是正処置は「有効性確認」までがワンセット
前回、是正処置(CAPA)は修正とは違う、と書いた。今回はその続きーーCAPAで最も飛ばされがちな最後の一歩「有効性確認」の話である。
多くの会社で、CAPAは対策を実施した時点でクローズされる。
「手順書を改訂した」「治具を追加した」、よし完了。しかし、これでは半分しか終わっていない。その対策が本当に効いたのかーー再発が止まったのかーーを一定期間後に確認して、はじめてCAPAは閉じられる。
これが有効性の評価(effectiveness check)である。
考えてみれば当たり前だ。対策を打っても効くとは限らない。
むしろ、見当違いの根本原因に対して打った対策は、効かないのが普通である。有効性確認を省く会社は「効いたかどうか分からないまま」CAPAを閉じ続け、しばらくして同じ不適合に再会する。そして二度目のCAPAでもまた効果を確かめないため、三度目、四度目と続く。有効性確認の欠落は、単発のミスではなく、終わらないループを生むのだ。

有効性確認を形式にしないコツは、クローズする”前に”判定基準と確認時期を決めておくことである。「3か月間、当該不適合の発生ゼロ」のように、数値と期限で先に約束する。対策後に「まあ大丈夫そうだから閉じよう」と後付けで判断すると、それは確認ではなく願望だ。
先に基準を置くからこそ、効かなかったときに「効かなかった」と認められ、次の手が打てる。基準を後から決める運用は、実質的に「不合格の出ないテスト」であり、確認の体をなしていない。
そしてFDAの視点では、個々のCAPAの巧拙以前に、有効性確認のないCAPAシステムそのものが指摘対象になる。
「効果を確かめる仕組みがあるか」を見られているのだ。個別案件がいくら丁寧でも、確認のステップが手順に組み込まれていなければ、システムとして欠陥とみなされる。
実務では、有効性確認の”確認時期”の設計にもコツがある。
発生頻度の低い不具合に対して「1か月ゼロだったから有効」と判定しても、それはもともと滅多に起きない事象がたまたま起きなかっただけかもしれない。確認期間は、その不具合の通常の発生間隔を踏まえて設定しなければ意味がない。月に一度起きていた問題なら数か月、年に数回の問題ならより長い観察が要る。
「期間を決める」とは、単に日数を書くことではなく、統計的に効果を語れるだけの母数を確保する、という思考なのである。ここまで詰めて初めて、有効性確認は願望から検証へと変わる。
最後に厳しい現実を一つ。
有効性確認は、自分たちの最初の原因分析が外れていたことを認める場でもある。だからこそ無意識に省かれる。誰しも、自分の打った手が空振りだったとは認めたくない。
しかし、ここを正面から回せる会社だけが、CAPAを”再発しない仕組み”に育てられる。CAPAは打ち上げ花火ではなく、効果が出るまで見届ける継続活動なのである。
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