その一般的名称の一つひとつに割り振られた識別番号がJMDNコード(日本医療機器名称)だ。自社製品にどの一般的名称が当てはまるかを見定めることが、薬事対応の最初の一手になる。
というのも、この名称はクラス分類と関係し、制定時点での技術的な水準、承認・認証前例に基づいて作成されているからである。名称が決まれば、進むべき道筋の見当がつく。つまり一般的名称は、単なるラベルではなく、規制情報の入った引き出しの取っ手なのだ。
適切な名称を一つ引き当てれば、求められる基準や手続きが芋づる式に付いてくる。逆に名称選びを誤れば、間違った引き出しを開けることになり、準備する資料も審査ルートも、まるごとずれてしまう。だからこそ、ここは勘や思い込みで進めてはならない、慎重を要する工程である。商品名やブランド名とは無関係に、あくまで機能と使用目的で選ぶ、という割り切りが要る。

一般的名称を選ぶ作業の本質は、自社製品の使用目的を、制度の言葉へ翻訳することにある。技術者が語る「この製品は何ができるか」ではなく「この製品は何のために使われるか」という使用目的こそが、当てはまる名称を決める。機能が似ていても、使用目的が違えば別の名称になり、クラスも変わる。
ここでもやはり、製品を規制の世界に位置づけるのは、技術のスペックではなく使用目的という言葉なのである。名称選びは、翻訳作業であって、性能自慢の場ではない。どれだけ高機能でも、その機能を「何のために使うか」に落とし込めなければ、正しい名称にはたどり着けない。
JMDNコードはもともと国際一般的名称(GMDN)をベースにしており、世界と歩調を合わせるための共通言語でもある。そして実務で重要なのが「ぴったりの一般的名称が見つからない」ときの意味だ。既存の名称のどれにも収まらないーーそれは、自社製品の新規性が高いサインである。
先行品がなく、評価の道が整備されていない領域に踏み込んでいる可能性が高い。この場合、新たな一般的名称の設定が必要になることもあり、審査の難度は一段上がる。逆に、既存の名称にすんなり収まるなら、それは先を行く同種の製品があるという意味で、道筋は描きやすい。
名称探しは、そのまま市場での自社の立ち位置の確認でもある。一般的名称とJMDNコードを選ぶことは、自社製品が医療機器の地図のどこに立っているかを確かめる作業である。地図の上で自分の現在地を見失えば、進む道も選べない。その一点が定まって初めて、クラスも、手続きも、戦略も動き出すのである。
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