外部文書の管理——規格・法令・顧客の図面を、どう識別し、どの版を使うかをどう決めるか
文書管理というと、自社で作る規程・手順書・様式に目が向きやすい。しかし、品質システムが参照している文書には、社外で作られたものも多い。ISO 13485 などの規格、法令・通知、顧客から受け取った図面や仕様書、供給者の取扱説明書などである。
QMS省令 第8条第2項第6号は、品質管理監督システムの計画と実施に必要と判断した外部で作成された文書を識別し、その配付を管理することを求めている(ISO 13485:2016 では 4.2.4 に当たる。規格原文とは未照合)。医薬品の GMP省令 第20条には、この第6号のように外部文書を名指しした号は無い。ただし、医薬品でも、製造や試験で使う公定書や顧客の規格書をどの版で使っているかを説明できるようにしておくことは、文書管理の実務として役に立つ。
何を「外部文書」として管理するか
QMS省令上の外部文書の管理の対象は、品質管理監督システムの計画と実施に必要と判断したものである(別の法令で保存を求められる文書がある場合は、それは別に扱う)。判断の目安は次のとおり。
- 自社の手順書や製品の仕様が、その文書を引用・参照している
- その文書の改訂で、自社の手順や製品を変える必要が生じうる
- 監査や査察で「どの版に基づいているか」を問われうる
参考に読んだだけの資料まで台帳に載せると、管理の負担が増えることがある。対象の決め方そのものを手順書に書いておくとよい。
台帳の項目の例
外部文書の台帳(一覧)には、例えば次の項目を持たせる。省令が項目を指定しているわけではないので、自社に合わせて選ぶ。
- 文書名・発行元
- 発行されている最新の版(発行年・改訂番号)
- 自社が現在適用している版と、切り替えの期限(移行期間や施行日がある場合)
- 入手日・入手方法
- 保管場所(電子か紙か)
- 配付先(誰が使うか)
- 参照している自社文書
- 最新版を確認した日と確認者
「参照している自社文書」を持たせておくと、外部文書が改訂されたときに、どの手順書を見直すべきかを特定しやすくなる。
最新版をどう確かめるか
外部文書の改訂は、発行元からの通知を受けられない場合もある。確かめ方を決めておくとよい。
- 改正の情報を随時つかむ:規制当局の通知、発行元の公表、業界団体の情報などのうち、どれで把握するかを決める
- 定期の点検と組み合わせる:随時の把握に加えて、台帳全体を定期に点検する(周期は文書の性質に応じて自社で決める。例えば年1回など)。法令の施行日や規格の移行期限に間に合うかも、このとき確かめる
- 顧客の図面は受け取りのたびに:受け取った版と、台帳・製造で使っている版を照合する
- 担当と記録:文書ごと、または分野ごとに担当を決め、確認した日を台帳に残す
改訂されたときは、影響を評価してから切り替える
外部文書の改訂に気づいても、すぐに自社の適用版を切り替えるとは限らない。規格の移行期間、法令の施行日、顧客が指定する版などによって、いつから新しい版を適用するかは変わる。
- 台帳の「発行最新版」を更新し、自社の「適用版」と切り替え期限を区別して記録する
- 参照している自社文書ごとに、変更が要るかを評価し、その結果を記録する
- 変更が要るなら、通常の文書変更の手続き(照査・承認・配付)に乗せ、変更内容に応じて必要な教育を行う
外部文書の管理は、自社文書の改訂の入口でもある。
注意:規格の写しの扱い
購入した規格を社内で配付するときは、規格の利用許諾の範囲を確かめる。共有フォルダに置いて誰でも開ける状態にすることが、許諾の範囲を超える場合がある。
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