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供給者を「承認リスト」に載せただけでは不十分

「あの供給者は承認済みリストに載っているから、受入れは信用してよい」–そう考えて手続きを簡略化する運用には、注意が必要だ。供給者管理は「一度承認してリストに載せれば終わり」ではない。承認は入口にすぎず、その後の再評価とパフォーマンスの監視まで含めて、初めて供給者管理と呼べる。

なぜ一度きりでは足りないのか。供給者は生き物だからだ。承認した当時は品質が安定していても、経営者が代わり、工場が移転し、材料の調達先が変わり、いつのまにか実力が落ちていく。

数年前の評価結果を根拠に「承認済み」と言い続けるのは、古い健康診断書を今の健康の証明に使うようなものである。そのため、承認後も、品目・工程のリスク、供給者の実績および変更の有無に応じ、あらかじめ定めた間隔または問題発生時に、監視・再評価する必要がある。指標には、受入不適合、逸脱、苦情、変更通知、是正対応、試験・検証結果などを用い、納期実績は製品品質や供給継続性に影響する場合に評価へ組み込む。

受入時の検証を簡略化している場合、その根拠と実施状況は査察で確認対象になり得る。ここで押さえておきたいのは、簡略化できる範囲が製品区分と品目によって異なるという点だ。完成医薬品の成分では、供給者の試験成績書に依拠して純度・力価・品質の試験を代替する場合でも、製造者による少なくとも一つの特異的同一性試験と、供給者試験結果の信頼性を適切な間隔で検証する仕組みが必要である。

容器・栓では、供給者の試験証明書に依拠する場合にも、少なくとも目視による同一性確認と供給者試験結果の信頼性確認が必要となる。一方、医療機器では、供給者評価結果と購買品が医療機器にもたらすリスクに応じて、検査その他の検証活動の種類と範囲を定める。したがって「承認済み」という事実だけを理由に、一律に受入確認を省くことはできない。

そして「承認済み」という表示だけでは、受入時の確認を簡略化する根拠にはならない。必要な裏づけは、適用規制とリスクに応じ、供給者評価、受入・不適合・苦情等の実績、試験成績書の信頼性確認、必要に応じた監査、変更通知、仕様書または品質取決めなどを適切に組み合わせて構成する。監査結果や品質取決めが、すべての供給者について常に必須という意味ではない。裏づけの設計を欠いたまま「承認済みだから」で検証を省けば、それは信頼ではなく、単なる手抜きである。

実務上の要諦は「説明できる」だけでなく「記録で実証できる」ことである。FDA査察では工程や関連記録が確認され、医療機器QMSRの下では供給者監査報告書もFDAの確認対象になり得る。再評価をいつ、どの基準で行い、どのデータに基づいて承認維持、条件変更、是正要求または承認取消を判断したかを、記録から追跡できる状態にしておく必要がある。

承認リストという一枚の名簿は、活動の証拠ではなく、活動の入口を示すインデックスにすぎない。そして供給者の実力が落ちてきたとき、どうするか。承認の仕組みだけでなく、実績悪化時の是正要求、検証強化、条件付き承認、停止または承認取消の基準も設計しておく必要がある。

入れる仕組みを整えながら、出す仕組みを持たないのでは、管理は片肺で回ることになる。経験者ほど陥りやすいのが、長年の付き合いを「信頼」と取り違えることだ。二十年来の供給者であるという取引年数や主観的な安心感だけでは、監査の要否や受入時の確認範囲を決める根拠にはならない。

一方で、仕様適合、不適合、苦情、変更、是正対応、受入試験・検証結果などの文書化された過去の品質実績は、供給者評価やサンプリング・検証戦略を定める有効な入力になり得る。重要なのは、付き合いの長さではなく、現在も有効な客観的データである。長期取引先であっても、過去の評価を自動的に延長せず、現在のリスク、品質実績、変更および是正対応に基づいて承認状態を見直す必要がある。

その手段は、実績トレンド、苦情・不適合、変更、是正処置、試験結果、必要に応じた監査などから選ぶ。一律周期の実地監査がすべての供給者に必須という意味ではないが、適用法令や品目リスクが監査を求める場合には、その頻度と範囲を品質リスクマネジメントに基づいて設定する。長い付き合いにこそ、あえて初めての取引先に対するような他人の目で見直す緊張感が、要るのである。

供給者管理とは、名簿を作る作業ではなく、関係を保守し続ける営みである。リストに載せた日から、本当の管理が始まるのである。

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