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21 CFR Part 830 UDI

UDIは「最小単位」だけでは足りない

「UDIは製品の最小単位に付番したから、これで完了だ」ーーそう考えて手を止めると、後で不備を指摘される。UDI(機器固有識別子)は、最下位の包装にDI(機器識別子)を振れば済むものではない。固定された構成で市場に供給される上位の包装にも、それぞれ固有のDIが必要になるからだ。

DIが識別しているのは「箱」ではなく「包装構成」

UDIは、機器識別子(DI)と製造識別子(PI)から成る。PIは、ロット/バッチ番号、シリアル番号、有効期限、製造日などのうち、適用法域の規則に従ってUDIに含める可変情報である。一方DIは固定部分であり、個々の物理的な箱ではなく、「どの版・型式が、どういう入り数で包装されているか」という構成を識別する。

だからDIは、包装の階層ごとに別々に割り当てなければならない。EU MDRは、上位の包装は固有のUDIを持たなければならず、UDI-DIは包装レベルごとに一意でなければならないと定める。FDAも、特定の版・型式を固定数量で収めた「device package」ごとにUDIを求めている。

30個入りの箱と、その箱を12個まとめたカートンは、別のDIである。ただし、輸送・物流のために使用されるshipping containerは、FDA・EU MDRのいずれも原則としてUDIの対象外だ(定義は法域で異なり、FDAは出荷ごとに内容物が変わり得るコンテナ、EU MDRは物流システム固有のプロセスによってトレーサビリティが管理されるコンテナとする)。「箱」「ケース」という呼び名だけでは判断できない。固定された構成で市場に供給される包装なのか、輸送のためにまとめただけの物流単位なのかーーこの線引きが実務の出発点になる。

リコールを動かすのはDIだけではない

最小単位さえ付番すればトレーサビリティは確保できる、と考える企業は多い。だが、階層ごとのDIを揃えても、それだけでは回収の実務は動かない。同じ包装構成の箱には、通常、同じ包装レベルDIが使われる。

DIは構成を識別する番号であって、「この一箱」を一意に指す番号ではないからだ。「どのロットの包装が、どの施設へ、いくつ流れたか」を追うには、包装レベルのDI、ロット/バッチ番号などのPI、そして出荷数量・出荷先・出荷日といった出荷記録を突き合わせる必要がある。個々の物理的な箱まで識別しようとすれば、その包装レベルにおけるシリアル番号など、個体を区別できる情報が要る。ロット番号だけでは、同一ロット内の箱を互いに区別することはできない。

表示・登録・記録の三点で機能する

UDIを「バーコードを貼る作業」だと捉えている限り、この階層の話は腑に落ちない。UDIは、ラベル上の表示(AIDCとHRI)、UDIデータベースへの登録、そして経済事業者や医療機関側での記録と利用ーーこの三つが噛み合って初めて、識別とトレーサビリティに使える仕組みだ。表示だけでも、登録だけでも足りない。

各階層のDIが上位・下位の包装とどう紐づくかという「関係」も、その一部である。ただし、関係情報の持たせ方は法域で異なる。FDAのGUDIDはPrimary DIのレコード内に包装構成を登録する方式で、包装レベルごとに独立したDIレコードを作るわけではない。

EUDAMEDではContainer Package情報がシステム上optionalとされているが、それはMDR上の付番・情報管理義務が任意であることを意味しない。システムが受け付ける最小限と、規則が求める管理とは別問題である。

問うべきは、「自社が使う発番機関の規則と、提出先データベースの様式に沿って、自社の包装構成を過不足なく表現できているか」である。

包装構成を変えたときが分かれ目

EU MDRは、包装内の機器数量の変更を、新しいUDI-DIを要する変更として明示している。FDAでも、入り数の異なる包装構成には別のPackage DIが必要だ。ただしこれは、既存の最下位包装のPrimary DIまで必ず振り直す、という意味ではない。

下位のDIに影響が及ぶかどうかは、変更の内容と、適用法域および発番機関の付番規則に基づいて判断する。いずれにせよ、「製品自体は変えていないから」という理由で放置すれば、現物と登録は静かにずれていく。倉庫にある実際の包装構成と、ラベル表示、規制当局のデータベース、そして社内の品目マスタが食い違えば、UDI不適合につながり得る。

「最小単位さえ押さえればよい」という前提を置かず、包装階層全体を変更管理の対象とする必要がある。なお、EUDAMEDのActor、UDI/Device、Notified Bodies & Certificates、Market Surveillanceの4モジュールは、2026年5月28日から使用が義務化された。移行対象機器には2026年11月28日までの登録期間が設けられているが、包装階層の整備とデータ登録は、もう「いずれ着手する課題」ではない。

結び

モノがどの構成で箱に収まり、どの単位で市場に流れていくのかーーその姿を識別とデータの体系に写し取り、記録でつなぐ仕事が、UDIなのである。

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