一般・管理・高度管理医療機器の違い
「クラスIIの製品を扱っているのに、なぜ書類には『管理医療機器』と書いてあるのか」ーー分類の数字と呼び名が頭の中で結びつかず、戸惑う担当者は多い。医療機器には、リスクの低い順に並べるクラスI〜IVという分け方と、一般・管理・高度管理という三つの呼称が併存している。両者は別々に動く分類ではなく、日本の制度上、一定の対応関係で結びついている。

対応関係はこうだ。クラスIが一般医療機器、クラスIIが管理医療機器、クラスIIIとIVが高度管理医療機器である。数字はリスクの階段を示し、呼称もまた、副作用や機能障害が生じた場合に人の生命・健康へ及ぼすおそれの程度によって区分される。
つまり両者はいずれも「潜在的なリスクの大きさ」を土台にしている。ここで「一般は国の関与が薄く、高度管理は濃い」と言い表すことがあるが、これはあくまで、リスクに応じて結果として現れる規制の重さをイメージしやすくするための比喩であって、法的な定義そのものではない。定義の軸はあくまで「副作用や機能障害が生じた場合に、人の生命・健康へ及ぼす影響のおそれ」にある。
なお、クラスIIIとIVはいずれも高度管理医療機器に位置付けられる。ただし、両者のリスクが同じという意味ではなく、製造販売に必要な手続きも一律ではない。クラスIIIの高度管理医療機器のうち、認証基準が定められ、厚生労働大臣が指定した「指定高度管理医療機器」は、登録認証機関による認証の対象となる。
この区分は、市場に出したあとの流通ーー販売・貸与(レンタル)の規制にも関係する。ただし、必要な手続きはクラスだけで決まるわけではない。高度管理医療機器または特定保守管理医療機器を販売・貸与する営業所には、原則として、営業所所在地を管轄する都道府県知事等の許可が必要である。
管理医療機器のうち特定保守管理医療機器ではないものは原則として届出の対象となるが、厚生労働大臣が指定する品目には届出が不要なものもある。一般医療機器は原則として許可・届出の対象外である。ただし、リスク区分とは別に特定保守管理医療機器にも指定されている場合は、販売・貸与業の許可が必要になる。
つまり「一般=規制なし、管理=届出、高度管理=許可」という三段階だけでは判断できない。特定保守管理医療機器はクラスI・IIに該当することもあるため、販売・貸与業の要否を判断する際は、クラスに加えて、特定保守管理医療機器への該当性なども確認しなければならない。同じ「売る・貸す」でも、扱う品目ひとつで、卸や販売店に求められる手続きの重さがまるで変わるのである。

「高度管理」は高性能の意味ではない
ここで誤解してはならないのは、呼称は製品の性能や立派さの序列ではない、という点だ。「高度管理」と聞くと高性能で高級な機器を思い浮かべがちだが、実際には、副作用や機能障害が生じた場合に、人の生命・健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、より厳格な管理が必要になる、という意味にすぎない。構造が比較的単純な医療機器であっても、侵襲性、使用部位、使用期間や生命維持への関与などによっては、高度管理医療機器に分類され得る。
逆に、価格や精密さ、多機能性だけからクラスが上がるわけでもない。呼称は勲章ではなく、潜在的なリスクに応じた法的区分なのだ。だから、自社製品を「立派だから上のクラスのはず」と背伸びして考えるのも「単純だから下だろう」と侮るのも、どちらも危うい。

そして、分類検討の出発点となるのは、製品の意図する使用目的である。ただし、一般的名称の該当性は使用目的だけで決まるわけではなく、構造・原理、使用方法、侵襲性、使用部位、使用期間、能動型か非能動型か、生命維持への関与などを総合して判断する。該当する一般的名称が定まれば、通常はその名称に対応するクラスと、一般・管理・高度管理医療機器の区分を確認できる。
この順序を取り違え「高性能だから高度管理だろう」と、性能の高さや技術的な複雑さだけから呼称を推し量ると、判断を誤りやすい。既存の一般的名称への該当性が明確でない場合は、行政等への相談が必要となり、その結果、新たな一般的名称の設定が検討されることもある。だから最初に明確にすべきなのは、製品スペックの序列ではなく「誰が、何のために、どのように使う製品か」という意図する使用目的と使用方法なのである。

三つの呼称は、規制が製品をどう見ているかの縮図である。数字と名前、その両方を自在に行き来できて初めて、自社製品の本当の立ち位置が見えてくるのである。
主な根拠法令・告示
- 医薬品医療機器等法(薬機法)第2条第5項から第8項まで:高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器および特定保守管理医療機器の定義
- 薬機法第39条:高度管理医療機器等(特定保守管理医療機器を含む)の販売業・貸与業の許可
- 薬機法第39条の3:管理医療機器の販売業・貸与業の届出
- 平成16年厚生労働省告示第298号:クラス分類告示
- 平成16年厚生労働省告示第297号:特定保守管理医療機器の指定
- 平成16年7月20日付け薬食発第0720022号:施行通知(一般的名称の定義等)
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