Notified Body(認証機関)の役割
「Notified Bodyって、認証を手伝ってくれるコンサルのようなものでしょう」 — この誤解は、時に致命的なつまずきを招く。Notified Bodyとは、EU MDRのもとで、医療機器や製造業者の品質マネジメントシステムが適用される要求事項に適合しているかを評価する、製造業者から独立した第三者機関である。各国の所管当局が、EU共通の要件に基づいて指定・監督し、欧州委員会は加盟国や専門家とともに指定制度の調整に関与し、指定機関の一覧をNANDOで公表している。
コンサルタントのように「どうすれば通るか」を教えてくれる存在ではなく、通るか通らないかを判定する側だ。実際、MDR附属書VIIは、評価対象となる機器・工程について個別のコンサルティングを提供することを禁じている。この立場の違いを取り違えると、審査の場で頼るべき相手を間違える。

Notified Bodyの関与の深さは、製品のリスクに比例する。原則としてClass I医療機器は、製造業者が技術文書を作成し、EU適合宣言を発行することで対応できる。ただし、滅菌状態で上市する機器、測定機能を持つ機器、再使用可能な外科用器具では、それぞれ滅菌、計量、再使用に関係する側面についてNotified Bodyの関与が必要となる。
そしてリスククラスが上がるほど、関与は原則として広く、深くなる。ただしそれは単純な階段ではない。技術文書の審査、品質マネジメントシステムの監査、型式審査、製品検証のどれが行われるかは、機器のクラスと、製造業者が選択する適合性評価ルートによって変わる。
Class IIa、IIb、IIIの機器では、原則としてNotified Bodyの適合性評価を受けなければCEマーキングを付すことはできない。第三者の目をどこまで通すか — それがリスク分類の実務的な意味である。なぜ第三者を挟むのか。
CEマーキングを付し、EU適合宣言を発行する責任は、あくまで製造業者にある。しかし、リスクの高い機器について、その判断を製造業者だけに委ねることはできない。そこで、法令上要求される場合には、製造業者から独立したNotified Bodyによる適合性評価を受け、その結果に基づいて製造業者がEU適合宣言を発行する。
Notified Bodyは行政当局の代理ではなく、独立した第三者適合性評価機関として、製造業者の宣言の信頼性を裏打ちする存在なのだ。だからこそ、審査は厳しくあるべきで、馴れ合いになれば制度そのものが崩れる。彼らが手厳しいのは、役割上、当然のことなのである。
Notified Bodyをめぐっては、MDR・IVDRへの移行初期に、指定機関数と審査能力が認証需要に追いつかず、深刻なボトルネックが生じた。その後、指定機関数と処理能力は増加し、少なくともMDR医療機器では、単純な「機関数不足」だけを主要問題とみなす状況からは改善している。しかし、必要な製品コードを扱えるNotified Bodyが限られる場合があり、IVDRでは審査需要への対応能力に引き続き注意が必要である。
また、契約締結後の新規認証には一年以上を要することも珍しくない。欧州展開の計画では、自社が準備できる時期だけでなく、候補となるNotified Bodyの指定範囲、受入れ状況、契約・審査期間まで早期に確認しなければならない。規制対応は、自分の努力だけでは完結しないのである。
そして相手が判定者である以上、審査で交わすやり取りは、記録に残る正式なものだと心得たい。申請資料、照会事項、不適合、回答および是正内容など、審査判断に関係するやり取りは記録として扱われる。曖昧な説明や、実態と合わない資料は、そのまま指摘として跳ね返る。
Notified Bodyに対しては、飾らず、しかし過不足なくーー決めたことと、やっていることを、証拠とともに示す。ここでもShow me, don’t tell meが効くのである。そして忘れてはならないのは、Notified Bodyは審査後も見張り続ける存在だという点だ。
認証を出したら終わりではなく、原則として少なくとも年1回のサーベイランス監査・評価に加え、少なくとも5年に1回の抜き打ち現地監査を行い、承認された品質マネジメントシステムが実際に運用され、適合性が維持されているかを確かめる。CEマーキングは一度きりの合格証ではなく、Notified Bodyという監視者と付き合い続ける関係の始まりなのである。
この分野の解説動画
この記事は参考になりましたか?

この記事へのコメントはありません。